歳をとるともの忘れが激しくなりますねー。
最近のこともおぼつかないのに、こうして過去を振り返りながら記憶をたどろうとすると、余計に思い出せないフラストレーションがたまります。
前回の投稿で「Touch / Don’t You Know What Love Is」をご紹介した流れで、忘れないうちにこの曲を続けてご紹介しておくことにします。
「DRIVE, SHE SAID / Hard Way Home」
DRIVE, SHE SAID / Hard Way Home どんな曲?
DRIVE, SHE SAIDは、哀愁のメロディアス・ハードロックが持ち味だったバンド「TOUCH」の創始者であるマーク・マンゴールドが、「TOUCH」の解散後に盟友アル・フレッチ(ヴォーカル)と共に立ち上げたプロジェクト。
何ともバンド名らしからぬ不思議な名前ですね。
今一つ方向性の定まらなかった感のある「TOUCH」に比べて、明快なアメリカンハードロックの音楽性を打ち出したバンドでした。
アル・フレッチのややハスキーな声質のヴォーカルは、時に熱くエモーショナルに、時にしっとりと情感豊かに、緩急をつけた器用なヴォーカルスタイルとなっています。
本曲「Hard Way Home」は、1989年発売のデビューアルバムに収録の爽快アメリカンハードなナンバー。
オーソドックスで飾り気の無い無骨なギターと対角をなすメロディアスなキーボード、ハスキーに熱く歌い上げるヴォーカルにより、ほのかに哀愁を帯びつつも元気が湧いてくる楽曲。
メロディアスハードファンにはたまらない一曲と言えるでしょう。
1990年代を間近に控えたサウンドメイクとしては、ややチープ感があるものの、オルガンのトーンを思わせるキーボードの音色などは古き良き質感をともなって楽曲を肉付けしていますね。
当時を知るリスナーにとっては「渋み」として意外にすんなりと受け入れられる筈です。
「TOUCH」時代にはやや迷走していた感があるプログレッシブな要素の整理もつけられ、ようやくやりたい事を具現化できたように感じます。
このアルバムには何と「TOUCH」の歴史的名曲「Don’t You Know What Love Is」のリメイク版も収録。
他の楽曲との存在感の差が突出してしまっている感がありますが、ファンにとっては嬉しいボーナス要素ですね。
バンドメンバー
ボーカル : アル・ フレッチ
ベース :
ドラム :
キーボード: マーク・マンゴールド
楽曲レビュー
1989年のギターサウンドとしては許されないレベルのテンションの低いギターリフで楽曲がスタート。
キーボードとのハレーションを避けたかったのか、ヴォーカルの熱さを際立たせたかったのかは定かではありませんが、どう考えてもやる気の無さしか感じません。
しかし、ヴォーカルの熱唱が始まり一転、のっけからテンション上げ上げで突っ走っていきます。
メロディラインは既に「TOUCH」でお墨付きの完成度。
サビに向かって確実にツボを押さえながらピークに到達させるメロディ構成は職人芸の域と言えるでしょう。
また、個人的には「残り40秒以上をフェイドアウトに費やすという暴挙」を見過ごすわけにはいきませんね。
非常にもったいない限りです。
せめてギターソロなりキーボードソロなりの工夫と捻りが欲しかったところ。
この辺りの雑さというか、詰めの甘さというか、貪欲さの無さがセールス的な成功を掴めなかった要因でもあるような気がします。
残念。
「TOUCH」時代の歴史的名曲「Don’t You Know What Love Is」のリメイク版です。
当時としてのモダンなアレンジが施されていますが、今となっては正直中途半端な印象でしかありませんね。
個人的に、この楽曲の最も重要な要素であるリズムの「タメ」感による「渋み」が無くなってしまっているように思えます。
アル・フレッチのヴォーカルも頑張ってはいますが、元祖のクレイグ・ブルックスの洗練されたハイトーンヴォーカルには一歩及ばない印象です。