220VOLT
220VOLTは1979年に北欧スウェーデンで結成された5人編成のメロディアス・ハードロックバンド。
マッツ・カールソンとトーマス・ドレヴィンによるツインギターを中心に、初期は(どこかで聴いたことがある気がする)正統派の北欧メタル、4作目で洗練された北欧メロディアス・ハードロックに大化けしてシーンを湧かせました。
バンド名の読み方は「Two Twenty Volt」が正解であることを私も最近知った次第。
当時、友人との間では「にーにーまるぼると」と呼び合っていました…。
軟弱、おセンチ、単純路線をこよなく愛する嗜好を自負する私にとっては、上記4作目はメロディアス・ハードロックの至宝的作品に位置付けらる名盤です。
そんな個人的最高傑作もセールス的には思ったよりも振るわず、その後はFADE OUT状態となり、完全に忘れた頃に突如新譜をリリースしてくる謎のバンドと化してしまいました。
2014年にもいきなりの復活作をリリースして驚かされましたが、再び冬眠?状態に。
オフィシャルwebサイトがまだ活きているようなので、またいつかビックリリリースをかましてくれることと思います。
1st: 220VOLT
いきなり「DOCTOR DOCTOR」調のメロディに弱々しいロブ・ハルフォードといった感じのヴォーカルが乗ってくるオープニング曲を筆頭に「あれ?どっかで聴いたことあるな曲」が物おじせずに展開される構成。
この時代、特に欧州勢にありがちな「リヴァーヴ全開のギター」と「鶴太郎のおばちゃまが出てきそうなこもりヴォーカル」は安定の境地。
JUDAS PRIEST、SCORPIONS、RAINBOW辺りからの影響をモロに反映させながら、気を吐くツインギター陣が懸命にフレーズをぶっ込んでくるのが微笑ましくも好感が持てる良作。
2nd: POWER GAMES
1984年リリースの2ndアルバム。
サウンドはヘヴィさを増し厚みも感じられるものの、メロディ展開がフックに欠け、サビメロも煮え切らないと言った印象。
ヴォーカルは相変わらず不安定ながらコーラスアレンジで必死にカバー、1st同様にギター陣は奮闘。
ギターサウンドは時折ANTHEMをも想起させる格好良さ。
1stでの「もろパクリ感」は薄れ、ようやくオリジナリティが楽曲に反映されている印象も、完成度は未だB級感が否めず。
甘く切ないTHE 北欧感は露骨に表現せずに、あくまで正統派ヘヴィメタル路線を歩もうとする姿勢に共感を覚える力作。
3rd: MIND OVER MUSCLE
1985年リリースの3rdアルバム。
LAメタルを意識せざるを得ないシーンの環境下、サウンドメイクと方向感は迎合とまでは言わなまでも傾倒の兆しは否めないところ。
呼応してヴォーカルは垢抜けた感じの伸びやかな歌唱をみせ、ギタープレイも滑らかなフレージングを展開しています。
一方で、北欧メタルムーブメントともいうべき追い風も吹く中で、バンドとしての方向感に若干の迷いも感じられます。
上質な哀愁メロディもあればインパクト薄く単純にサビメロ連呼の雑な楽曲も散見。
次作で開花する楽曲の完成度まだその片鱗も見せず…。
4th: Eye to Eye
1988年リリースの4thアルバム。
マックス・ノーマンのプロデュースで驚愕の覚醒を魅せた最高傑作。
あれだけB級感の払拭できなかったサウンドとメロディは一気に垢抜けて、北欧メロディアス・ハードロック屈指の名盤に仕上がっていると思います。
上質で哀愁に溢れたメロディとキャッチーで親和性の高いサビメロを、厚みと透明感あるコーラスがこれでもかと盛り上げていきます。
アルバム全曲一緒に歌いたくなる完成度を誇り、北欧メロディアス・ハードロックを聴くうえでは通行手形的位置付けの名盤中の名盤です。
このクオリティをもってしても当時のシーンでは成功を収めることは難しく、その後1992年に一旦解散となります。
220VOLT「Eye to Eye」の詳細レビューはこちらから
5th: LETHAL ILLUSION
1997年リリースの5thアルバム。
突如として再結成され、過去の音源を引っ張り出してきてのやっつけ収録感は否めず。
前作の近似値水準の楽曲もあれば、意図の不明なシンプルなロックンロールもあるチャンポン状態の作品。
前作で苦渋を舐めた筈の、圧倒的なクオリティをもってしても受け入れらない排他的なシーン環境が一層強まった中で、敢えて本作をリリースした真意は何だったのか。
その謎はいまだに解けず、バンドへの期待度も上がらぬままでした。
6th: WALKING IN STARLIGHT
2002年にバンドが復活~2014年にこれまた唐突にリリースの6thアルバム。
ヴォーカルにLIONS SHAREの実力派アンダース・エングバーグを起用。
サウンドミックスにマックス・ノーマンも参加するなど、腰の入った態勢で一気に期待値は急上昇。
結成当初よりダイナモ的にバンドを牽引してきたツインギター陣も衰えをみせないプレイを披露。
エモーショナルな哀愁メロディと透明感のある北欧の冷気のようなものを感じる音楽性は、往年のファンにとっては220VOLTならではと感じるものの、現在のシーンにとっては完全に過去のバンド的な扱いが悲しいところ。