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サブスクで「好きな音楽を自由に好きなだけ」、youtubeで「見たいライブ映像を見たいだけ」という具合に、現代は音楽を楽しむ環境が劇的に変化して便利になりましたが、やたらと忙しい世の中ですねー。
このブログは、そんな現代の溢れる情報量の中から主に80~90年代の選りすぐりのメロディアス・ハードロック、ヘヴィメタルを厳選して紹介しています。
これから聴き始める若い人達の少しでもお役に立てれば、また既にそんなの知ってるよという同年代の人達とは懐かしさを共感できればと願うブログです。
220VOLT / Eye To Eye どんなアルバム?
北欧メロディアス ハードロック バンドの至宝 220VOLT
本作は北欧スウェーデンのメロディアス・ハードロックバンド 220VOLTによる1988年にリリースされた4枚目のアルバムです。
EUROPEに代表される上質のメロディアス・ハードロックバンドの名産地「北欧」から輩出された至宝のバンドとの呼び声も高い220VOLT。
「北欧メタル」「北欧メロディアス・ハードロック」の歴史を語る上では絶対におさえておきたいバンドといえるでしょう。
北欧と言えば、最近何かと取沙汰されるのはフィンランド。
(私はあまり聴きませんが)「チルドレン・オブ・ボトム」などの人気バンドが相次いで登場してきていますね。
とにかく、国民一人当たりのメタルバンド数が世界で最も多いと言われています。
(どんな指標やねん…。関係ありませんが、確かサウナもそうだったような。)
そんなフィンランドが台頭してくる以前は、やはりスウェーデンの一人勝ち状態だったのではないでしょうか。
何と言っても「イングヴェイマルムスティーン」を輩出したというだけで、もう敵無しですね。
そんなかつての北欧メタル王国の一角を担う存在として、伝説のメロディアスハードロックアルバムと賞賛された本作を生み出したバンドが220VOLTでした。
マックス・ノーマンにより見事に開花した才能
1979年に結成された220VOLTは、1983年にデビューアルバムをリリース。
以後、毎年1枚のペースでコンスタントに新作をリリースしていましたが、内容ははっきりって「節操のない」「パクリ丸出し」の厳しいものでした。
デビュー作では、なんちゃってジューダスプリースト風やら、なんちゃってOZZY風やら、マイケル シェンカー風の楽曲が多くて、あまりにパクリ感が露骨過ぎて思わず失笑してしまいそうになるほどでした。
続く、2枚目、3枚目のアルバムでは当時のハードロックバンドがこぞって足を踏み入れようとしていたLAメタル路線に傾き、迷走ぶりが手に取るように伝わってきました。
そんな紆余曲折を経て、バンドが巡り合うことになるのが敏腕プロデューサー「マックス・ノーマン」。
OZZYやLOUDNESSのアルバムを手掛けたことで有名ですね。
マックス・ノーマンの辣腕ぶりによって、楽曲の完成度とサウンドメイクが格段に進化した本作は、アルバムの標榜する方向性が揺るぎないものとなり、シャープで透明感のある洗練された北欧メロディアスハードロックの世界観が見事に表現されています。
まさに大化け、見事な変貌を遂げた220VOLTの完成形がようやく誕生しています。
透明感と哀愁溢れるメロディアスハードロックの丁寧な曲作り
この上質で洗練されたハードロックアルバムに対して「メタルだ」「メタルじゃない」「ポップスだ」「AORだ」などという不毛の議論はもはや愚の骨頂でしかないように思います。
全ての楽曲を通じて、哀愁を感じるメロディラインと透明感溢れるコーラスが印象的で、弾き過ぎない節度あるプレイのギターも楽曲の上質感を高めることに一役買っているようです。
全11曲の捨て曲無しの粒揃いの構成で、どの曲から聴いてもOKな名盤中の名盤。
当時の北欧の哀愁メロディアスハードロックの最高峰に位置するクオリティと完成度の楽曲で埋め尽くされた作品を一人でも多くの人達に是非とも堪能していただきたいと思います!。
バンドメンバー・収録曲
【バンドメンバー】
- ヴォーカル: Jocke Lundholm
- ギター : Mats Karlsson
- ギター : Peter Olander
- ベース : Mike Krusenberg
- ドラムス : Peter Hermansson
【収録曲】
- The Harder They Come – 3:53
- I’m On Fire – 4:20
- Beat Of A Heart – 4:15
- Eye To Eye – 3:47
- Love Is All You Need – 4:09
- Live It Up – 3:38
- Dog Eat Dog – 3:11
- Dangerous – 3:34
- Still In Love – 4:08
- Money Talks – 4:01
- On The Other Side
おすすめの楽曲レビュー
「全曲おすすめ!」
この一言で終らせることも可能ですが、さすがにそれでは手抜きなので申し訳程度にピックアップしておきます。
The Harder They Come
どの曲がオープニング曲となってもおかしくないほどに粒揃いの構成なのですが、1曲目は本作の中ではハードな部類に入るこちらの楽曲で幕を開けます。
北欧の空高くどこまでも伸びていくような、しっかりと高音域を歌い上げるヴォーカル、丁寧にそれをフォローする厚みのあるバックコーラス、どちらも北欧系バンドのボーカルにありがちな「ぶっきらぼう」「ぶつ切り」「こもった声質」の歌唱スタイルとは無縁で安心して聴いていられる安定感があります。
ギターも、前作までの「練習の成果を全部出したいギター小僧」のような、とにかく弾きまくりの自己主張プレイから一転して急に成長した大人のようなプレイに変身。
あくまでも楽曲の全体感を重視して、弾き過ぎない「引きの美学」をようやく体得したようで、無駄な歪みも消えた上品な音色を奏でています。
前作のアルバムまでとはとても同じバンドとは思えない、良い意味での豹変ぶりにただただ驚くばかりです。
バンドってプロデューサーでこうも変わるもんですかね?。
マックス・ノーマン恐るべし。
Eye To Eye
4曲目に収録のアルバムタイトル曲。
こちらも完成度の高さが際立っている名曲です。
ここまでくるともはや大物バンドの風格のようなものすら感じる程に、気負いや垢ぬけなさは皆無で、余裕すら感じる落ち着きぶりを見せています。
サビメロのバックを流れるように追いかけていくギターフレーズが何ともたまらなく哀愁をそそります!。
Dangerous
まとめ
1988年リリースの作品にして驚愕のこのクオリティ。
当時のヘビー・ローテーションアルバム、いや、もはやスーパーの売り場でよく再生されている「いらっしゃいませ~、いらっしゃいませ~」の無限テープのように、何度も何度も繰り返し飽きることなく聴いていたアルバムです。
惜しくもバンドはこのアルバムをリリース後に、大成を収めることなく解散してしまいました。
本当に惜しくて残念でした…。
その後、再結成し1997年には過去のお蔵入り音源を新作としてリリースされていますが、正直今一な出来栄えでした。
直近では2014年に「生存確認的」に新作をリリースするも、これまた鳴かず飛ばず状態で、せめてもう一枚くらい歴史に残るメロディアスハードロックの名盤を、未来のためにも残しておいて欲しいです。
