LEATHERWOLF
LEATHERWOLFは1981年に米国カリフォルニア州で結成されたトリプルギター体制の正統派メロディアス・ヘヴィメタルバンド。
米国産とは思えない欧州叙情派寄りのメロディアスな楽曲作りが持ち味でした。
当時の潮流には真向から逆行する音楽性で、渾身の2ndアルバムでシーンに殴り込みをかけるも、ものの見事に散った特攻隊のような伝説のバンドです。
1992年に惜しまれながら解散しましたが1999年に奇跡の再結成。
今もなおその鼓動は止まず、虎視眈々とお座敷の出番を待ち続ける不屈の精神はキングKAZUをも想起させる強靭なメンタルとフィジカル。
往年のファンが待ち望む新譜リリースに向けて今も楽曲作りに励んでいる…(と信じたいところです)。
1st: LEATHERWOLF
1985年リリースのデビューアルバム。
前年にEP盤がリリースされており本作に包含される形に。
リードヴォーカルがトリプルギターの一角もこなす活躍ぶり。
自らのお膝元であるLAメタルが全盛期の中、まるで高速道路を逆走するかのように正統派ヘヴィメタルをアクセルベタ踏み状態で展開。
ジャケットデザインが象徴するB級感丸出しの音質で、メイデン臭をこれでもかと放ちながらわき目も振らずにひたすら突き進むスタイルですが、次作で大噴火する楽曲の展開力やコーラスワークには沸々と温度上昇するマグマのような力を感じる作品です。
2nd: LEATHERWOLF
1987年リリースの2ndアルバム。
ハードロック史上最大の過小評価に泣いたアルバムとして国際司法裁判所に提訴したくなるほどのクオリティを誇る完成度の高さ。
同年にリリースのデフレパ、ホワスネ、ガンズンの超お化けアルバムとのバトルロイヤルを挑みましたが瞬殺されてしまいました。
結果、判官贔屓派のリスナーにとっては益々勝手に闘志を燃やす被害妄想感が増幅。
1stからのメイデン臭はそのまま踏襲されつつ、より格調高い様式美に則った叙情的メロディと華麗なコーラス、そして目まぐるしく場面展開するドラマティックな曲構成。
見事に大化けした80年代正統派ヘヴィメタルの名盤中の名盤です。
LEATHERWOLF 2ndアルバムの詳細レビューはこちらからどうぞ
3rd: STREET READY
1989年リリースの3rdアルバム。
基本的に大化けの前作と同路線ながらインパクトは鎮静化。
ワールドクラスを誇った大仰かつ重厚なコーラスワークもややなりを潜めてしまった印象。
展開を駆使した楽曲構成力は健在でドラマティック性は十分に感じるものの、全体的に緩急に乏しく楽曲同士が同質化してしまっている印象。
(要するに飽きちゃう感じ…)
絶対評価は余裕で平均点以上なものの、大化けの前作との相対評価ではどうしても見劣りしてしまうのは致し方ないところです。
4th: WORLD ASYLUM
1992年に解散したバンドは1999年に復活再結成。
17年ぶりとなった2006年リリースの4thアルバム。
ヴォーカルにクリムゾン・グローリーのウェイド・ブラック、ベースにはライオットのピート・ペレツという結構贅沢な布陣で放った勝負作。
叙情性やドラマティック性は後退し、エッジを効かせた切れ味の鋭い正統派パワーメタルを展開。
凡庸なヴォーカルの声質に合わせた適度なヘヴィネス具合で、ツイン体制となったギターはちょいちょいテク主張しながら弾きまくっています。
往年の楽曲展開力は健在ながらも、いかんせんヴォーカルメロディに印象的なものが無く気が付けばBGM化してしまうパターンの作品。
5th: NEW WORLD ASYLUM
2007年リリースの前作のヴォーカル再録ヴァージョン。
バンド結成時のオリジナルヴォーカルだったマイケル・オリヴィエリが2007年に復帰したための試みと思われますが、正直言ってどうでもいい印象。
元来の作品クオリティ自体に大した感動も覚えていない中で、全く同じ楽曲で再発されても一体どれほどのファンが投資をするのか疑問です。
もう少し限られた資源を有効活用して欲しかったと惜しまれると同時に、この辺りの感覚のズレこそが、成功を引き寄せ切れなかった彼らの脇の甘さみたいなものに感じてしまいます。