このブログは、幸運にもHR/HMが隆盛を極めた80年代をリアルタイムで体感できた私の独断と偏見で綴っています。
当時の熱い息吹きを、これから聴き始める方々に少しでも役立ててもらえればと思っています。
この記事では ”NWOBHM” という文字列を見ただけでもドーパミンがドバドバ出てきそうな「NWOBHMバンドの作品」を中心に、アルバムの中で「一際光る一曲」「個人的お気に入り」という楽曲を特集してみました。
↓↓↓同様の企画で「80年代のメロハーバンドの作品」を特集した記事はこちらから↓↓↓
80年代メロディアスハードロック アルバムを代表するおすすめ楽曲?選
(記載はあくまでも順不同なのでランキングではありません、また随時追記しながら更新していきますので、たま~に立ち寄って覗いて頂けると嬉しいです!)
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TOKYO BLADE / Heart Breaker
現役バリバリの大御所バンド「TOKYO BLADE」
トップバッターはNWOBHMの名(迷?)バンドの一角を担った TOKYO BLADE。
1983年というムーブメント全盛期を逸したタイミングでのデビューとなり、既にメジャーで活躍するバンドの後塵を拝する戦いを余儀なくされ続けてきました。
そんな「前座の大御所」的なバンドですが個人的には応援し続けてきた思い入れの深いバンドです。
実直なまでにストレートな正統派メタルを聴かせる英国魂と、何より日本贔屓のバンド名。
これは日本でブレイク間違いなしか?と思いきや、これがまた泣かず飛ばずのホトトギス状態。
あまりに唐突、脈略無しのいきなりの「日本大好き」ぶりは、ある種「色もの」的な目で見られたのかも知れませんね。
後からデビューした「Silver Mountain」あたりの方が、メディアにも取沙汰されてカリスマ性もあり、評価が断然高いという悲しい展開となりました。
来日お待ちしております
TOKYO BLADE というバンド名でありながら…。
アルバムジャケットには日章旗や戦国将軍の甲冑をデザインしておきながら…。
ななな、なんと来日公演を未だに果たしていないという、もう笑うしかないバンド「TOKYO BLADE」。
それでも2020年にも新譜をリリースするなどいまだ現役バリバリで頑張ってます。
新作でも相変わらずのどストレートで切れ味の鋭い日本刀というかドスというか、古き良き時代のヘヴィメタルを聴かせてくれています。
良くも悪くもブレがない。
(進歩もないが...)。
TOKYO BLADEで一番おすすめの楽曲は?
当時でさえもマーケットでの評価がいまいち盛り上がらなかったデビュー作や、2ndアルバムをここでいきなり取り上げて「名盤です」などとおすすめしたところで、それは単なる押し売りでしかないですよね。
なので、ここはじっくりと外堀から攻めていくことにします。
本曲「Heart Breaker」が収録されているアルバムは、1987年にドイツ盤としてリリースされた4枚目「TOKYO BLADE / Ain’t Misbehavin’」。
ここで重要なポイントとなるのは、ジャケット上部を良く見るとバンド名がさりげなく「Andy Boulton’s TOKYO BLADE」となっている点です。
この前作にあたる3枚目のアルバムは、まるで自動制御装置を失ったジャンボジェット機のように完全に迷飛行~ダッチロール状態に陥りセールス的に大失敗に終わりました。
音楽性は従来の正統派路線が影を潜め、アメリカン的なポップ路線を前面に打ち出しての見事な玉砕です。
個人的にはドタバタとまるで段ボールでも叩いているかのようなドラムの音が特に許せないレベルでした。
バンドの中心だったアンディ・ボルトンはすぐさまメンバーを募って本作の制作に着手。
本来の正統派路線に戻しつつ、よりメロディアスな方向感を明確に示した音楽性で非常に聴きやすいアルバムとなりました。
本曲はそのオープニングを飾る、コテコテの泣きフレーズが満載の名曲です。
メンバー
- ヴォーカル: ピーター・ジト
- ギター : アンディー・ボルトン
- ベース : クリス・ストーバー
- ドラムス : アレックス・リー
Heart Breaker 楽曲レビュー
焦らすよね~。いや~もったいつけるね~。
ミステリアスで思わせぶり感が半端ないイントロの後は、いきなりのギターソロ。
前作までの鬱憤が余程溜まっていたのか、これでもかとアンディ・ボルトンがのっけから弾きまくります。
どこかで聴いたことあるような…。(もろDOKKEN?)
リフも、オーソドックスで良いじゃないですか~。
期待感は一気に高まりますね~。
そしてヴォーカルが乗っかってきて一気にズッコケるというまさかのオチ...。
まあ、この滑舌の悪さも、音程のふらつきも、表現力の無さも全てご愛嬌ということでご勘弁頂き、ここは是非アンディ・ボルトンのギターのみに「集中」ということで、どうか一つ。
ギターソロはかなりきてますよ~。
これぞ泣きのギターソロって感じで、苦節45年以上にわたるHR/HM視聴歴の私史上で屈指のソロと言えます。
(足の指も入れてます…)
曲の最後の「カチャ」の音はラジカセのボタンの音ですよね。
時代を感じます。
因みに、アルバムでは「カチャ」音の後に間髪入れずに2曲目がスタート。
この2曲目のリフが往年のHMファンが喜ぶコテコテのリフでまた良いのです。
(気に入って頂けた方は輸入盤を是非探してみてください)
TANK / (HE FELL IN LOVE WITH A) STORMTROOPER
激烈リフ軍団のデビュー作
無骨でパンキッシュなNWOBHMバンド「TANK」は、1980年の結成~1982年に本作フルアルバムでデビュー。
黒のショートタイツとレスリングシューズの新日ストロングスタイルに形容できそうな程に、ひたすらヒンズースクワットを繰り返すが如く無骨なリフが刻まれます。
MOTORHEADの弟分と評される通りの3ピース布陣は、元ダムドのアルジー・ワード(Vo/Ba)とピーター(Gu)、マーク(Ds)のブラブス兄弟。
プロデュースはMOTORHEADのエディ・クラークが束ねての闘魂注入。
NWOBHMバンドの筆頭格としてIRON MAIDENは既にトラック競技場から一般道のマラソンコースへと歩を進めた中で、ひたすら競技場のトラックをハイペースで周回しているかのようなTANKの音像。
好きな奴だけついて来いという唯我独尊状態を、退路を断って突き進む男気メタルは、熱気と勢いがそのまま音像としてアウトプットされエネルギッシュ極まりないですね。
そもそもヘヴィメタルの上流を遡るとパンクやハードコアにその源泉があるとも言われるのも納得の研ぎ澄まされた攻撃性と疾走感。
隠し味程度のヘヴィメタルのエッセンスとしてのキャッチーなリフ、男の哀愁を感じさせるヴォーカルが加えられたTANKの無骨な味付けにどはまりしたファンも多かったですね。
DIAMOND HEAD | Lightning to the Nations
後にMETALLICAにより掘り起こされたDIAMOND HEADの魅力
もしもMETALLICAがカバーしていなかったら、DIAMOND HEADの名は後々のメタラーにこれほどまでに神格化され浸透していなかったことでしょう。
まさにMETALLICA様様、人生何が起こるかわかりません…。
音楽にしても食べ物にしても、有名人がおすすめしている、誰かのお墨付き、箔が付いたもの等になびいて急に「良い!」「美味い!」「名盤!」などと持ち上げるのが個人的にはあまり好きではありません。
悲しいかな、ホント人間は権威性に弱いものですよね。
周囲の意見は参考程度に、流されないように自身の判断基準をしっかりと持っておきたいものです。
とは言え、DIAMOND HEADの最大の特徴と思っている多彩なリフとダイナモのような突進力、意表を突いてくるソロフレーズなど、ブライアン・タトラーのギターがオリジナリティ豊かに光っているのは事実。
DIAMOND HEADの名を広く世に知らしめて、聴いてみるきっかけを与えてくれたMETALLICAには感謝しかありません。
メジャーデビュー前の自主製作1st
一般的に、DIAMOND HEADのデビュー作は巨匠ロドニー・マシューズによるデザインの1982年リリース「BORROWED TIME」とされていますね。
「Lightning To The Nations」はその前の1980年に自主製作でリリースされたデビュー作ですね。
オリジナルはデザイン無しの真っ白なスリーブだったようですが、後に色々なデザインで何度も再発されています。
METALLICAによるカバー楽曲「The Prince」「Helpless」「It’s Electric」「Am I Evil」が揃い踏みの本作は文字通りDIAMOND HEADの入門盤。
当然ながら音像は古臭く物足りないレベルで、METALLICAと同じクオリティを期待することはできません。
個人的には、あくまでMETALLICAのルーツを辿る、探訪の旅路くらいに位置付けて楽しみたい作品、バンドです。
巨匠デザインの「BORROWED TIME」はあくまでジャケットコレクションとして購入しました…。
TYGERS OF PAN TANG | CRAZY NIGHTS
TYGERS OF PAN TANG との運命的出会いとなったアルバム
1981年リリースの TYGERS OF PAN TANG 3枚目のアルバム「CRAZY NIGHTS」。
私がTYGERS OF PAN TANGのアルバムを最初に耳にしたのが本作でした。
そしてそれはまさに運命的な出会い…。
普通こう書きますと、良い意味での運命的な出会いでそれ以降お気に入りバンドとして発展的傾聴モードに入っていくイメージですが…。
残念ながらそうではなかったんですよね~。
当時、友人の家に遊びに行きお兄さんが持っていたレコードを見せてもらって興奮を隠せなった小僧に、お兄さんは「聴きたいのがあったら貸してあげるよ」と優しく言ってくれました。
見るものほとんどが聴いてみたいレコードばかりでしたが、悩みに悩んだ末に小僧が選んだのは「本作」と「Y&T | EARTHSHAKER」の2枚。
これこそが私にとっての TYGERS OF PAN TANG というバンドの印象を決定付けてしまった運命でした。
そうです、その後生涯を掛けて愛することになる Y&T の歴史的名盤とセットで借りてしまったあまりの間の悪さ。
自宅に帰って「Y&T | EARTHSHAKER」に針を落とした時に全身に走った凄まじい衝撃波。
オープニング曲の「HUNGRY FOR ROCK」のリフだけで完全に勝負がついてしまいました…。
↓↓↓「Y&T | EARTHSHAKER」のレビューはこちらから↓↓↓
Y&T / Earthshaker 人間国宝による泣きメロの洪水 歴史的名盤!
以後払拭できない時間が続いた TYGERS OF PAN TANG とジョン・サイクスに対するバイアス
今でこそ本作を絶対評価するならば、オープニングからキャッチーで印象的な楽曲が続き、4曲目で味のある渋いハードロック曲が展開されているなかなかの作品と言えるのですが…。
当時自分の中ではどうしても Y&T 作品がずば抜け過ぎていて全く勝負にならず、結果として相対評価で TYGERS OF PAN TANG に対してマイナスの印象を持ってしまいました。
そしてそれはジョン・サイクスというギタリストに対しても同様。
後に「白蛇の紋章」でその名を馳せることになったジョン・サイクスですが。
正直自分の中ではこの時の印象が引きずられていて「ジョン・サイクスって TYGERS OF PAN TANG で今一パッとしなかったギタリストだよな~」程度に斜に構えてました…。
NWOBHMの湿気をあまり感じさせないアメリカナイズ作品
さて肝心の本作の中身ですが、個人的にはどうしてもNWOBHMバンド特有の湿り気のあるアグレッシブさが不足しているように感じます。
特にヴォーカルメロディがあまりにアメリカナイズされてしまっている感じ…。
短いセンテンスを続けがちな歌詞なので、メロディの抑揚の無さ、サビメロのつまらなさにつながってしまっている印象です。
ギターリフには時折当時のムーブメントの息吹きを感じるものもありますが…。
とまあ、あまり褒めるところの無い作品のようになってしまいましたが…。
ジャケットデザインは最高ですよね…。
当時、まだその名を知る由もないロドニー・マシューズ作品。
既にこの頃から自身の感性を強烈に刺激されていたと言えます。
いずれにしても、最悪のシチュエーションでの出会いとなってしまった TYGERS OF PAN TANG。
もしもあの時 Y&T作品とは別のアルバムと一緒に借りていたら…。
本作ではなく2枚目作品「SPELLBOUND」と先に出会っていたら…。
私の中での TYGERS OF PAN TANG に対する第一印象は全く違ったものになっていたかも知れません。