B誌の表紙がついに「聖飢魔Ⅱ」になりましたね。
アルバムレビュー「0点」事件以来の雪解け~和解ということでしょうか。
でも正直言って、最近のレビュー点数はみんな70~80点台の可もなく不可もなしの平均点ばかりでつまらないなと感じています。
音楽制作の技術も進歩して、あまりに酷いクオリティのものが無くなったのもあると思いますが、昔は輸入盤とかで50点以下の「おっ?!」と思うような作品が結構ありました。
80点台のありきたりのアルバムよりも、逆の意味で突き抜けた感のある低評価アルバムの方が興味がそそられたりします。
今回おすすめする1曲は、そんな外野の声に翻弄されながら悲運を辿った名曲、
「SHOK PARIS / The Heat And The Fire」です!。
SHOK PARIS どんなバンド?
欧州風のコテコテ正統派メタルを貫くアメリカのバンド
ショック・パリスはアメリカ出身ながら、欧州正統派の様式美を愚直なまでに追求したコテコテのバンドです。
今回ご紹介する名曲が収録されているのは、1989年リリースの3作目「Concrete Killers」です。
このアルバムを最後にその活動は途絶え、やがて自然消滅していった印象でしたが、いまだ公式サイト等も運営されていて何気に今でもしぶとく活動している?ようです。
B誌レビューで58点をくらったアルバム
アルバム「Concrete Killers」は、B誌の新譜レビューで当時の編集長だった酒井康氏から58点をくらってしまいました。
詳細の記述は忘れてしまいましたが、楽曲うんぬん以前の問題でバンド名やアルバムジャケットデザインのダサさを酷評されていたように思います。
さすがに編集長の評価で58点のダメージは大きく、もはや本作の運命が決まってしまったも同然となりました。
しかし、捨てる神あれば拾う神ありという事で、その後、『PURE ROCK』(TBSで放送されていたハードロック/ヘヴィメタル専門の音楽番組)で、キャプテンこと和田誠氏がこの曲を一押しで紹介してくれるという幸運に恵まれました。
この効果がどれ位セールスにつながったかは不明ですが、少なくと私はそれをきっかけにアルバムを購入した一人です…。
哀愁のクサメロをかましまくるツインリード
ショック・パリスの編み出す楽曲は、これぞ1980年代の正統派B級メタルの象徴!といった感じです。
ツインリードギターによるコテコテの哀愁の泣きメロアンサンブル。
声質、体形ともにスティーブ・グリメットを思わせる存在感というよりは暑苦しさの方が勝るヴォーカル。
鼓笛隊のようなチープ感溢れるサウンドで、そのテクニックの危うさを露呈しまくっているドラム。
もはやB級感しか持ち合わせていないかのようなバンドです。
メンバー構成
- ヴォーカル: Vic Hix
- ギター : Ken Erb
- ギター : Eric Marderwald
- ベース : Kel Berkshire
- ドラムス : Danny Simmons
The Heat and the Fire 楽曲レビュー
前述のように、本曲はSHOK PARISの1989年発売3枚目のアルバム「Concrete Killers」の2曲目に収録されています。
とにかく、出だしのイントロからもうどうしようもなくクサいツインリードが炸裂しています。
このフレーズを鋲を打った黒い革ジャン着てのけぞりながら弾かれた日には、お見事!参りましたとしか言いようがありません。
そして、プロレスラー級の体格を誇るヴォーカルがこれ以上ない力み具合で熱く歌い上げるスタイル。
ただでさえ暑苦しさを感じさせる声質なのに、文字通り絶叫する歌いっぷり。
いやいや、もう少し力抜いても大丈夫でしょと言いたくなる程に、常にアクセルはべた踏み、フルパワー状態です。
緩急をつけるなどという概念は、彼には存在しないのしょう。
聴いてるこちらの肩が凝ってきてしまいます。
それでも、悲しいかなこのクサ過ぎる正統派様式美ヘヴィメタル楽曲を耳にすると、私の身体の中を流れるHR/HMを愛する血は勝手に反応し騒ぎ出してしまいます。
思い切り拳を突き上げながら大声で一緒に歌い、ギターソロではエアギターを構えながらヘッドバンギングせずにはいられなくなってしまうのです。
そうです、これこそが泣く子も黙る正統派ヘヴィメタル。
圧倒的に格好良いのです!。
ほめ過ぎかも知れませんが、かつてクイーンズライチの1st(EP)を初めて聴いた時のような衝撃を感じ、男臭いバックコーラスのメロディには思わずむせび泣きそうになります。
参考までに、アルバムに収録の他の楽曲についても、なかなかどうして同様のツインリードによる正統派ヘヴィメタルが展開されていて、1980年代のこの路線が好きな方にはおつりが来る位の内容充実のアルバムと言えます。