SAXON / DESTINY レビュー
本記事を書いているのは8月11日。
実はもうすぐやってくる8月19日「バイクの日」に因んで、ジャケットデザインや楽曲テーマが「バイク」のものを集めた特集記事を書くつもりでした。
VIXEN、JUDAS、CHEAP TRICKなんかも入れようとあれこれ企んでいたところ…。
やっぱり先ずは「バイカーズ・メタル」と言えばSAXONだよなぁ~。
と、一発目はお約束の「Motorcycle Man」でビシッと決めようと手持ちのCDを漁っていたところ。
そう、1980年リリースのNWOBHMを代表する名盤「WHEELS OF STEEL」のオープニング曲ですね。
↓↓↓SAXON「WHEELS OF STEEL」のレビュー記事はこちらから↓↓↓
SAXON 【おすすめ名盤】 Wheels of Steel NWOBHM老舗バンド
必至にCDを探していたところ、たまたま先に見つけちゃったのが本作「DESTINY」。
そう言えばこの時期のSAXONも何だか方向性に迷ってフラフラしてた感じだったなぁ~と何気なく再生。
オープニングでいきなり聴き覚えのある楽曲が…。
懐かしい~、懐かし過ぎる!
と、当時と同様にすっかりはまってしまい急遽予定を変更して本作のレビュー記事を書くことにしちゃいました…。
無骨なバイカーズメタルが切り開いた新境地メロディアス
SAXONと言えば、言わずと知れたNWOBHMムーヴメントの代表格バンド。
1979年にデビューアルバム「SAXON」でデビューし、新日ストロングスタイルとも言える無骨なリフとバイク乗りを唸らせる楽曲で不動の地位を築き上げてきた古参バンドですね。
本作はそんなSAXONが1988年にリリースした9枚目アルバム「DESTINY」。
初期の頃から支持して聴いている古参ファンからすれば、戸惑いを隠せない程にメロディアス・ハードロックに大きく舵を切った話題の作品でした。
何と言っても話題をかっさらったのがオープニング楽曲「Ride Like the Wind」。
何とオリジナルはクリストファー・クロス!。
映画「ミスター・アーサー(Arthur)」の主題歌「ニューヨーク・シティ・セレナーデ(Arthur’s Theme (Best That You Can Do)」があまりに有名ですね。
泣く子も黙るブリティッシュHMの雄がそうきましたかああああ!って感じで、さすがにこれには驚きました!。
更にはとどめを刺すかのように3曲目「I Can’t Wait Anymore」では、完全にメロディアス・ハードロックの世界にどっぷりと首まで浸かっている楽曲を披露。
勿論、SAXONの十八番であるカッチョ良いリフやキャッチーなサビメロのミドルテンポの楽曲も適材適所に配置され、アルバムとしての聴き応えも十分。
よく「バンドとしての進化」、「音楽性の幅を広げた」なんてことを言いますが、これほどまでの変貌を遂げるとは…。
いやはや参りましたね~。
シーンでは当然のように賛否両論入り混じる阿鼻叫喚の中、この路線、決して嫌いじゃない(むしろ大好き)私にとってはまさに予期せぬ吉報でした~。
かなりのヘヴィロテアルバムとなったのは言うまでもありません。
とは言え、かつての無骨で一本気なSAXONワールドしか受け付けない筋肉脳ミソ(失礼だろ…)ファンの離反をまねいたのは必至。
でも、新たなメロディアス・ハードロックファンの新規流入もそれなりにあったでしょうから、トータルプラマイ0って感じですかね…。
スコアチャート
メンバー・収録曲
メンバー
- ヴォーカル: ビフ・バイフォード
- ギター : グラハム・オリバー
- ギター : ポール・クイン
- ベース : ポール・ジョンソン
- ドラムス : ナイジェル・ダーラム
収録曲
- Ride Like the Wind -4:28
- Where the Lightning Strikes -4:19
- I Can’t Wait Anymore -4:24
- Calm Before the Storm -3:46
- S.O.S -6:02
- Song for Emma -4:45
- For Whom the Bell Tolls -3:54
- We Are Strong -3:56
- Jericho Siren -3:36
- Red Alert -4:34
おすすめ楽曲
Ride Like the Wind
アルバムのオープニングでいきなりかまされた前述のクリストファー・クロスの名曲。
曲名的にはまさにバイカーズ・メタルバンドSAXONがカバーすることには何の違和感も無いのですが…。
意表を突かれましたよねぇ~。
オリジナルのクリストファー・クロスのものにはイントロ前にSE効果音として風の吹く音がありましたが…。
いきなり無骨なギターでハードに入ってきましたねぇ~。
何だか初めのギターだけを聴くとKISSのアルバムを聴き始めたかのような錯覚を覚える程にシンプルです。
そしてクリストファー・クロスと対極に位置する「SAXONの象徴」「クセしかない」ビフ・バイフォードのヴォーカルが続きます。
う~ん、サビメロにかけてのコーラスも美しくてナイスです~。
本曲の風物詩とも言える曲間の「テゥルルル、テゥ、テゥ、テゥ、テゥ~」は、さすがにギターのカッティングで処理してきましたね。
名曲なだけに色々なコピーバンドにカバーされている本曲。
いつものお気に入り激上手コピーバンドの動画も貼っておきましょう。
そして更に今回は、こちらのドラムカバーの動画もご紹介しておきましょう。
ドラムってここまで楽曲の顔、印象を変えてしまう力があるんですよね~。
驚きです…。
申し訳ないけど、この曲に関してだけ言えばナイジェル・ダーラムのもっさりドラミングよりも数倍良いです。
あまりにタイトでキレがあり、あまりに心地よいペダルワークではないでしょうか。
格好良過ぎて無限に見ていられるお気に入りの動画です。
I Can’t Wait Anymore
やればできるじゃん、ビフ・バイフォードってな感じで、完全に立ち合いの猫だましの如く豹変して魅せましたねぇ~。
クセの強いビフも良いけど、こんな歌唱を魅せられたらますます「SAXON! チャチャチャ!」で全力応援しちゃいます。
まとめ
前作アルバム「INNOCENCE IS NO EXCUSE」でもその予兆を垣間見せていた古参バンドSAXONの試行錯誤。
ポップ路線の可能性を探りつつあったSAXONが、面舵一杯で大勝負に打って出たキャリア史上最大の異色アルバムとなった本作「DESTINY」。
天使の歌声「クリストファー・クロス」の名曲のカバーでいきなり幕を開け、キーボードも取り入れたメロディアス・ハードロックへの変貌ぶりには、当時のファンも度肝を抜かれました。
当然のように賛否両論が渦巻いた問題作となりましたが、個人的には予期せぬ吉報、SAXONの数々の作品の中でも上位のお気に入りアルバムです。