本気出したら最強の日本人レスラー「ジャンボ鶴田」
新日本プロレス派の私も認めざるを得ない「ジャンボ鶴田」
小学生の頃までは、ブッチャー&シーク VS ザ・ファンクスの戦いでのフォークによる凶器攻撃など、全日本プロレスの衝撃的なシーンに魅了されていた私も、中学生になるにつれ猪木のカリスマ性と本格派ストロングスタイルのプロレスへと興味が傾倒していきました。
黒のショートタイツに黒のリングシューズというストロングスタイルのプロレスこそが真の格闘技であると、毎週金曜日のゴールデンタイムにTVに釘付けになっていたのを思い出します。
そして初代タイガーマスクの登場でその興奮はピークに達し、いつしか全日本のパワー重視のスタイルを蔑んだ目で見るようになってしまいました。
しかしながら、全日本プロレスのレスラーの中でも「ジャンボ鶴田」だけは別格。
今でも「本気出したら日本人最強だろうな…」と思えてなりません。
196cmの恵まれた体格と運動神経、プロレスセンスのどれをとってみてもジャンボ鶴田を超える日本人レスラーはいないと言って良いでしょう。
非情になり切れない性根の優しさ
「本気を出したら」という条件付きの日本人最強説は、ジャンボ鶴田の根っからの人の善さ、優しさがプロレススタイルに出てしまい常に相手を怪我させないように気を使っている感じに見えたからです。
本名が「鶴田友美」というのも彼の優しさを象徴しているかのようです。
小学生の頃にやたらに意味もなく周囲の友人に連発していたジャンボ鶴田の代名詞とも言える得意技「ジャンピング・ニー・パット」。
この技を繰り出す際も、もろに膝をヒットさせるのは稀であり、大概は自分で身体をひねって太もも辺りが相手に当たるように調節していましたね。
いつしかキメポーズとなった「オー!」
さて、前置きが大分長くなりましたが、今回の本題はそんなジャンボ鶴田がリング上で誇らしげにとるキメポーズ「オー!」に焦点を当てています。
前述のジャンピング・ニー・パットをヒットさせ相手をリングに沈めた後のお約束の「オー!」。
直ぐにフォールにはいかずに相手にダメージ回復の時間や逆襲のチャンスを与える「優しさ」という側面もありました。
入場時にもはや敵、味方関係なしにお祭り騒ぎ状態となる「ツ・ル・タ、オー!」のコール。
極めつけは鶴田が技を繰り出す一挙手一投足に合わせての「オー!」など、ひやかし気味にもなってましたね。
そんな「オー!」をテーマに、今回はHR/HM楽曲を中心にこれまでに自身の聴いてきた音楽の中からピックアップしてみたいと思います。
私の選んだおすすめ「オー!」楽曲7選
Y&T / I’ll Keep on Believin'(Do You Know)
やはりトップバッターは私の一番好きなバンド「Y&T」に飾って頂きましょう。
アルバムジャケットの謎のミラーマンが左腕を大きく上げて「オー!」をキメてますね。
そしてピックアップした楽曲は、まるで鶴田の優しさを表現しているかのような哀愁メロディ。
泣きメロ人間国宝デイヴ・メニケッティに完全にヘッド・ロックされてしまいます。
お時間のある方は本編レビュー記事もご覧ください。
MANOWAR / Kings of Metal
これまた基本に忠実なスタイルで左腕「オー!」を美しくキメています。
デビュー以来、コテコテのヘヴィメタルを徹頭徹尾貫いているMANOWARの登場です。
MANOWARと言えば本来は両手を上げるこちらのポーズがお約束ですが、今回に限ってはアルバムジャケットの華麗な「オー!」に注目しご登場頂きました。
それにしても忠誠を誓う熱狂的なMANOWAR信者達の熱量はいつも凄いですね。
Bee Gees / Night Fever
コテコテのヘヴィメタルの後は束の間の箸休めとしてこの曲でクールダウンして頂きましょう。
1977年の大ヒット映画「サタディー・ナイト・フィーバー」の主題歌。
当時はBee Geesの3兄弟っていったいどこから声出してるのか不思議で仕方なかったです。
それにしても注目すべきは、主演のジョン・トラボルタがキメている完璧すぎる「オー!」。
正統派の証である右腕上げスタイル。
そして腰の入り具合、力強い左腕のバランス、全てが完璧な「オー!」の理想形、「元祖オー!」と言えるでしょう。
Billy Joel / Sometimes a Fantasy
今になって想えば、Billy Joelのこのアルバムは心優しいジャンボ鶴田への喝入れだったんですね。
ガラスの家を自身の壁に倣えて「鶴田、壁をぶっ壊して最強となれ!」というメッセージ。
バックアングルの「オー!」姿勢のあり方、重要性をも鶴田に教示しているかのようです。
そのことを証明するかのように、本曲ではサビメロに呼応して「オオオーオ」「オッオッオオ」とバックコーラスがこれでもかと「オー!」を連発しています。
MSG / Assault Attack
こちらもまた、力強く火力の強い神の「オー!」です。
背後の噴火(爆発?)などものともせずに愛器フライングVを高らかに掲げる「神」の神々しいお姿。
ギターの重量と掲げている右腕の角度を考慮すると「そう長い時間は持ってられないからシャッターチャンスは逃すなよ」という神のお言葉が聞こえてくるようです。
カメラマンがトロトロしてもたつこうものなら、神の右腕がピクピクいってしまいそうですね。
そして、ヴォーカルに青筋立て次郎の異名を持つグラハム・ボネットを擁しての本作のタイトルは「Assault Attack」。
まるでプロレスのフィニッシュホールドのような超強力なタイトルです。
The Cult / Fire Woman
1989年リリースの THE CULT 4枚目のアルバム「Sonic Temple」もまた、力強い「オー!」アルバム。
両足を大きく開いて勝利を確信したかのようにクールな「オー!」をかましています。
天空を突き刺すように真っすぐ頭上に挙げられた右腕。
左手に持つギターのネックは地面とほぼ平行に構えた美しくも芸術的なバランスのとれた「オー!」。
まるで Air Jordan のロゴマークのようです。
Yngwie Malmsteen / Fire & Ice
いよいよラストはこの貴族の登場です。
さすが貴族だけあってひと味もふた味も違う「オー!」をキメていますね。
かなりの下半身の柔軟性を求められる「オー!」です。
「オー!」の美学を追求する者にとっては不文律となっているのでしょうか、こちらもギターのネック角度は水平です。
そして何といっても本曲のタイトル「No Marcy(容赦なし)」こそが鶴田への強烈なメッセージなのですね。
まとめ
圧倒的な素質と才能に恵まれながらも、性根の優しさが邪魔をして非情に徹することが出来ず、個人的には不完全燃焼のままにレスラー人生を終えてしまった「ジャンボ鶴田」。
本気を出したら誰も太刀打ちできない程に強かったであろう、日本人最強レスラーがファンとのコミュニケーションとして築き上げた「オー!」の雄叫びパフォーマンス。
今回はHR/HM界を中心に「オー!」スタイルのアルバムから厳選7曲をピックアップしながら「ジャンボ鶴田」の強さに想いを馳せてみました。
くだらない内容に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。