Y&T / Earthshaker レビュー
最高のバンドの最高のアルバム
私の最もお気に入りのバンド「Y&T」の1981年リリースの3枚目のアルバム。
これを聴かずしてハードロックを語ることなかれ、と声高らかに叫びたい程の名盤中の名盤です!。
前作まではバンド名を「Yesterday & Today」と名乗っての活動だったバンドが、「Y&T」に改名しての心機一転の作品。
バンド名だけでなく、まさに音楽性や曲の完成度が「覚醒」レベルで変革を遂げています。
リアルタイムでのこのアルバムとの出会いはあまりに衝撃的過ぎて、私自身の「Y&T愛」は爆発!。
以来、40年以上の長きに渡りその愛の炎は決して消えることなく燃え続けています。
エッジの効いた骨太のギターリフ、パワフルでエモーショナルなヴォーカル、タイト感が心地よいリズム隊。
それら全てが渾然一体となり当時としては究極レベルの完成度を持つ楽曲として、怒涛のように押し寄せてきます。
泣きメロ人間国宝「デイヴ・メニケッティ」降臨
リードギターとヴォーカルを一人でこなすデイヴ・メニケッティが繰り出すメロディラインは、様式美、哀愁、叙情性等といった良くある形容表現も最早必要としない境地。
安っぽい陳腐な表現など無用です。
それそのものもってして「人間国宝メニケッティ節」と言える泣きメロのオンパレード。
前作までもアメリカ西海岸のバンドでありながら、どこかブリティッシュ感のある湿り気を醸し出してはいましたが、本作においてはサウンドをよりシャープに、よりハードに寄せつつメロディは思い切り泣かせていますね。
体操で言えば、ウルトラC級(当時のレベル表現であり現在ではE難度、F難度などと呼びますね。どうでも良いですが…)の大技を繰り出してきています。
とにかく、正真正銘の全曲捨て曲無しの最高傑作。
テクニックとかスピードとか小手先の方法論ではなく、熱いハートと魂で真正面から聴かせる真の正統派ハードロックという表現が相応しいでしょうか。
魂が思い切り揺さぶられる本作を是非とも体感して頂きたいと思います!
メンバー・収録曲
【メンバー】
- ヴォーカル: デイヴ・メニケッティ(兼ギター)
- ギター : ジョーイ・アルヴィス
- ベース : フィル・ケネモア
- ドラム : レオナード・ヘイズ
【収録曲】
- Hungry for Rock – 3:47
- Dirty Girl – 5:07
- Shake It Loose – 2:56
- Squeeze – 4:05
- Rescue Me – 4:51
- Young and Tough – 3:48
- Hurricane – 3:28
- Let Me Go – 3:12
- Knock You Out – 3:02
- I Believe in You – 7:21
おすすめ楽曲
Hungry for Rock
Rescue Me
Hurricane
(いや全然違うだろ…)
Let Me Go
Knock You Out
まとめ
時を同じくしてイギリスではNWOBHMのムーブメントが台頭し、正統派、様式美、叙情的サウンドを標榜するバンドが乱立してくる中で、アメリカ勢を代表して孤軍奮闘するようにY&Tがシーンに放った渾身の一撃!。
いまいちパッとしなかった「Yesterday & Today」時代と決別し、Y&Tに改名して文字通り生まれ変わっての制作となった本作。
アルバムのライナーノーツで伊藤政則氏が絶賛コメントを残しているように、当時(1981年)にして信じられない程の楽曲クオリティの高さを誇ります。
友人の家で、友人のお兄さんが買ってきた2枚のLPレコード(本作とタイガーズ・オブ・パンタン)を一緒に聴かせてもらい、本作を聴いた時のあの衝撃。
今でも鮮明に思い出すことができます。
当時思春期真っ只中だった少年は、1曲目の「Hungry for Rock」のカミソリのようなリフに脳ミソを切り刻まれ、タイト感極まりないドラミングで全身をボコボコにされているかのような衝撃を喰らってしまったのです!。
この感覚は40年以上経っても全くもって弱まる気配など微塵もなく、強烈なインパクトとしてこのまま墓場まで持っていくことになるのでしょう。