Y&T(Yesterday and Today) / 1st 泣きメロ人間国宝のデビューアルバム

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Yesterday And Today 1st

ハードロック/ヘヴィメタル・バンドの中で「一番好きなバンド」を挙げよ!

こんな究極の選択を迫られたら皆さんも大いに悩むところだと思います。

私の場合は、もしも敢えて1つだけバンドを選ばなければならないとなったら、苦渋の末に「Y&T」と答えます。

これまでに自身が体験したライブの回数も一番多いですし、楽曲を聴いた回数(=時間)も多分一番だと思います。
(持ってるバンTも一番多いし…)

とにかく、愛してやまない「Y&T」。

今回はそんな彼らのデビューアルバムのご紹介です。

 

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Yesterday and Today デビューアルバムレビュー

バンド名はまだ「Yesterday and Today」

既に周知のこととは言え、念の為に記しておきますとY&Tの元々のバンド名は「Yesterday and Today」です。

その名の由来は1966年にビートルズがリリースした12枚目のアルバム名からとったものと言われています。

the beates yesterday and today

 

 

 

 

 

 

 

Y&T(Yesterday and Today)は、1974年に米国カリフォルニア州オークランドの地でデイヴ・メニケッティを中心に4人編成で結成されました。

(今となっては、当時のオリジナルメンバーで存命なのはデイヴ・メニケッティのみという悲しい現実ですが…。)

1976年にデビューアルバムである本作「Yesterday and Today」をリリース。

1978年には2ndアルバム「Struck Down」がリリースされていますが、この2枚までがバンド名義が「Yesterday and Today」。

当ブログでも既にご紹介済の1981年リリースのハードロック史に残る名盤中の名盤3rdアルバム「Earthshaker」からバンド名が現在の「Y&T」に変更となりました。

 

典型的な70年代B級バンドのサウンドと楽曲

当ブログのモットーは「信頼と誠実」。
よくある何でもかんでも「最高!最高!」と適当に持ち上げるサイトではありません。
それは「一番好きなバンド」であっても変わることはなく、たとえ愛するY&Tの作品であっても容赦なくダメ出しします。
ということで、本作と他の70年代ビッグバンドの作品を比べてしまえば、サウンドはドタバタ感満載のチープさ丸出し。
楽曲のメロディ展開もいま一つフックに欠け、凡庸な印象を受けてしまうのも紛れもない事実です。
とりわけ、耳障りなのがレオナード・ヘイズの野暮ったいバスドラの刻み。
そして、よせばいいのにフィル・ケネモアのベースがそれに同調するので、まるで手足にスリッパを履いて4足ダッシュしているようなドタバタ感です。
総じて、リズム隊が走りがちな印象でブルージーな渋いフレーズも安っぽく聴こえてしまいます。
また、今でこそ泣きメロ人間国宝の称号をほしいままに誇示するデイヴ・メニケッティのギターも、まだこの時点ではその片鱗をチラ見せしている程度。
少なくとも、本作を聴く際においては涙腺決壊の災害対策本部の設置は不要です。
しかしながら、物事には必ず表裏がありますのでそんな今一つと評される部分も、ポジティブに表現するとどうなるか。
「新人バンドらしいフレッシュ感があり、荒削りながら勢いを感じるサウンド」
「デイヴ・メニケッティのギターも細かいミスピックなどどこ吹く風で、生々しいライブ感、ロックスピリッツを感じるプレイ」
とか言えちゃいそうですね~、ものは言いようです。

よくよく見たら既にヤバかった「レオナード・ヘイズ」

後にいくつかの騒動を巻き起こすことになるドラムスのレオナード・ヘイズですが、アルバムジャケットを改めてまじまじと見てみるとこの当時から既に単なるヤバい人ですね。

今まで気にしたことも無かったのですが、よく見たら裸に短パン一丁じゃないですか!。

しかもその短パンが昭和の時代の小中学校の体育着みたいなやつという…。

ていうか、この場合は彼個人の問題も当然ありますが、周りに止める人が誰もいなかったというのが恐ろしいです…。

おかしいと言えば、当時からサンバーストのレスポールを愛器としていたデイヴ・メニケッティがフライングVを持っているのも謎ですね。

 

メンバー・収録曲

バンドメンバー

  • ヴォーカル: デイヴ・メニケッティ(兼ギター)
  • ギター  : ジョーイ・アルビス
  • ベース  : フィル・ケネモア
  • ドラムス : レオナード・ヘイズ

 

収録曲

  1. Animal Woman
  2. 25 Hours a Day
  3. Game Playing Woman
  4. Come on Over
  5. My Heart Plays Too
  6. Earthshaker
  7. Fast Ladies
  8. Alcohol
  9. Beautiful Dreamer

 

おすすめ楽曲

Animal Woman

オープニングはシンプルなハードロック・チューン。

フィル・ケネモアのベースラインが妙にポコポコ跳ねているのが気になりますが、この時代のオーソドックスなハードロック楽曲としては平均点を貰える出来映えではないでしょうか。

それでも、デイヴ・メニケッティのヴォーカルはまだまだエモーショナルさに欠ける淡泊なもので、ギターソロも線が細く、チープ感が否めないサウンド。

一人気を吐くレオナード・ヘイズの音数の多いドラミングも、悪く言えば浮いています。

 

Game Playing Woman

当時の単曲の音源が見つけられなかったので、2003年のスウェーデンフェスでの動画を貼っておきます。

いやぁ~、シンプルに格好良いですね。

楽曲中盤での変調~ヴォリューム奏法を駆使したギターソロなど、2003年のこの頃になると完全に円熟味を魅せているデイヴ・メニケッティのプレイ。

その後曲が復調してすぐにサイドギタリストのジョン・ナイマンが短いソロを敢行していますが、これが見事なズッコケぶりで思わず聴いてるこちらが赤面してしまいます。

性格が滅茶苦茶良い人格者なので、プレイはそこそこでもOKということで…。

 

Beautiful Dreamer

本デビューアルバムの中では最も認知度の高い楽曲だと思います。

若いバンドのデビューアルバムには似つかわしくない落ち着いた雰囲気の楽曲。

この時点ではデイヴ・メニケッティのヴォーカルは、まだ楽曲の渋さに追いついてなく背伸びしている印象ですね。

それでも終盤のギターソロは「思い切りの良い弾きまくり殺法」を繰り出しており、ビシッとラストを締め括っています。

(関係無いけど…)デイヴ・メニケッティの毛量が半端ないですね~。

 

まとめ

いくら70年代クオリティとは言え、既に後半を迎えた1976年というタイミングでリリースされた本作に対して、決して称賛に値するような「名盤」などとは口が裂けても言えません。

後の1981年にシーンに大激震を起こすことになる「Y&T」ですが、まだこの段階では誕生前の「さなぎ」のような状態。
(イナズマンになる前のサナギマン)

sanagiman

 

 

 

 

 

演奏テクニックも表現力も、現在の彼らと比較してしまえば程遠い低レベルで、生々しいライブ感のみが売りの自己陶酔型バンドと言われても反論の余地がない程です。

しかし、その中にもデイヴ・メニケッティのヴォーカルやギターフレーズの端々にはピュア過ぎるほどのひた向きさ、研磨される前の原石のような光明を感じとることができます。

楽曲の良し悪しもさることながら、ひた向きにハードロックと向き合うデイヴ・メニケッティはじめ各メンバーの姿勢こそが、彼らに魅了される最大の要因であるような気がします。

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