Fighter / The Waiting レビュー
美女ヴォーカル率いるクリスチャン・バンド
クリスチャン・メロディアス・ロックなるジャンル名が存在するのか否かは不明ですが、アメリカンハードロックというありふれた一般的な呼称で括るにはあまりに安直過ぎて勿体ない。
そんな気すらしてくる極上のバンド「FIGHTER」。
1991年リリースされたデビューアルバムです。
FIGHTER は、ヴォーカル兼ソングライティングを担う(私のストライクゾーンど真ん中の)魅惑の美女ヴォーカリスト Amy Wolter を中心とした5人組のバンド。
その音楽性は、JOURNEYやNIGHT RANGERを想起させるような、美しいメロディラインと躍動感溢れるサウンドが特徴。
本作ではデビューアルバムとは思えないクオリティの楽曲を次々に展開しています。
作品全体を通じて覆われている透明感、胸が張り裂けそうになる程に切ない哀愁のメロディラインの上を、Amy Wolterのヴォーカル(楽曲によってはドラムがリードヴォーカルを担当)が情感豊かに歌い上げていきます。
琴線を刺激しまくるサビメロとギターソロ
そして、何と言っても特筆すべきはどの曲でも聴くことのできる印象的なサビメロ。
Amy Wolterのフックの効いた歌唱は、それだけで十分に Pat Benatar や HEART を思わせる表現力と迫力がありますが、更にサビでは強力なサポートとして厚みのある流麗なバックコーラスが展開。
まさに鬼に金棒、盤石の体制ですね。
演奏陣も決して派手さはありませんが、特にギターは要所要所のソロで琴線わし掴みのフレーズをクールに入れてくる渋いプレイぶり。
いずれの曲でもコンパクトなギターソロの構成ながら、切れ味のある鋭い音色で決して楽曲を邪魔することなく、起承転結をまとめてくる辺りはまさに職人技と言えるでしょう。
バンドメンバー・収録曲
【メンバー】
- ヴォーカル: Amy Wolter
- ギター : Billy Heller
- ベース : Jim Wolter
- ドラム : Sean Murphy
- キーボード: Mark Pence
【収録曲】
- Look Me In The Eye
- Wishful Thinking
- Shadows
- Face To Face
- Star One
- Do What You Want
- Running The Race
- Nice Guy
- The Waiting
- Radio Man
- Stop Look Listen
おすすめの楽曲
Face To Face
Running The Race
Stop Look Listen
あまりにメソメソばかりしていると、単なる泣きメロ大好きの「センチメンタルおやじ」なだけだろ!と笑われてしまいそうです。(実際そうなのですが)
そんな悪しきイメージを払拭してくれるのがこの3曲目。
ザクザクとエッジの効いたリフメロで始まるハードロック魂を揺さぶる良曲です。
心地よい絶妙の歪み具合で小気味良くバッキングを刻んでくるギターは、曲中のソロでも鋭いプレイを披露。
本アルバムの楽曲の中でも一番気合の入ったソロプレイに感じる渾身のメロディ展開を聴かせています。
個人的には名曲揃いの本作の中でも特にお気に入りの楽曲です!。
まとめ
まさしく日本のリスナーの琴線にドンピシャでマッチしてくるような、哀愁のメロディアスハードロックが凝縮された本アルバム。
残念ながら、国内盤として発売されていないことには驚きと失望しかありません。
当時足繫く通っていた「上質のメロディアス・ハードロックのアルバムを豊富に品揃えしていた新宿の輸入盤専門店『GOLD』」で、私は運よくこのアルバムに出会えましたが。
まったく日本のレコード会社はどこに目(耳?)をつけているのか!。
と、今更ながら苦言を呈しておきたいものです。
因みに、FIGHTERは翌年にもう一枚2ndアルバムをリリースしています。
こちらもレビューさせて頂いていますので、興味が湧いた方は是非ともご覧下さい。
