Saber Tiger 北海道が産んだカリスマど根性バンド
メジャーデビューに時間を掛けた超熟成バンド
Saber Tigerがバンドとして北海道で結成の産声をあげたのが1981年。
その後、本曲収録のプロジェクト作品でメジャーデビューを実現したのが1997年。
そうです、Saber Tigerというバンドは実にデビューまでに16年もの歳月を掛けた(掛かった?)超熟成度の高いバンドなのです。
インディーズとしてどの程度の規模感で活動していたのか勉強不足でわかりませんが、カリスマ掛かった噂程度にバンド名を耳にすることはありました。
でも正直言ってデビュー前までその楽曲を耳にしたことは無かったバンドです。
何しろ、極々限られた予算に対して毎月容赦なく続々と新譜が出てきますので、その中から”これぞ”と意を決っした数枚を買えるわけでありまして…。
休日は新宿やお茶の水を一日がかりで歩き廻って楽器やCDを見ているだけでも楽しかったです。
なので、とてもじゃないけどインディーズバンドに投資する余裕は残念ながら無かったですね~。
目まぐるしいメンバー交代の末に?
昔、北海道は離婚率が全国で一番高いんだよ(違っていたらごめんなさい)、なんて話を聞いたことがありますが、サーベルタイガーのメンバーも入れ代わり立ち代わりの目まぐるしい交代を繰り返してきたようです。
ベルトサインは常に点灯しっ放し、なかなか安定飛行の体制に入れなかったようですね。
一時は女性ボーカルの時期もあったようで、後に発売されることになる当時の音源を集めた後追い盤で確認することができます。
(個人的にはバンドの音楽性には女性ボーカルの方がマッチしている印象を持ちました)
そして、どんな経緯でそうなったのか知る由もありませんが「ロン・キールがヴォーカルを担当したアルバム」という本作の新譜レビューを発見して購入へ走ることに。
ヴォーカルのみならずリズム隊2人も最強の布陣
やはり何だかんだ言っても英語の歌詞の方が格好良く聞こえるのは紛れもない事実。
歌詞は英語に越したことはありませんし、外人が歌った方が自然な発音が耳に心地よく感じます。
ロン・キールと言えば、STEELERでのイングヴェイとの活動で有名ですが、個人的には抑揚のあまりない一本調子なボーカルスタイルであまり「上手さ」は感じません。
失礼ながら、イングヴェイ恩恵とルックスの良さでどうにか生き長らえてきたような印象です。
客寄せパンダ的な要素のロン・キールの参加以外に、本作の魅力は何と言っても「柴田直人&本間大嗣のANTHEM屈強リズム隊」の参加です!。
余裕を感じさせる圧巻のパフォーマンスと、曲展開時の要所要所での「間」や「緊張感」といったものを感じてゾクゾクします。
楽曲レビュー
アルバムラストを飾る名曲
サーベルタイガーというよりも実質ギター木下昭仁のソロアルバム的な感じの本作ですが、一般的にはオープニング~3曲目までの楽曲、構成に対する評価が高いようです。
率直に言って「その手の楽曲」は他のバンドで十分にお腹いっぱいになれるので、個人的には本曲のような特徴的な楽曲をおすすめしておきたいところです。
アルバムのラストを飾る本曲は、何と言っても楽曲の完成度が半端なく、完全に出来上がっちゃってます。
ANTHEMとしての曲だったら良かったのにな~などと欲張りたくなってしまう程に「良い曲」だと思います。
シンプルで渋いリフ、腰を落として四つ相撲に徹するかのようなドラム、キャッチーなサビメロ、ドラマティックな曲展開、さりげなく心地よいグルーブ感のベース、渾身の構成とフレーズで思う存分弾きまくっている全力のギタープレイといった種々の要素が、ストレートにリスナーにビシビシ伝わってくる印象です。
7分10秒という曲の長さを全く感じさせない、むしろずーっと聴いていたい、そんな感覚に襲われるような本当に魅力あふれる名曲だと思います。