DREAM EVIL 【おすすめ名曲】 Chasing The Dragon

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HR/HMの黄金時代「’80年代」

新譜購入時の限られた情報源

ITの時代と言われる現代においては、インターネットの普及により誰もが簡単に短時間で「情報」を入手できるようになりましたね。

新譜アルバムのリリース情報は勿論の事、ライブ関連の情報もSNSなどを通じて開催予告、当日の様子やセットリスト、レビューに至るまで瞬時に知ることが出来ます。

本当に便利な世の中になりました。

その昔、ハードロック/ヘヴィメタルを愛する多くの人達にとっての情報源は、王道の「Music Life」やHR/HM専門雑誌「B!誌」をはじめとする紙媒体や、FMラジオ、少ない頻度で放映されていたTV番組などに限られていました。

昭和生まれの紙媒体世代の私は、毎月「B!誌」を購入して隅から隅まで一字一句読破するのが楽しみでした。

特に巻末の「今月の新譜レビュー」は重要で、限られた資金の中でどのアルバムを購入するか?の重要な判断材料となるものでした。

 

レコード・コレクターズの特集版で思う事

「B!誌」は今でも購入し続けていますが、先日、書店で一緒に見かけたのがこの雑誌。

record-collectors-magazine

「レコード・コレクターズ・マガジン」
どうやら、この前月号から「ハード&ヘヴィ アルバム・ランキング100」という企画を特集していたようで、私がたまたま見つけたのは「80年代」でした。

自分にとってのHR/HM黄金時代とも言える「80年代」の特集であり、B5判サイズのコンパクトな設計という重宝さもあって即買いしてしまいました。(本体価格800円)

これなら通勤の際の持ち歩きにも、電車の中で読むにも良いサイズ感です。

そして、翌月には「90年代」特集が発売されるということで。

久々にワクワクした気持ちで発刊を心待ちにしながらようやく迎えた発売日。

早速、書店に行きお目当ての品を手にし、ザーッと中の内容を確認。

ベスト100のランキング・アルバムの画像が掲載されているのをパラパラと見終えて、私は購入を心待ちにしていたその本を、そっと静かに書店の棚に戻したのでした…。

ベストと選出された100枚のアルバムの中には、私の思い描いていた作品はほんの僅かしか無く、殆どが…。

まさか今頃になってこんな場面で「正統派、メロディアスHR/HM不遇の時代」のあの悔しい黒歴史を思い出させられるとは…。

「そうだよなぁ~。」「そうなっちゃうよなぁ~。」

あれからかなりの年月が経過したとは言え、変えることはできない歴史の事実…。

そんな、私のとっての長い長い暗黒の時代を切り開いてくれる救世主、一筋の確かな光明としてシーンに登場してきてくれたのが今回ご紹介のバンド「Dream Evil」だったのでした。

DREAM EVIL / Chasing The Dragon どんな曲?

北欧スウェーデンからデビューの本格正統派ヘヴィメタル・バンド

「北欧」という単語を聞いただけで反応してしまうメロディアス・フリークにとって、まさに待望と言える本格正統派のヘヴィメタル・バンドが2002年にデビュー。

それまでの長い期間、まるで隠れキリシタンの如く肩身の狭い思いで「古臭い」と酷評され続けてシーンの片隅に追いやられ、忘れ去られようとしていた「古き良き80年代の本格正統派メロディアスハード・ヘヴィメタル・バンド」がようやく復活の息吹きを取り戻したかのようでした。

今回ご紹介するのは、ドリーム・イーヴルの記念すべきデビューアルバム「Dragon Slayer」のオープニングに収録されている血のたぎるような名曲です。

 

フレドリック・ノルドストロームによって鳴らされたシーンへの警鐘

ドリーム・イーヴルは、欧州ヘヴィメタル勢の代表的なバンド「ハンマーフォール」「イン・フレイムス」などのプロデュースを手掛けてきた敏腕フレドリック・ノルドストローム(ギター・キーボード)を中心に結成。

ガス・G等の実力者を揃えたタレント揃いのバンドです。

バンド名からしてHR/HM界の大御所 DIO が1987年にリリースした4枚目のアルバム名と同じもの。

そして1980年代当時を想起させるコテコテ要素が満載です。

個人的には然程悪くないのでは?と思っていますが、多くの人に酷評されているアルバムジャケットデザイン。

コテコテ大王「マノウォー」あたりを想起させる、やたらと大仰な世界観で押しまくってくる楽曲群。

これまでに数々のバンドをメジャーシーンに送り出してきた敏腕プロデューサーであるフレドリック・ノルドストロームがおそらく考え抜いた結果なのでしょう、敢えての戦略であり方法論、更に言うならば「当時の憂いべきハードロック・ヘヴィメタル・シーンに対する強烈な警鐘、メッセージ」としか思えません。

そう、それは間違いなく温故知新。

「みんなそろそろ目を覚ませ」「本来ヘヴィメタルとは?」

と、当時のシーンやリスナーに投げ掛けているかのように思えます。

1990年代に一気に加速したヘヴィメタル・シーンにおけるグランジ、オルタナティブへのシフト、変貌ぶりには正直全くついて行けなかった(行く気もなかった)感がありましたが、21世紀に入った2002年にこんな素晴らしいバンドが出てきてくれるとは!。

まだまだ世の中捨てたもんじゃないなと、本当に涙が出るほどに嬉しい瞬間だったのでした。

(個人的な見解ですが)無駄に重苦しく単調なサウンド、攻撃的な咆哮のみの歌唱、速さとテクニックだけを競う音楽性の台頭するシーンに絶望しかけていた自分。

そんな自分にとって、かつての80年代のような本格的な正統派ヘヴィメタル・サウンド、メロディアスな楽曲を何の迷いもなく、むしろこれ見よがしに展開してくれたドリーム・イーヴルの登場は、まさに救世主現る!といった心躍るような心境でした。

 

メンバー

  • ボーカル: Niklas Isfeldt
  • ギター : Gus G.
  • ギター : Fredrik Nordstrom
  • ベース : Peter Stalfors
  • ドラム : Snowy Shaw

 

楽曲レビュー

アルバム全体を通して、どの曲もシンプルかつパワフルでクオリティが非常に高いのですが、その中でもこのオープニング曲は群を抜いていて「ヤバ過ぎ」ます。

完全に1980年代を思わせるミドルテンポの本格正統派ヘヴィメタルを具現化した楽曲は、当時を知るファンにとってはたまらんチンな「完璧な一曲」と言えるでしょう。

適度な重厚感と切れ味でエッジの効いた渋いリフを刻むギターは、決してテクニックをひけらかすことはなく(ルドルフ・シェンカーを思わせるような)熱いバッキングに徹し、ソロパートにおいてもその片鱗をちょこっと垣間見せる程度。

「どうだ、俺って速いだろ。」の速弾き選手権への出場などには全く興味なしといった風情です。

(本来当たり前のことなのですが)ボーカルもしっかりと良質のメロディラインを歌い上げながら、サビに向かってエモーショナルに盛り上げていきます。

聴いているこちらは、サビメロでは思わず自然に握った拳を突き上げたくなる程に、全ての正統派メロディアス・ヘヴィメタルファンの琴線をこれでもかと言わんばかりに揺さぶってくることでしょう。

 

まとめ

繰り返しになりますが、2002年にこのバンド「DREAM EVIL」、この楽曲「Chasing the Dragon」に出会えたことは、ヘヴィメタル・シーンにとっても、私自身にとっても非常に重要なターニング・ポイントになるような気がしてなりません。

物理の授業は苦手でしたのであまり良くは解りませんが、振られた振り子が「必ず」元に戻ろうと逆に振り戻されるように、振れ幅の大きかった分だけ、戻るパワーとスピードも大きくなるような気がします。

時を経て、後で振り返れば「ドリーム・イーヴル」の「あの曲」辺りが境になってヘヴィメタル・ムーブメントが大きく変化していったんじゃないかな?位に言われてもおかしくない、ハードロック・ヘヴィメタルの歴史とリスナーとしての記憶に深く刻んでおきたい名曲です。

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