JUDAS PRIEST / SIN AFTER SIN(背信の門)初期の名盤

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JUDAS PRIEST / Sin After Sin レビュー

英国ハードロックの様式美に震えそうなジャケットデザイン

1977年リリースのジューダス・プリースト3枚目のアルバム。

誰が付けたか「邦題:背信の門」

いやー、とにかくアルバムジャケットのデザインからして格好良すぎますね。

まさにブリティッシュ・ハードロックそのものって感じな様式美と荘厳さにチビリそうになります。

そして、アイアン・メイデンとかのアルバム邦題もそうですが、ヘヴィメタルって漢字との相性が良いんですよね。(たまにズッコケなのもありますけど)

ジューダス・プリーストでも「運命」「背信」「復讐」「背徳」「贖罪」などなど、日本語もなかなかやるなって感じがします。

 

元DEEP PURPLEのロジャー・グローバーがプロデュース

本作のプロデューサーはなんと元DEEP PURPLEのロジャー・グローバー。

どこでどう繋がったのかは知りませんが、意外ね意外ねって感じでそれだけで普通に期待値が高まります。

でも、これがまた意外の完全に名前負けする思わぬポンコツぶり!。

私のがんこ親父がいつもプロ野球を見ながら得意げに言っていた「名選手、名監督にあらず」というフレーズを思い出します。

まあ、1977年という時代背景といいますか、機材技術の限界もあるとは思いますが完全にそれ以前の問題かと…!。

とにかく個人的にはギターの音とかありえないでしょって感じです。

もちろん、70年代当時のハードロック然としたギターサウンドはミルクを入れ過ぎたコーヒーのようにマイルド感が強く、音質もこもりがちに聴こえることは理解しているつもりですが。

あまりにも他の楽器とのバランスも悪いし、アンプから直接モノラルマイクで音拾ったの?くらいのレベルで泣けてきます。

折角の2枚看板のギターがこれぞハードロック!というリフやメロディアスなフレーズを次々に繰り出してきているというのに…。

全く厚みや工夫もなく、知らない人はクレジット見なければツインリードのバンドだなんて思わないかもです。

 

際立つロブ・ハルフォードの表現力と楽曲の良さ

これだけ酷評しながらもそれなりのセールスと後世に残る名盤としての評価を得てきたのは、何よりも楽曲そのものの良さ。

そしてロブ・ハルフォードのヴォーカルの多彩な表現力によるところが大きいと思います。

低音~高音までの幅広いレンジを巧みに使い分けたヴォーカルスタイルはこの時点で既に確立されていたようですね。

楽曲も後のライブでは欠かせないバンドの代表曲として育っていく曲が数多く収録され、アルバム全体を通して最後まで中だるみすることなく聴き入ってしまいます。

また、本作の中でもヘヴィな印象の強い「Dissident Aggressor」がシングルカットされるあたりは、この当時から意表をつくというかバンドの計り知れない世界観を如実に表しているように思います。

因みにシングルB面は「Diamonds & Rust」で、実質ダブルA面シングルですね。

そして、忘れてはならないのがサイモン・フィリップスのドラム。

本作だけの助っ人参加ではあるもののさすがの職人ぶり!。

派手さはないもののドライブ感十分なグイグイと推進力のあるドラミングを披露していますね。

サイモン・フィリップスは、後にMSGのデビューアルバム「邦題:神~帰ってきたフライング・アロウ」でも登場してきますので、「神」御用達ドラマーといったところでしょうか。

 

メンバー・収録曲

バンドメンバー

  • ヴォーカル:ロブ・ハルフォード
  • ギター  :K. K. ダウニング
  • ギター  :グレン・ティプトン
  • ベース  :イアン・ヒル
  • ドラムス :サイモン・フィリップス

 

収録曲

  1.  Sinner – 6:42
  2.  Diamonds & Rust 3:23
  3.  Starbreaker 4:49
  4.  Last Rose of Summer 5:36
  5.  Let us Prey/Call For The Priest  6:12
  6.  Raw Deal 5:59
  7.  Here Come the Tears 4:36
  8.  Dissident Aggressor 3:06

 

おすすめ楽曲

Sinner

オープニングは後のライブでの常連曲ともなるジューダス・プリースト代表曲の一つ。

シンプルながら凄みのあるリフでドラマティックにスタートするものの、バッキングといいあまりにもギターの音質がチープで勿体ないです…。

変調による展開アレンジを重ねながらロブ・ハルフォードが高音域をやんわりと小出ししてきます。

中盤ではスローダウンしながらの幻惑的なギターソロとロブ・ハルフォードの高音がいよいよスロットルを全開にして絡み合ってきますね。

悲しいかな後のジャパメタ勢に散見された「ひっくり返り高音」ではなく、グレン・ヒューズやイアン・ギランを髣髴とさせる天然の恵みみたいなものを感じる自然な迫力のあるハイトーンヴォイスですね。

ラストも圧巻のパフォーマンスぶりで、まさしくヴォーカルが完全に一つの楽器となっています。

 

Diamonds & Rust

続く2曲目もこれまた名曲中の名曲が収録!。

2017年に「ロックの殿堂」入りを果たしているアメリカン女性フォーク・ロッカーの第一人者 ジョーン・バエズのヒット曲「ダイヤモンズ・アンド・ラスト」。

折角なので参考までにオリジナルもどうぞ。

オリジナルを聴くと解りますが、序盤こそメロディをなぞってはいるものの、中盤以降(早口言葉的な歌い回しの部分以降)は完全にジューダス・プリーストのアレンジにより見事に化けている楽曲です。

ライブではさらにイントロに「思わせぶり」なサラウンドアレンジも加わり、ファンにとっては堪らない楽曲ですね。

あえてギターソロを独立させずにヴォーカルのメロディの裏で絡みつくように聴かせる展開は見事です。

 

Starbreaker

畳み掛けるように3曲目もバンドの代表曲にあげられる曲が続きます。

後に登場することになる彼らの真骨頂「鋼鉄のリフ」が、その産声を上げた瞬間とでも言いましょうか。

ドラムの基本リズムに後からシンプルに乗っかってくるリフは、全て感情をどこかにしまい込んできたかのように冷酷無情に淡々と刻まれていきます。

この曲を聴き直して改めて思うことは、ロブ・ハルフォードの歌唱は実に見事に抑揚が付けられているということです。

高音出しに必死になるあまり、サビでは既にリミッター制御によりそれ以上のパワーを発揮できない。

もしくは1速目からベタ踏み全開状態で、聴いてるこちらのエンジンが焼き付いてしまいそうになるヴォーカリストが多い中、ロブ・ハルフォードは必ずサビ部分でもう一段ギアを上げてきますよね~。

そしてそれは音域だけの話ではなく、音圧、パワー感みたいなものもサビ部分ではより強く感じます。

楽曲の構成、メロディの良さと相まって、ヴォーカル技術とパワー感がリスナーに対してより強いインパクトで伝わっていると思います。

 

Dissident Aggressor

シングルカットされた本曲はアルバムの中では最もヘヴィな印象で、後にバンドが突き進んでいく方向性に近い作風と言えるでしょう。

この曲をシングルカットする辺りが私のような常人には到底理解に及ばない、ジューダス・プリーストというバンドが見ている世界観のヒントなのかなと思います。

「異端」「復讐」「叛旗」など、どこか抑圧される側、少数派側の視点からのメッセージ性をもった楽曲を推してくる印象がありますね。

 

まとめ

アーティストの誕生日や、アルバムリリース日の振り返り(〇周年)のニュースに触れると、その時間の経過の速さに愕然となります。

特にベテラン勢のバンドは全盛期に聴いていた頃からすれば最低でも30年以上は経過していることになるので、年齢的には60歳代の後半から70歳代のアーティストがわんさかいる筈ですね。

「えっ? あの貴公子のように格好良かったジョー・リン・ターナーが70歳?」とか…。

本当に信じられないというか、嫌になっちゃいます。

当然、自分もそれだけ歳をとっているわけで、その衰えぶりは他人の心配などしている余裕はないのですが…。

80年代のヘヴィメタル絶頂期に活躍した大物アーティスト達は、この先近いうちに続々とリタイア、急逝してしまうようなこともあり得ます。

そうなった時に、これからのヘヴィメタルシーンはどんなバンド、どんなアーティスト達が中心となって支えているのでしょうか。

非常に楽しみでもあり、正直不安でもあります。

バンド名だけが老舗の屋号のように受け継がれていく、もしくは息子等の2世の世代が実力をつけて台頭してくるなんてことも考えられますね。

リスナー側としても古き良き時代を述懐するだけでなく、新しい可能性を秘めた作品をどんどん発掘していかねばと思います。

 

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