ハードロックバンド 最近の新譜おすすめ?選(2023年版)

スポーンサーリンク
Vandenberg_Sin

最近は海外アーティストの来日公演ラッシュで、ファンとしてのお財布事情もなかなか厳しいものがありますね。

魅力的な新譜もどんどんリリースされていますので、限られた予算の中でコスパ良くコレクションしていきたいものです。

この記事では2023年にリリースされた主にHR/HMアルバムの中から、おすすめの作品を選んで紹介しています。

メロディアス・ハードロックを主食とする私のあくまで主観でのチョイスですが、まだ未聴の方の少しでも参考になれば嬉しいです。

(記載はあくまでも「リリース日付順」なのでランキングではありません)

(随時、追記しながら更新していきますので、たま~に立ち寄って頂けると嬉しいです!)

 

【 ★目次をタップすると読みたい場所にジャンプします★ 】

 

スポーンサーリンク
  1. 最初にお伝えしたいこと
  2. TEN | SOMETHING WICKED THIS WAY COMES
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  3. CROWNE | OPERATION PHOENIX
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  4. The Winery Dogs | Ⅲ
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  5. T3NORS(テノールズ) | NAKED SOUL
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  6. Khymera | Hold Your Ground
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  7. Ascension | Under the Veil of Madness
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  8. WINGER | SEVEN
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  9. ANTHEM | CRIMSON & JET BLACK
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  10. HEAVENS EDGE | GET IT RIGHT
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  11. ALCATRAZZ| TAKE NO PRISONERS
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  12. U.D.O.| TOUCHDOWN
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  13. KK’s PRIEST | The Sinner Rides Again
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  14. Ronnie Atkins | TRINITY
    1. 不屈の男が来日しますね
    2. アルバム概要
    3. おすすめの1曲
  15. NITRATE | FEEL THE HEAT
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  16. IMMORTAL GUARDIAN | UNITE AND CONQUER
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  17. DORO |CONQUERESS – FOREVER STRONG AND PROUD
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  18. DOKKEN | HEAVEN COMES DOWN
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  19. SKAGARACK| HEART AND SOUL
    1. アルバム概要
    2. おすすめの1曲
  20. VANDENBERG| SIN
    1. アルバム概要
    2. メンバー
    3. おすすめの1曲
  21. ECLIPSE| MEGALOMANIUM
  22. 過去の新譜おすすめ記事はこちらから
  23. 最新の新譜おすすめ記事はこちらから

最初にお伝えしたいこと

このブログでは、楽曲を聴きながらレビューを楽しんで頂くために主に音楽サブスク配信サービスの音源を貼り付けています。

当初は何も考えず「Spotify」を貼っていましたが、途中から極力「Apple Music」に変更しました。

その理由は、「Apple Music」は再生された時にアーティスト側に支払われる報酬が他の音楽サブスクサービスに比べて圧倒的に高いので、アーティストへの応援につながるからです!。

皆さんもどうせ聴くんだったら、お気に入りのアーティストの応援につながる「Apple Music」にしませんか?。

下記のリンク記事で詳しい内容をご紹介していますので、是非見てやってください。

「Apple Music」収益は他社を圧倒! 音楽サブスクはみんなで「Apple Music」を利用してアーティストを応援しよう!

 

TEN | SOMETHING WICKED THIS WAY COMES

TEN-16th

 

 

 

 

 

 

 

アルバム概要

2023年1月20日リリース。

1996年の衝撃のデビューアルバムから数えること通算16枚目となる「英国正統派メロディアス・ハードロックの雄 TEN」のスタジオアルバム。

いやぁ~、しぶといというか良くぞ頑張ってくれてますね~。

思い起こせばデビュー作ではいきなり某誌レビューで90点以上の高評価を叩き出し、風前の灯火状態だった当時のメロディアス・ハードロックシーンを何とか意図的に盛り上げようとしていた感もありました。

が結局、その後の作品でデビュー作を上回る内容の作品は産み出せずに今日に至っている印象です。

TEN の音楽性はゲイリー・ヒューズの深みとコクのあるヴォーカルと、哀愁溢れる叙情的な楽曲メロディに尽きると思いますが、その普遍性を持ったオリジナリティは逆に言ってしまえばワンパターンで飽きられる危険性も孕んでいます。

得意とするのがミドルテンポの楽曲ということあり、グッとくるエモーショナルなメロディを連発しているのですが、どうにも煮え切らないというか楽曲同士がカニ張り状態となり同質化してしまう面もありました。

本作ではこれらのTEN の個性であり弱点でもあった部分が見事に克服され、各楽曲がそれぞれ明確な「顔」を持った楽曲として仕上げられており、全体を通して聴き終えた際に各楽曲がしっかりと印象に残っている感じがします。

 

おすすめの1曲

LOOK FOR THE ROSE

オープニングのドラマティックな適度な疾走曲。

これぞメロディアス・ハードロックのお手本とも言える歌メロの美しさ、そしてギターソロも流れに乗ってビシッと決まっています。

サビメロも変にこねくり回さず無難な仕上がりで印象的。

やっぱりゲイリー・ヒューズは歌がうまい!。

 

CROWNE | OPERATION PHOENIX

CROWNE-OPERATION-PHOENIX

 

 

 

 

 

 

 

アルバム概要

2023年1月27日リリース。

2021年にデビュー作「Kings in the North」というまさにタイトル通りの面子と内容でシーンに衝撃を与えたスーパーバンド「CROWNE」の、約1年半ぶりとなる嬉し過ぎる2ndアルバムですね。

現時点での「究極北欧メロディアス・ハードロック・バンド」と言っても過言ではない「CROWNE」。

本作2ndアルバムでもファンの期待を一切裏切ることのない、北欧メロディアス最高峰の品位を維持した充実の楽曲群を披露しています。

今一度、北欧銀河系軍団のメンバーをおさらいしておきましょう。

CROWNE-MEMBER

 

 

 

 

 

 

 

  • ヴォーカル: アレクサンダー・ストランデル(ART NATION)
  • ギター  : ラヴ・マグヌソン(DYNAZTY)
  • ベース  : ジョン・レヴィン(EUROPE)
  • ドラムス : クリスチャン・ルンドクヴィスト(元THE POODLES)
  • キーボード: ヨナ・ティー(H.E.A.T)

う~ん、豪華絢爛、贅沢の極み、素晴らしいですね…。

個人的にはデビュー作にギターソロで参加していたラヴ・マグヌソンが今回はガッツリと正式にクレジットされていて大喜びです。

このお方の緩急つけた美しすぎるギターソロは、ホントにドストライクでツボを刺激してくるので…。

そして、本作でも「北欧メロディアスかくあるべし」の教科書にしたいくらいの極上の楽曲群が揃い踏み。

前作に輪をかけて哀愁メロディアス度は高まりつつ、キャッチーな楽曲が充実していますね。

音像は流石に現代風の質感ながら、メロディ、フレーズにはしっかり北欧メタルの先人達が遺してくれたエッセンスが継承されています。

 

おすすめの1曲

Operation Phoenix

この作品から1曲しか選べないと言うのはそもそも酷な話ですが、今回の企画ルール上仕方ありませんね。

断腸の思いで選んだのがこちらのタイトル楽曲。

イントロのピアノの音色~アニメの主題歌のようなイントロメロディで完全に昇天です。

これはメロハーファンにとっては反則級の楽曲ですね。

もはや胸の前に両手を組んで聴かせて頂くほかありません…。

そして終盤に押し寄せるクライマックスのギターソロ。

いやぁ~、そうなんですよ、ガツガツしてないんですよね~この方。

良くいる「いやいや、早く弾けるのはわかったから…だから何なの」ギタリストではない、余裕を感じる品位の高いソロとでも言いましょうか。

渋~くタメながら良いフレーズかましますよねぇ~、最高です。

ということで、120%「買い」のアルバムで間違いはございません。

 

The Winery Dogs | Ⅲ

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アルバム概要

2023年2月3日リリース。

THE WINERY DOGSの3枚目アルバム「Ⅲ」は、前作の「HOT STREAK」から約7年半ぶりというファン待望の一枚でしたね。

この記事を書いているのは2023年7月。

まさにMr.BIGが「The Big Finish FAREWELL TOUR」を開催中の真っ最中でして、名古屋、大阪、東京が全てSOLD OUTの大盛況。

東京最終日の翌日には何と同じ日本武道館での追加公演も決定し、ファンにとってもバンドにとっても嬉しいツアーとなりました。

そんな人気のMr.BIGを、正直あまり聴き込んでこなかった私なのですが、THE WINERY DOGSは好きなんですよねぇ~。

言わずもがなですが、THE WINERY DOGSはビリー・シーン(B)、リッチー・コッツェン(Gu/Vo)、マイク・ポートノイ(Ds)というラスボス級の3人のプレイヤーが結成したスーパーバンド。

その作品(特に前作)は、どちらかと言えばリラックスした状態で軽く合わせた感じの(良い意味での)お遊びムードも感じられ、それはそれで聴き手も肩の力を抜いて楽しめるものでした。

しかしながら、本作はちょっと腰の入り方がちがいますねぇ~。

ギアを一つ上げた感じです。

1stで魅せつけた完成度を更に凌駕する楽曲の練度、メロディにも哀愁を感じさせるものが連発され、思わず聴き入ってしまう自分がいます。

それにしても、琥珀色の極上のウィスキーを思わせるような「深み」と「渋み」のある大人テイストのリッチー・コッツェンのギタープレイとヴォーカル。

渋い、渋過ぎます…。

心の底から惚れてまうやろぉ~!って感じです。

 

おすすめの1曲

THE VENGEANCE

上手く伝わるか解りませんが、この手のテクニカルスーパーバンドにありがちな「グルーヴ感ゴリ押しのドラムがバッタんスッタん楽曲」とは毛色の異なる、哀愁メロディアスな名曲です。

THE WINERY DOGSがやらなくても良いだろ!と言われてしまえば身も蓋もありませんが、好きなんですよねぇ~、この手の楽曲。

リッチー・コッツェンの7色(数えてはいませんが…)のギタートーンと、エモーショナルなヴォーカルが味わえる最高に贅沢な楽曲ではないでしょうか。

ギターソロへ突入する際のシンプルなフレーズには思わず涙してしまいそうになります。

個人的に断トツの本作最高楽曲です!

 

 

T3NORS(テノールズ) | NAKED SOUL

T3NORS-naked-soul

 

 

 

 

 

 

 

アルバム概要

2023年2月10日リリースのT3NORS 記念すべきデビューアルバム「NAKED SOUL」。

T3NORS(テノールズ)は「Frontiers Records」に所属する実力派シンガーの3人をフィーチュアしたプロジェクト。

そのメンバーはケント・ヒッリ(PERFECT PLAN、GIANT)、トビー・ヒッチコック(PRIDE OF LIONS)、ロビー・ルブランク(BLANC FACES、FIND ME)の3人。

大日本メロディアス・ハードロック愛好会会員のみならず、全てのハードロックファンが泣いて喜ぶ豪華なバンドで一線を張っている実力派揃いの面子ですね。

コロナ禍でのバンド活動に制約が掛かる中で、やり手の「Frontiers Records」が編み出した苦肉の策とも言えるプロジェクトに白羽の矢を立てられた3人も、よくぞその実現に協力してくれました。

そして現状のメロディアス・ハードロック界の最高峰とも言える3人の名ヴォーカリストの魅力をこの上なく引き出す楽曲作りもお見事!。

ハーモニーとパワフルに富んだ歌唱を存分に披露する広大なフィールドのように、バラエティかつドラマティック性に溢れた楽曲群が惜しげもなく続いていきます。

これを聴かずしてメロディアス・ハードロック愛好者とは言えない程の至福の歌声と上質な楽曲を体感できる超名盤ですね。

 

おすすめの1曲

THE VENGEANCE

アルバム5曲目に収録のメロハーファンには堪らない至福の名曲。

大仰でドラマティックなキーボードのイントロは、思わずセルビアの至宝MISHA CALVINのデビューアルバム「Evolution」を想起させますね。

本作収録の楽曲は当然どれも歌メロが中心の極めてオーソドックスなAORハードロックで占められていますが、本曲は最もハード&メロディアスと太鼓判を押したいおすすめ楽曲です。

あまりに上手すぎるヴォーカル3人で随所にハモリもあるので、もはや誰がどう歌っているのかわかりませんが細かいことは気にせずに名曲、名盤の大海原に身を委ねましょう。

 

Khymera | Hold Your Ground

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アルバム概要

2023年2月22日リリースのKhymera 6枚目のアルバム「Hold Your Ground」。

Khymeraは今から約20年前の2003年にデビュー作をリリース。

イタリアのドリムシことEMPTY TREMORのダニエレ・リヴェラニお馴染みKANSASのスティーヴ・ウォルシュが組んだFRONTIERS RECORDSバックアップのプロジェクトでしたね。

初期作はさすがにプログレッシブ感強めの作品でしたが、いつの間にやらデニス・ワード(PINK CREAM 69)が主役にすり替わるなどしながらメロディアス・ハードロックファンには堪らない作品を安定供給するバンド(プロジェクト)に変貌を遂げてきました。

本作「HOLD YOUR GROUND」でも、大日本メロディアス愛好会が公認~太鼓判を押す作品に仕上がっています。

聴き進む過程で「ん?、どっかで聴いたことあるな…」とか「う~ん!懐かしいクサメロ」などの想いが頭をよぎる場面が出て来る可能性が多分にありますが(笑)、細かいことに気を取られてはいけません。

KHYMERAによりもたらされるメロディアスな楽曲は、殺伐としてせわしない現代においてふと心が安らぐ哀愁と叙情性を与えてくれて、かつ明日への活力ともなる爽快感をも得られるような気がします。

 

おすすめの1曲

Our Love is Killing Me

おっとっと、イントロから「どっかで聴いたようなメロディが…」。

いやいや、心に沁みる良いメロディというものは似通ってきても仕方がないのです(と、自分に言い聞かせましょう)。

印象的なサビに向かって哀愁のヴァースでの盛り上げ感が半端ないですね。

とにかくアルバムの全曲がメロハー愛好会会員の琴線を刺激してやまない、古典の域にも達するクサいメロディの波状攻撃。

ギターソロなんかも、もはや化石と呼んで良いようなフレーズをどや顔で弾いているのがこれまた痺れます。

是非とも他の楽曲もご堪能下さい。

 

 

Ascension | Under the Veil of Madness

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アルバム概要

2023年3月22日リリースの ASCENSION 2枚目のアルバム「Under the Veil of Madness」。

ASCENSIONは2004年にスコットランド(英国)で結成された5人編成のパワーメタルバンド。

2012年にアルバム「Far Beyond The Stars」で華々しいデビューを飾った有望株でした。

同郷のDRAGONFORCE系の血統を継ぐ正統派スタイルは、ファンからの熱い支持を獲得~次作への期待が非常に高まった状況のままあれよあれよと年月は経過。

本作は約10年ぶりとなる待望の2枚目アルバムで、パワー&スピードのみでないメロディの良さ、楽曲構築美の素晴らしさに更に磨きが掛かっています。

自らHELLOWEENやGAMMA RAY、HAMMERFALL、STRATOVARIUS等に影響を受けていると公言しており、ギタープレイやヴォーカル・ラインにもろにオーバーラップしてくるのはご愛敬ですね。

 

おすすめの1曲

SAYONARA

アルバムのオープニングを飾る印象的な疾走イントロ。

何となく近未来系アニメの挿入歌にもなりそうな親しみやすいメロディと、何より日本語に寄せた曲名が嬉しいですね。

テクニカルにキャンキャン鳴きするギターと共鳴するように進行していく軽快かつ哀愁を帯びた歌メロ。

中盤では各パートやりたい放題のテクニカル発表会の後にお腹一杯になる程のピロピロギターソロ。

しかし単なる自己満速弾きではなく、しっかりと印象に残るフレーズで構築されているので聴いていて気持ちがよくなりますね。

曲によってはもろHELLOWEENパクリ状態になっているところもありますがそこはご愛嬌。

いずれの楽曲も日本人との親和性の良さ、琴線を刺激すること間違いないコミカルなメロディが織り込まれていて楽しめる作品です。

 

 

WINGER | SEVEN

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アルバム概要

2023年5月5日リリースの WINGER 7枚目のアルバム「SEVEN」。

2014年リリースの前作「Better Days Comin’」からおよそ9年ぶのご無沙汰でした~。

WINGERがデビューしたのは今から35年前の1988年ですが、10年以上の活動休止期間がありましたのでアルバム作品数は少なめですね。

久々の新譜である本作の最大トピックは、何といってもオリジナル・メンバーのポール・テイラー(Gu, Key)の復帰。

今のところWINGERにとってのベスト布陣の5人編成で活動を続けているようです。

ポール・テイラーの復帰もあってか、本作収録の楽曲には初期の面影を感じさせるものが多いように聴こえ、相変わらずの安定のテクニックは健在。

上手すぎてバンドが意図せずともオーガニックなプログレッシブ感すら感じてしまうほどですね。

さすがに初期作品におけるコマーシャル性を前面に押し出した楽曲はなく、どの曲も「噛み応え」のある堅焼きせんべいのようで味があります。

 

おすすめの1曲

Stick the Knife in and Twist

極上品質で粒のそろった楽曲の中から、これぞ!という1曲を選ぶのもなかなか難しいですが、アルバム終盤に強烈な味変スパイスのような位置づけの本曲をチョイスしてみました。

総じて大人のミドルチューンで「聴かせる」楽曲が続いた中での唯一の疾走曲ですね。

単なる「結構良いアルバムだったね」の無難な評価で終わらせない、HR/HMバンド WINGER としての「意地」みたいなものを感じます。

やっぱり何をやってもWINGERは「格好良くなっちゃう」宿命にあるようですね。

 

 

ANTHEM | CRIMSON & JET BLACK

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アルバム概要

2023年4月21日リリースの ANTHEM 通算17枚目のアルバム「CRIMSON & JET BLACK」。

当初は2022年中のリリース予定でしたが、楽曲のクオリティに納得いくまで拘りぬいてあえてリリースを遅らせたとのことで、その分ファンの期待値も高まりました。

新譜としては2017年リリースの前作「ENGRAVED」以来となる6年ぶり。

既にジャケットデザインからしてヤバさが爆発しています!。

いやぁ~、待てば海路の日和ありとは良く言ったもので、本最新作も安定どころか期待値を大きく超える超絶のクオリティ。

新作の度に最高傑作を提供し続けてくれるバンド「ANTHEM」。

ファンにとってはこれ以上のありがたみはなく、支持もますます厚くなる筈ですよね。

中身の楽曲は全11曲全てが納得の仕上がりというのがうなずける充実ぶり。

オープニング楽曲「Snake Eyes」では、いきなり試合開始のゴング間もなくカウンターのアッパーカットを喰らい、早くも足にきてフラフラ状態になってしまう程のメロディの大洪水ですね。

それにしても、この清水昭男というギタリスト。

よくもまあ源泉かけ流し温泉のように次から次へと湯水のように多彩なリフとソロフレーズが湧き出してくるものですよね~。

本作は前曲英語歌詞ということで、個人的にはそれだけでも十分に期待値がうなぎ上りだったのですが、これまた森川之雄の英語力にも磨きがかかり、英語での自然な歌唱に全く違和感を感じさせません。

これは最早、サッカーで言うところの超BIGクラブでレギュラーの張れるまさにワールドクラスの作品であることは間違いありませんね。

(私ごときが言うまでもないですが…)

 

おすすめの1曲

Snake Eyes

 

この極上アルバムから1曲を選定などと贅沢なことを言ってるとバチが当たりそうで怖いのですが、やはりオープニングのこの曲を苦渋の選択とせざるを得ない感じです。

一聴して個人的に想起したのは ジャーマンメタルの王道正統派 “Grave Digger” の名盤「The Reaper」に収められていた楽曲「Ride On」です。

(あくまで個人的見解ですのであしからず…)

「The Reaper」のリリースが1993年ですから、丁度30年の時を経て我らが日本の正統派ヘヴィメタル・バンド “ANTHEM” がテクニック、メロディアス性、楽曲構成など全ての面で凌駕した楽曲という気がしてなりません。

それは丁度最近のサッカー日本代表があのドイツ代表にW杯に続く親善試合においても完勝を果たしたトピックに重なるような快挙!。

日本のバンドも遂にここまできたかと…感慨深くもあり世界に対して思いっ切り胸を張りたい心境にさせてくれる誇り高き名盤ですね。

 

HEAVENS EDGE | GET IT RIGHT

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アルバム概要

2023年5月12日リリースの HEAVENS EDGE 約30年ぶりとなる2ndアルバム「GET IT RIGHT」。

HEAVENS EDGE は1990年にデビュー作をリリースした米国ペンシルヴェニア州出身のメロディック・メタル・バンド。

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もうこのデビュー作のジャケット見ただけで「間違いない」バンドっていうのがわかりますよね。

しかしその後、バンドは見事にグランジ・ブームの潮流に飲み込まれる形で2ndアルバムのリリースを果たせぬままに1993年に解散してしまいます。

1998年に未発表音源を中心にまとめた「SOME OTHER PLACE – SOME OTHER TIME」がリリースされていますが、純粋な新作スタジオアルバムとしてはデビュー作以来となり感慨深いものがあります。

本作はメロハーファンの信頼の厚い「Frontiers Records」が後ろ盾ということで、何とか今度こそチャンスをものにして欲しいですね。

個人的にちょっと気がかりなのはジャケットデザイン。

かなりアグレッシブに振った印象で、中身の音楽性があまり正しく伝わらないような気がしないでもないです。

(パット見、パンキッシュな印象…)

 

おすすめの1曲

What Could’ve Been

ジャケットデザインからは想像もつかないほどの哀愁メロディアスの名曲。

歌メロ、コーラス、ギターソロなど全てがメロハーファンの琴線をこれでもかと刺激してきます。

何とも言えぬ懐かしさ、望郷感、旧き良きあの時代のメロハーを聴く喜びを身体に思い起こさせてくれるような素晴らしい楽曲ですね。

 

ALCATRAZZ| TAKE NO PRISONERS

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アルバム概要

現在「Alcatrazz」には元祖グラハム・ボネット率いるヴァージョンと、本作ドゥギー・ホワイトがフロントマンを務める2つのヴァージョンが存在。

2023年8月9日にリリースされたのが本作 Alcatrazz(Doogie White-Fronted Version) のニューアルバム「Take No Prisoners」。

うっかりすると80年代にタイムスリップしたかのような感覚に襲われるコテコテのギターリフやメロディが懐かしさとともに心地よく展開されるクサ過ぎの良作です。

個人的にドゥギー・ホワイトの歌唱を聴いていると何となくSAXONのビフ・バイフォードが頭に浮かんでしまいますが、不器用でぶっきらぼうな嫌いじゃないヴォーカルスタイルなんですよね~これが。

そして、恐らくクサさの原因と思われるギターのジョー・スタンプが良い味出してますね~。

どこかで聴いたことのあるようなコテコテのリフやソロを次から次へとためらいなくかましてきます。

誤解を恐れずに書いてしまえば、新たなクリエイティブ感を全くと言って良いほど感じさせない古臭さが充満した懐古作品…。

恐らく狙っているのではなく実力的にこうなっちゃった感が満載ですが、何はともあれその時代を知る者にとってはwelcomeです。

各楽曲から放たれるあまりの強烈なクサさで、ネオクラシカルな速弾きソロフレーズまでもがまるで素人の適当弾きに聴こえてしまうほど…。

これは、もはや「Alcatrazz」の看板を使わなくても十分に勝負が可能なハマる人にはハマり過ぎる作品となること間違いないでしょう。

 

おすすめの1曲

Don’t Get Mad…Get Even

良い曲がたくさんの本作から1曲のみとなると、話題性という意味でこの曲を選ばざるを得ません。

その理由は何と言ってもこれまた懐かしの老舗女性ロックバンド Girlschool がバックコーラスにフィーチャーされていることです。

ざく切りキャベツのようなトーンのギターリフで始まるこの曲のサビの後ろで、楽しそうに歌う Girlschool メンバーの顔が目に浮かびます。

オーソドックスな王道のロックチューンに華を添え、話題性作りという意味でもお互いwin-winの良い関係性が持たされていますね。

グラハムのいない ALCATRAZZ なんてあり得ないなどと言わず、こちらのヴァージョンも是非おすすめしたくなる逸品です!。

 

U.D.O.| TOUCHDOWN

U.D.O.-TOUCHDOWN

 

 

 

 

 

 

 

アルバム概要

2023年8月25日にリリースされた U.D.O. 18枚目のニューアルバム「TOUCHDOWN」。

1987年にACCEPTと決別し自身のバンドU.D.O.を結成したウド・ダークシュナイダー。

4枚目アルバム「TIMEBOMB」リリース後、1991年には一旦解散~引退を表明していたのが噓のような絶倫リリースを重ねてきましたね。

個人的に超絶羨ましいのは息子であるスヴェン・ダークシュナイダーをドラムスとして、2015年から一緒にプロバンド活動をしているところ。

まあ、オヤジの趣味バンド程度でしたら無くはないでしょうが、メジャーバンドの一員として愛息子と一緒に活動できるって夢のようです。

因みに、私は愚息を何とかHR/HM界に引きずり込もうと色々聴かせまくってましたが、音源にも楽器にも一切興味示さず撃沈しました…。

そして、本作の最大のトピックは何と言ってもピーター・バルテスとウドのコンビ復活ですね。

2018年にACCEPTを脱退後、ダークシュナイダー・アンド・ジ・オールド・ギャングと活動を共にしていまいしたが、ついに今回 U.D.O. に正式参加。
往年のオヤジファンはタマランチ会長ものの期待値爆上がり状態でしょう。
【メンバー】
・ヴォーカル: ウド・ダークシュナイダー
・ギター  : アンドレイ・スミルノフ
・ギター  : ファビアン・ディー・ダマーズ
・ベース  : ピーター・バルテス
・ドラムス : スヴェン・ダークシュナイダー
u.d.o.-touchdown-1

おすすめの1曲

Touchdown

 

タイトル楽曲にして先行MVが公開されたU.D.O.ならではのスピードチューンですね。

しかも本曲はアルバムのラストに収録というまさに試合を決める決定的なTouchdownプレイと言ったところです。

いやぁ~、効いてますねぇ~息子スヴェンのドラム。

パタパタとタイトなツーバスと抜けの良いスネア、適度なおかずの量も絶妙でずーっと聴いていたくなる心地よいドラミングです。

そして派手さはないものの、時折のブレイクで顔を出すピーター・バルテスのベースがしっかりとリズムを下支え。

更にギター陣はトリッキーなプレイとバイオリンのような音色も聴かせる音像処理で、とにかく目まぐるしい展開をこなすテクニシャンぶりを発揮。

息をすることも忘れてしまうようなあっと言う間の4分間。

アメフトって、プレイするには覚えなきゃいけない戦術フォーメンション数が多くて大変って聞いたことがありますが、本曲もまさに緻密に計算されつくしたフォーメーションがビタッとはまった感じで、見事なTouchdownパス成功です!。

 

KK’s PRIEST | The Sinner Rides Again

K.K'S PRIEST-2nd

 

 

 

 

 

 

 

アルバム概要

2011年にJUDAS PRIESTを脱退した後、およそ9年という長いブランクを経て自身のバンド「KK’s Priest」を結成したK. K. Downing。

2023年9月29日に早くも2枚目のアルバムとなる「The Sinner Rides Again」をリリースしました。

1stアルバムからのメンバー変動もなく、バンドが良い状態で活性化していることが想像できますね。

【メンバー】

・ヴォーカル: Tim “Ripper” Owens
・ギター  : K. K. Downing
・ギター  : A.J. Mills
・ベース  : Tony Newton
・ドラムス : Sean Elg
K.K'S PRIEST
長きに渡りヘヴィメタルバンドの象徴的存在であるJUDAS PRIESTでGlenn Tiptonとのツインリードの一翼を担ってきたK. K. Downingも、1951年生まれの72歳。
一般ピーポーであればとっくにのんびり隠居生活に入っている歳ですね。
しかしながら、ヘヴィメタルというレガシーを守り抜き未来に引き継ごうというこの男の情熱は、衰えるどころかより火力が増し増し状態で手が付けられません。
本作2ndアルバムにおいてもその音楽性とサウンドは徹頭徹尾のストロングスタイル。
率先垂範の最年長が特攻隊長状態ですので、他の面子もお尻を叩かれるようについていくしかないですね。
ヴォーカルのリッパーは声質を潰しながらより凄みのある歌唱を聴かせ、ギターで対極をなすミルズも刺々しい程の追随ぶりでK.Kをサポートしています。
前作よりもキャッチーな要素が減りよりソリッド感が増しましたが、その分長きに渡り聴き込んでいける本物志向のアルバムとして愛聴されていく名盤と言えるでしょう。

おすすめの1曲

One More Shot At Glory

 

先行MVとしてリリースされたシングル曲。

太陽のように熱しられた鋼鉄に振り下ろされるハンマー。

西洋の甲冑に身を纏い剣を持つ戦士。

K.Kの白いVとミルズの黒いVが折り重なりながら重く冷徹に刻まれるリフ。

ギリギリまで大股開きしたポジションに配置されたツーバスを上半身裸で乱打するドラム。

視界に飛び込んでくるもの全てがヘヴィメタルという音楽の象徴的な解りやすいアイコンではありますが、「本物」にこれだけシンプルにやられてしまうと、安直に時代遅れなどとはとても言えない説得力に圧倒されますね。

もはや存在そのものがヘヴィメタルを体現しているK. K. Downing。

縁起でもない話で申し訳ありませんが、亡くなる時は「ライブ中のステージの上でお願いします」と言いたくなるほど、生涯現役でヘヴィメタル界を牽引して行って欲しいです。

 

 

Ronnie Atkins | TRINITY

Ronnie Atkins-TRINITY

 

 

 

 

 

 

 

不屈の男が来日しますね

RONNIE ATKINS
Trinity JAPAN TOUR 2024

2019年にステージ4の肺癌を患っていることが判明後、治療をしながら不屈の精神で音楽活動を勢力的に続けてきた「プリティ・メイズ」のヴォーカリスト「Ronnie Atkins (ロニー・アトキンス)」。

2024年2月には新作を引っ提げての来日が決定してますね!

ronnie atkins live in japan

 

 

 

 

 

 

 

<日程>
2024年2月8日(木)川崎・CLUB CITTA’
2024年2月9日(金)川崎・CLUB CITTA’

川崎の夜がまた熱く燃え盛りそうです!

 

アルバム概要

2023年10月13日にリリースされた Ronnie Atkins 3枚目のソロアルバム「TRINITY」。
Ronnie Atkins はフロントマンとして活躍してきた PRETTY MAIDS としての活動になかなか道筋がつかない中で、ソロ作品を精力的にリリースしています。
辛く苦しい闘病生活の中で音楽活動を続けるその様子は、まるで自身に残されている時間が少ないことを予見しているかのような鬼気迫るものを感じます。
最近のインタビュー記事でも自身の人生に対する向き合い方の変化を語っていますね。
「人生における物事の見方が変わってきた」
「毎日あらゆることを感謝の気持ちを持って受け入れている」
「曲を書いたり、ステージでパフォーマンスすることが自身の原動力になっている」
「人生のポジティヴな面にフォーカスして心からやりたいと思うことに没頭したい」
そして、今回の新譜についても以下のように語っています。

「今作は前2作に比べるとちょっとヘヴィに仕上がっているけど、メロディックさは変わらない」
「歌詞は今の世界で起きていることについて書いている」
「自身がインスパイアされるパーソナルな内容でもあるが、少し楽観的な要素をねじり込ませている」

やや強めに歪みを効かせたギターに軸足を置いたサウンドをバックに、哀愁のメロディラインを深みのある相変わらずの声質で歌い上げるRonnie Atkins。

自信の顔面に深く刻まれたしわがこの男の生きざまを如実に表しているように、その絞り出すような情感こもった歌唱が聴く者を奮いたたせますね~。

総じて、至ってシンプルな楽曲構成は健在で無用なこねくり回しとは無縁。

駆け引き無しのひたすらストレート勝負はヴォーカリストとしての自信の顕われ、自身の標榜する音楽性へ迷いの無さがアルバム全体から放射されています。

大病との厳しい闘いをしながら、その歌唱は衰えるどころかバラード曲などではむしろより円熟味を増して進化しているように聴こえます。

ファンとしての本音はあくまでもPRETTY MAIDSとしての復活に変わりありませんが、一分一秒たりとも無駄にはできないRonnie Atkinsとの貴重な時間を、こうして新作アルバムや来日公演で共有できることに本当に感謝したいです。

 

おすすめの1曲

Ode to a Madman

軟弱メロハー好きのハートをがっつり握られてしまった名曲。

なによりもこのサビメロは昭和世代には何とも言えぬ懐かしさ、郷愁を感じます(自分だけ?)。

そつなくこなした感じのギターソロも良いですねぇ~。

コテコテ大好き派としては、ラストで一旦ピシャっとブレイクさせてヴォーカルだけでスローダウンさせながらサビメロを1コーラスなんてクサいエンディングも良かったのではとか、色々妄想しながら楽しんで聴いております。

 

 

NITRATE | FEEL THE HEAT

NITRATE FEEL THE HEAT

 

 

 

 

 

 

 

アルバム概要

2023年10月13日にリリースされた NITRATE 4枚目のアルバム「FEEL THE HEAT」。

ベース担当のニック・ホッグが率いるブリティッシュ・メロディック・ロック・バンドNITRATE。

軟弱メロディアス・ハードロック愛好会が昨今全幅の信頼を寄せているFrontiers Recordsからのリリースとなった至宝の名盤です。

その音像は往年のメロハー愛好家の五臓六腑に沁み渡るかのような透明感と哀愁で満ち満ちていますね。

ありがち、クサ過ぎ、ポップ過ぎ…。

言いたい奴には言わせておきましょう。

これぞ80年代から脈々と受け継がれてきた伝統芸能とも言えるメロハーの真骨頂なのです。

凡事徹底、名盤に奇策なし。

やはり当たり前のことを実直にやり続けることが大事ですね。

微塵の濁りもない透き通った伸びやかな声質のヴォーカルは、ART NATION や CROWNE でお馴染みのアレクサンダー・ストランデル。

現時点の軟弱メロハー界隈では誰もが認めるトップクラスの声質と歌唱を誇ります。

それにしても、過去の作品も含めてよくもまあこれだけ上質のメロハー楽曲を次から次へと量産できるものだと唸ってしまいそうになる程の今回も充実の楽曲群です。

要はやはりプロデュース担当の VEGA のマーティン兄弟でしょうね。

一撃必殺のイントロメロディを奏でるジェームズのキーボードとシンプルに追従するトムのギターで織りなすマーティン兄弟の最強美旋律は見事としか言いようがありません。

ミュート強めの「座布団引っ叩きスネア」のアレックス・クーパーのドラムが、なめんなよと言わんばかりにハードロック感を堅持しています。

 

おすすめの1曲

ALL THE RIGHT MOVES

美しい、美し過ぎます…。

これぞ上質メロハーの極み!。

それはまるで静寂の時空にひっそりと存在しつつも強烈な侘び寂びを放つ日本庭園のような風格。

澄み渡る空気感の中で奏でられる極上の美旋律は、果てしなく一直線に伸びていく感じですね。

まるで水琴窟のようなキーボードの音色が日本人の琴線のツボを奥深くからえぐり出してきます。

日本大好き Issa とのデュエットが聴けるこちら曲も心洗われるような透明感があっておすすめです。

とにかく、メロハー好きの方には是非とも全編通して聴いて頂きたい久々の激推し名盤と言えます!。

 

IMMORTAL GUARDIAN | UNITE AND CONQUER

IMMORTAL GUARDIAN UNITE AND CONQUER

 

 

 

 

 

 

 

アルバム概要

2023年10月27日リリースの IMMORTAL GUARDIAN 3枚目のアルバム「UNITE AND CONQUER」。
IMMORTAL GUARDIANは2008年にアメリカ・テキサスで結成されたプログレッシブ・パワーメタル・バンド。
天才肌の凄腕ミュージシャンGabriel Guardianが率いる自称「スーパーメタル」バンドですね。
なかなか自ら言えませんよ~「スーパーバンド」は…。
まぁ、それだけの自信とプライドを持った強固な意志を感じさせます。
2018年のデビューアルバム「Age of Revolution」、2021年の2ndアルバム「Psychosomatic」と着実にキャリアを重ねてきましたが、その音像はブレることなく「テクニカル&トラディショナル&キャッチー」。
「テク重視だけどこれ見よがしはイヤ」「速いだけ、咆哮のみとか無理」「キャッチー好きだけど能天気は引く」というわがままな自身の好みに、丁度良い感じで上手いことマッチングしてくるのがこのバンドなんですよね~。
とにかくメロディが明瞭で解りやすく印象的なので一度聴いたら耳にこびりついてくる感じ…(良い意味で)。
プログレッシブと言っても、もう解く気も失せるようなやたらにこねくり回して複雑怪奇になっている訳でもなく、ヘヴィメタルの王道であるリフを基軸としたメロディックな楽曲構成はどこか懐かしさも感じさせ、全体的に緊迫感とキャッチーさを両立させるという、なかなか出来そうで難しい塩梅を本作でも見事に具現化しています。
「UNITE AND CONQUER」~「団結と征服」
様々な音楽性を自由に良いとこどりして更なる変化と昇華を狙った本作の音像は、まさに現代社会における人間の浅ましさに起因する様々な分断や抑圧からの解放というタイトルテーマとシンクロしていますね。

おすすめの1曲

Echoes

ありがちと言えばありがちなイントロのテクニカルなギターフレーズはややトーンが軽薄な印象。

続く歌メロは意表を突いて哀愁を帯びながらキャッチーに進行し、サビでは大仰な世界観を演出。

バックのリズム隊は変態的とも言えるバスドラとベースラインでお祭り騒ぎの様相。

プログレッシブな要素は少なくメロディック・パワーメタル好きには堪らない一曲です。

それにしてもヴォーカルのカルロス・ジーマは、楽曲ごと、そして楽曲内の場面ごとにその歌い回しを変化させながら情熱的に表現していますね~。

 

 

DORO |CONQUERESS – FOREVER STRONG AND PROUD

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アルバム概要

出ました!ジャーマンメタル界の女帝「DORO姉さん」の新譜ですね。

2023年10月27日リリースの DORO 「CONQUERESS – FOREVER STRONG AND PROUD」。

女性に対して年齢の話はご法度ながら、DORO姉さんも1964年生まれで還暦を迎えるお歳。

twitter(X)などで時折お姿を拝見する度に、アイシャドウの面積が段々大きくなってパンダみたくなってきたな…と、失礼極まりない大きなお世話なことを感じておりましたが…。

本作のジャケットは良い感じに写ってますね…。

とにかく、今年はアーティスト活動開始40周年の節目の年ということで、本作はかなり気合十分な内容。

2枚組全20曲の超大作となっています。

まさにドイツの国民的スターであり、女性ヘヴィメタル・シンガーの始祖とも言えるドロ・ペッシュの集大成~記念碑的な作品ですね。
1983年結成のWARLOCK時代から男性にも全く引けをとらない強烈な歌唱を披露し続け、1989年からは自身のバンド DORO で更なる活躍のフィールドを広げてきたドロ・ペッシュ。
本作のタイトル「CONQUERESS(=征服者)」が示す通り、80年代のヘヴィメタルシーンを牽引してきた誇りとプライドを高らかに掲げ胸を張りながら、これからも音楽への愛を持ち続けてファンとの絆を深めていこうとする固い意志を感じます。
そして、そのキャリアと実力を認めリスペクトの念も込めて METAL GOD ロブ・ハルフォードがカバー曲含め2曲で参加!。
話題性も十分です。
ヘヴィ&キャッチーとバラエティ性に富みつつも根底に流れるジャーマンメタルの源流を汲む楽曲群を、存分に楽しめる非常に資産価値の高いアルバムと言えるでしょう。

おすすめの1曲

Living After Midnight

アルバム3曲目に収録のロブ・ハルフォード参加の言うまでもないJUDAS PRIESTのカバー楽曲。
ドロ・ペッシュのハスキーな声と一緒に聴くと、ロブ・ハルフォードの声がいつもよりクリアに聴こえるという不思議現象が味わえます。
正直言ってしまうと、WARLOCKの時代からサビメロの煮え切らなさが今一つ気になって毎回購入に迷っていたDOROの作品でしたが、本作で聴くことのできる DORO ワールドは歌メロもよく練られていて腹落ちするサビが多く一安心。
楽曲に応じて声質も巧みに変化させながら大作の弱点となるマンネリ感を抱かせない努力と工夫も感じられますね。
こちらのオープニング曲も「ならでは」のミドルテンポの良曲です。

DOKKEN | HEAVEN COMES DOWN

dokken heaven comes down

 

 

 

 

 

 

 

アルバム概要

2023年10月27日リリースの DOKKEN 12枚目のアルバム「HEAVEN COMES DOWN」。

前作11枚目「BROKEN DOWN」が2012年のリリースでしたので11年ぶりの新譜ということになりますね。

メンバー構成はドン・ドッケン(Vo)、ジョン・レヴィン (gu)、クリス・マカヴィル (ba)、BJザンパ (ds) の不動のメンバーで安定飛行中のようです。

想えば、1979年のバンド結成~1981年にデビュー作をリリースしたLAメタルの老舗バンド DOKKEN。

デビュー当時はドン・ドッケンとギターヒーローのジョージ・リンチ(gu)の2枚看板を擁し、その2人の確執が取り沙汰されて話題を呼びましたが、2003年からはジョン・レヴィンが20年以上も活動を共にしており、今となっては完全にドンとジョンのバンドと言っても良いですね。

途中の解散していた期間もありましたがデビュー以来40年以上もの間、その名声を維持し続けているDOKKEN。

ドン・ドッケンによるシンプルで短めのセンテンスで構成されたメロディの甘~いヴォーカルに寄り添いつつも、要所要所で適度なフックを持たせるようなフレーズを差し込んでくるジョン・レヴィンのテクニカルなギターというバンドとしての建付けは相変わらず。

老舗の暖簾はまだまだ下す気配など微塵も感じさせない良い意味での「相変わらずさ」「熱くて甘い楽曲」を本作でも披露しています。

さすがに既に70歳を超えているドン・ドッケンにかつてのような高音域を求めるのは無理な話であり、「熱い」といってもそれは単なる表面温度の話ではなく、長年のキャリアによって培われてきた円熟のヴォーカルスタイルから放熱される熱量ですね。

 

おすすめの1曲

Gypsy

先行シングルMVはオープニング曲の「Fugitive」でしたが、正直言ってメロディのフックに乏しくサビメロも凡庸な印象でしたので、当ブログでは続く2曲目のアグレッシブな本曲をチョイスいたしました。

古典的とも言えるギターリフで始まるこの楽曲が本作の中で一番DOKKENらしく、初期の息吹きも感じられる楽曲と思うからです。

サビメロはやや控えめながらスパイスとして挿入されるギターソロは叙情的でなめらかなフレーズに終始していますね。

贅沢を言わせてもらえば、どの楽曲も似通ったギタートーンなのでもう少し変化が欲しかったという点でしょうか。

あくまでフレーズのみで直球勝負と言われればそれまでですが、テクニカルなギタリストだけに音像に変化を付けてもっとリスナーをワクワクさせて欲しかったです。

また、本作で一際存在感を示しているのが「I’ll Never Give up」をはじめとするバラード楽曲。

ドンによる哀愁の歌唱にジョンのタメを効かせたギターフレーズがらせん状に纏わりつきながら絡み合って、楽曲としての一体感があり充実して聴き込むことができます。

 

SKAGARACK| HEART AND SOUL

skagarack heart and soul

 

 

 

 

 

 

 

アルバム概要

2023年8月25日リリースの SKAGARACK 5枚目のアルバム「HEART AND SOUL」。

SKAGARACK はデンマーク出身のメロディック・ハードロック・バンドで、1986年に今は亡きメロハー御用達レーベル「LONG ISLAND RECORD」からデビューアルバムをリリース。

前作の4枚目アルバム「BIG TIME」が1993年リリースなので、実に30年ぶりの新譜というファンにとっては涙ちょちょ切れんばかりの嬉しい知らせ。

個人的にSKAGARACK のアルバムにはジャケットのアートワークに惹かれるものがあったのですが、前作4枚目はちょっと路線がずれてましたね。

しかし、本作のジャケットデザインは本来の雰囲気に戻ってくれた感じで何とも良い感じです。

もうジャケットを見ただけでアルバムへの期待値は膨らむ一方でした。

SKAGARACKと言えばやはりトーベン・シュミット(Vo)とヤン・ピーターセン(Gu)の黄金タッグ。

本作でも2人がどんなケミストリーを魅せてくれるのか往年のファンも大いに期待したことでしょうね。

そしてステレオの前で正座して姿勢を正して初聴した感想は…。

80年代に聴きまくっていた往年の作品の残像を振り払いフラットな状態で本作に向き合えば「ベテランらしい老練ないぶし銀作品」と言えるでしょう。

一方、過去作のバイアスの影響下で本作を聴いた際には「メロディアス性」という面で少々物足りなさを感じるものの、「大人の渋いROCK」という形容詞がピタッとはまる印象です。

最小限のテンション、熱量で「聴かせる術」を身につけた者だけが為しうる「省エネ作品」とも言えるでしょうか。

あまりに落ち着いて淡々とアメリカン・ハードに近いテイストで進行していくアルバムに少し戸惑うものの、平均点を余裕でクリアするクオリティの楽曲が次々に繰り出されてくるので、安心して聴き進むことができます。

ミドルテンポの楽曲主体で緩急という意味ではややおとなし目の印象ですが、そこかしこに散りばめられた上質のメロディセンスは健在。

在宅勤務のお供には持って来いのアルバムかも知れません。

 

おすすめの1曲

So Right

アルバム終盤の11曲目に収録の本作で最も哀愁を帯びたメロディアス楽曲だと思います。

イントロのシンプルな哀愁フレーズの流れそのままに、歌メロにもSKAGARACKの本来の持ち味が発揮されていますね。

渋い、渋過ぎる大人のハードロック!。

まだまだSKAGARACKの存在感は私の中ではシュリンクすることなく、新たな輝きを放っています。

 

 

VANDENBERG| SIN

Vandenberg_Sin

 

 

 

 

 

 

 

アルバム概要

2023年8月25日リリースの VANDENBERG 5枚目のアルバム「SIN」。

2020年に35年ぶりという長い冬眠から醒めたようにソロ名義4枚目アルバム「2020」をリリースしてますので、本作は約3年ぶりとなりますね。

エイドリアン・ヴァンデンバーグは 言わずと知れたオランダ出身の孤高のギタリスト。

1982年リリースのデビュー・アルバム「Vandenberg」、続く1983年リリースの「Heading for a Storm」、そして1985年リリースの3枚目アルバム「Alibi」といった初期のアルバムは、伝説級に現在まで聴き継がれていますね。

欧州独特の哀愁メロディと孤高のソロフレーズはある種のカリスマ性を持ち合わせていたように感じます。

その後、WHITESNAKE に参加しジョン・サイクスとの2枚看板として活躍しましたが、両雄並び立たずのことわざもあるようように、一躍脚光を浴びたジョン・サイクスに比べその力量を完全燃焼させるまでには至らなかった印象です。

その後シーンから長い間姿を消していたエイドリアン・ヴァンデンバーグでしたが、前作「2020」ではろにー・ロメオをヴォーカルに立て見事に復活。

さらに、本作ではヴォーカリストにイングヴェイ・マルムスティーンとの共演でその名を上げたマッツ・レヴィンを招聘。

これまた一気に期待値が高まりましたね~。

「Sin」というシンプルを極めたアルバムタイトルは「多様な意味を持つ言葉の通りの様々な音楽性を表している」とのことですが、確かによりアグレッシブかつバラエティに富んだ楽曲で埋められていますね。

いつも通りのハードエッジのリフを基軸とするスタイルは変わらず、マッツ・レヴィンの声質を意識してかよりトーンはヘヴィになっている印象です。

安定の及第点以上の楽曲が続けざまに展開していくドラマティックなアルバム構成は流石のレベルですが、頭一つ抜きんでたキラーチューンが無いのが惜しいところ。

あまりに正攻法でストイックな欧州ハードロック楽曲は、体脂肪率1ケタ台のような筋肉質で遊びが少なくアルバムを通して聴き込むとかなりのスタミナを消耗しそうになります。

この辺りが「上手いことやった」ジョン・サイクスとの処世術の差にも思えてなりません…。

メンバー

  • ヴォーカル:マッツ・レヴィン
  • ギター  :エイドリアン・ ヴァンデンバーグ
  • ベース  :ランディ・ファン・デル・エルセン
  • ドラムス :コーエン・ヘルフスト

 

おすすめの1曲

Walking on Water

もはや初期作のようなポップでキャッチーな楽曲に期待するのは愚の骨頂ですが、その分本曲のような渋みと展開の妙技には期待してしまいますよね。
ギターソロではまるでマイケル・シェンカー節をなぞらえたかの如く往年のファンを唸らせるフレーズが炸裂しているのも嬉しい楽曲です。

 

<次作は「ECLIPSE| MEGALOMANIUM」のレビューを予定しています>

 

ECLIPSE| MEGALOMANIUM

 

 

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