Crimson Glory / Crimson Glory (1st)レビュー
B!誌の巻末レビュー97点の衝撃作
1986年にリリースされた Crimson Glory の衝撃のデビューアルバム。
何と言っても、当時のB!誌の巻末新譜レビューで伊藤政則氏が97点と言う高評価!。
いやぁ、おったまげましたね~興奮を抑えきれずに即買い決定でした(単純…)。
「正統派様式美」「ツインリード」「ドラマティック」「(ジェフ・テイトばりの)ハイトーンヴォーカル」「謎の仮面に隠された神秘性」などなど。
当時のメタラーの期待度を増幅させるに余りあるキーワードがこれでもかと言わんばかりに満載のレビューにはホント心躍りました。
記憶は定かでないですが、このバンドの1st、2ndの2枚のアルバム(LPレコード)ともに私が当時買ったのは確か輸入盤だったような気がします...。
話は全然それますが、輸入盤ってサランラップみたいなフィルムでパックされていましたよね。
開口部を慎重にカッターで切ってレコード取り出してました。
友人はそのままフィルムを付けたまま保管する派でしたが、私は全部取っちゃう派でした。
後で思えばその後のジャケットの保存状態などを考えるとなるべくフィルム残しておいた方が良かったのかも知れませんね。
まぁ、どうでもいい話でした。
アルバムジャケットで初めて目にした彼らのいで立ちはまさに仮面舞踏会状態…。
これってもしかして、ビッグネームが集まった仮面プロジェクトなんじゃね?。
的な淡い期待を抱きながら各メンバーの画像を凝視してチェックしたのを思い出します。
(当然、そんな訳なかったですが…。)
既に1983年にデビューシングルで伝説を築き上げ、その後孤高のプログレッシブメタルへの道を突き進んだQUEENSRŸCHEと、当初から比較されることが多かったですが、音楽性は負けず劣らずの正統派様式美を貫いた見事な楽曲が揃っています。
(QUEENSRŸCHEの伝説のデピューEP盤は下記の記事にて)
ジェフ・テイトを髣髴とさせるどころか凌駕する勢い?の驚異的なハイトーンヴォーカル。
アメリカのバンドらしからぬ超欧州型のドラマティック性と曲展開が練られた楽曲は完成度抜群でした。
(ヴォーカルのミッドナイトは惜しくも2009年7月8日に病死しています)
とにかく、何だかんだ言ってHR/HM界のオピニオンリーダーたる伊藤政則氏の高評価というアドバンテージを抜きにしても、高水準に位置する作品であることは間違いなく、後発の多くのバンドに多大なる影響を与えている作品だと思います。
このアルバムが影響を与えた? 後々の作品(勝手な思い込みですが)
ホワイトライオンのデビューアルバム ⇒ バルハラつながり?
(詳細は下記の記事にて)
正統派様式美ジャパメタ勢のAZRAELのデビューアルバム: AZRAELつながり?
(こちらはおいおい記事にしていきたいと思います)
メンバー・収録曲
メンバー
- ヴォーカル: Midnight
- ギター : Jon Drenning
- ギター : Ben Jackson
- ベース : Jeff Lords
- ドラムス : Dana Burnell
収録曲
- Valhalla
- Dragon Lady
- Heart of Steel
- Azrael
- Mayday
- Queen of the Masquerade
- Angels of War
- Lost Reflection
おすすめ楽曲
Valhalla
当時、期待に胸を膨らませてヴォーカルの第一声を聴いた時「本当にジェフ・テイトみたいだな」と思わずにやけてしまったのを思い出します。
しかも、この曲をデビューアルバムのオープニングに持ってくるところが新人らしからぬふてぶてしさというか、大物感を感じざるを得ません。
ある種、余裕の貫録というかいきなり横綱相撲を展開してきたなと言った感じです。
独特の世界観を具現化しながら展開される十分に練られた楽曲作り、ツボを押さえた落ち着いたプレイぶりのツインリードギター。
一気に期待値がレッドゾーンに突入です。
Dragon Lady
はい、ここであっけなく当時のエンジンの「リミッター」が外れましたね。
文字通り「突き抜け」ました~。
比較対象となっている伝説の大横綱QUEENSRŸCHEの名曲「Queen of the Reich」とのがっぷり四つの真向勝負を仕掛けてきた印象です。
正直、勝敗の軍配は上手出し投げで「Queen of the Reich」に上がりますが、新入幕の伏兵としては善戦以上の名勝負だったと言えるでしょう。
(相撲を見ない人には何言ってるかよくわからなくなってますが…)
ちょっと単調に聞こえがちなドラミング(特にバスドラ)ですが、その裏でベースが奮闘してバランスをとっているのがこのバンドのリズム隊の憎いところですね。
今更ながら、個人的にはイントロの変な笑い声は不要だったような…。
あくまでも大仰、ミステリアスイメージ路線をとことん貫いて欲しかったです…。
いずれにしても、楽曲としては大関クラスの名曲であることは間違いないですが…。
Heart of Steel
続く3曲目はミドルテンポのじっくりと聴かせるハードチューン。
哀愁の静かなメロディラインから一転、一気にハードなサビメロへと展開していく起伏に富んだ構成で、この手の楽曲を好む人にはもうたまらないドラマティックな名曲です。
この曲と次のAZRAELのような腰の据わった正統派「THE HEAVY METAL」と形容できそうな楽曲こそが、情感豊かに歌い上げるミッドナイトのヴォーカルスタイルに最高にマッチしていると思います。
Azrael
これまた、本作屈指の名曲ですね。
一発目の鐘の音を聴いた時に、「まさか「審判の日」のパクリ?」と条件反射的にヒヤッとしましたが、その後の展開で胸を撫でおろし安堵しました。
まさしくA面のラストを飾るクライマックス曲と言えます。
正統派様式美メタルの称号を欲しいままにする古典的リフとバッキング。
ちょいちょい差し込んでくるギターのおかず味付けフレーズがマニアにはよだれものです。
そして本作一番の力の入れ具合と言っても良いでしょう、展開の練られた渋いギターソロがビシッとキマッっています。
ということで、結局A面はついつい全曲レビューしてしまいました。
このままでは名盤にありがちな「全曲紹介しなければならないパターン」に陥りそうなので、それは正直めんどいのでこの辺で妥協させて頂きます...。
(どうしても触れておきたい下記B面2曲のみ記載しときます)
Mayday
LP盤B面のオープニングは疾走チューンが炸裂します。
ヴォーカルのミッドナイトの超ハイトーンヴォイスがこれでもかと畳みかけて響き渡ります。
ここまでくると、ライブでの再現性に不安しかありませんが当時はそんな考えにも及ばず。
ただひたすら「スゲーな!このヴォーカル」といった印象しかありませんでした。
ヘッドホンで聴く際には、あまりボリュームを上げ過ぎると後で耳鳴りが残るのでご注意を。
Queen of the Masquerade
これまた彼らの十八番と言って良いでしょう、落ち着いたミドルテンポの大仰&荘厳イメージの大作です。
アルバム全体を通じてのクライマックスとも位置付けられる楽曲だと思います。
まとめ
無名の新人バンドのデビュー作にもかかわらず、B!誌の高評価を引っ提げての衝撃的な登場となったクリムソングローリー。
当然のことながら誰しもがその衝撃の楽曲を耳にし、その後の活躍を確信したことでしょう。
しかしながら、そこは後々の歴史でも繰り返されることになる
「B!誌で高評価バンド、思ったよりも鳴かず飛ばずあるある」
状態に陥ることに…。
私の記憶が確かならば、その後の FORTUNE や TEN などがそのあるあるパターンに当てはまるでしょうか…。
FORTUNEのアルバムレビューは下記の記事にて。
残念ながら、クリムソングローリーもその後は栄光を手にすることなくシーンから消えて行ってしまうことになります。
(いやぁ、何とももったいないですね~。)