LOUDNESS / DISILLUSION 〜撃剣霊化〜レビュー
（尊敬してやまない各アーティストのお名前を敬称略で記述しておりますが、ご容赦下さい）
LOUDNESS初体験作品にして最高傑作
LOUDNESS ４枚目のアルバム「DISILLUSION～撃剣霊化～」は、1984年1月21日にリリースされました。
何と！2024年で40周年を迎えますね～感慨深いものがあります。
このジャケットデザインに邦題が「撃剣霊化」ときましたからねぇ～。
もうそれだけでも名盤の臭いしかしません。
本作はバンド念願の初の海外レコーディング～エンジニアにはYesのアルバム『90125（Lonely Heart）』を手がけたJulian Mendelsohnを迎えて制作されました。
そして、私は LOUDNESS 初体験が本作からという奥手な男。
JAPANESE HEAVY METAL BAND 全盛期だった当時、元アイドルバンドの「LAZY」であることを理由に少々馬鹿にしてLOUDNESS以外の他のバンドは聴き漁っていたのですが…。
当時のバンド仲間が「CRAZY DOCTORをやろう」と言い出したため、渋々聴かされたのがきっかけでした…。
その後、後追いで聴き込んだ「魔界典章」以前の作品や「THUNDER IN THE EAST」以降の作品も含め、自身の中で本作を超越するLOUDNESS作品はありません。
丁度自身のギターに対するモチベーションも最高潮のタイミングでの出会いでしたので、高崎晃のギターテクニックと珠玉のフレーズ連発ぶりには本当にぶっ飛びました～。
今でも本作の殆どの曲のギターソロを一音一音頭の中で反芻できるくらいに聴き込みましたし、寝る間を惜しんで繰り返し練習したものです。
世界の扉を切り裂いた撃剣
本作をLOUDNESS史上の最高傑作として語る上で非常に大きな要因となっているのが、ヨーロッパツアーのライヴドキュメント作品「EUROBOUNDS」。
この作品がリリースされた当時、FMラジオ番組で紹介されていたのをチェック。
曲間でのインタビューで樋口宗孝が「日本代表として日の丸背負って戦っていた心境」と話されていたのが忘れられません。
「（ドラムとして）毎回後ろからメンバー３人の姿を、おっ！今日も頭のてっぺんに日の丸立っとるな～って感じで後ろ姿を見ていた」ようです。
まさに欧州のちょっとヤバイ感じすらするメタラー達を相手に真っ向勝負で挑んだ過酷そうなツアーの模様が克明に記録されていて、日本人として誇りに思います。
ヘヴィメタルに国境無し～人類みな兄弟～兄弟みな人類。
極東の日本のバンドが日本人ファンを熱狂させたヘヴィメタル楽曲は、遠く西側に位置する欧州ファンの心も同様に揺さぶりまくり、やがては全米というモンスター史上への扉を切り裂きながら殴り込みをかけることになったのでした。
メンバー・収録曲
バンドメンバー
- ヴォーカル： 二井原 実
- ギター ： 高崎 晃
- ベース ： 山下 昌良
- ドラムス ： 樋口 宗孝
収録曲
- Crazy Doctor
- Esper
- Butterfly
- Revelation
- Exploder
- Dream Fantasy
- Milky Way
- Satisfaction Guaranteed
- Ares’ Lament
おすすめ楽曲
CRAZY DOCTOR
後にリリースされる英語歌詞盤ではライブでもおなじみの「Anthem (Loudness Overture)」がオープニング曲として収録されていますが、今回は基本に忠実にオリジナルの日本語歌詞盤にてレビューさせて頂きます。
このギターリフって仮にこれからHR/HMを聴き始めるような若い人達が今聴いたら、いったいどんな思いで聴くのかな～？。
なぁんてことを考えちゃったりしますが、少なくとも私にとってはHR/HMのパワーコードにおける基本中の基本の王道のリフと言えます。
そしてこの曲は当時組んでいたコピーバンドでスタジオ練習に入った際に、必ず最初に音合わせでウォーミングアップ演奏をした曲でもありました。
ギターソロ冒頭のアルペジオの運指と右手のミュートが出来るようになった時は嬉しかったですね～。
その後は気合と勢いの誤魔化し戦法でそれっぽく聴かせるしかありません…。
REVELATION
個人的にはIRON MAIDENをも髣髴とさせるタイトでアグレッシヴな名曲です。
二井原実の歌詞センスがもう少々あれば世界をねじ伏せるような楽曲となったような気がしてなりません。
さすがにMother、Father、Brotherはいけません…。
それにしても演奏陣、とりわけグイグイ引っ張るドラムと滑らかなベースラインのリズム隊が心地良過ぎますね。
そしてクライマックスの中盤、ドラムのフィルインからのAKIRA TAKASAKI節には鳥肌が立ちますね～。
心底格好良いって感じるフレーズって、いつもシンプルだから不思議です。
EXPLODER
はい、出ました。
AKIRA TAKASAKIの名を世界に知らしめるギターインスト曲。
日本盤「Eruption（VAN HALEN）」ですね。
「Eruption」はまるで精神と時の部屋で魔貫光殺砲を浴びたような不思議な感覚に襲われましたが、「Exploder」はまるで同じスタジオの室内にいる目の前で弾いてくれているかのような生々しいトーンが強烈です。
それにしても、素人は決して見習ってはいけない「あの右手のフォーム」でよくもまあこれだけの…。
DREAM FANTASY
これまた歌詞が…ってなりそうなくらいに赤面コキそうな歌詞なのですが、本曲はそんなのお構いなしとする破壊力を持った本作最高楽曲。
LOUDNESSの全楽曲史上でも屈指の名曲と位置付けられると思います。
個人的には２曲目に収録の「Esper」までわちゃわちゃしちゃうとダメな人なので、制限速度ギリギリをメロディアスに攻める本曲の絶妙な塩梅に痺れます。
まあ、始まったら鼻くそほじくってる暇もない程にメロディアスな展開が待ち受けているわけですが、本曲のおすすめの楽しみ方は演奏陣の各パートを一つずつ特化して聴いていくことです。
私はバンドでの担当はギターだったのですが、芸の細かいドラムやベースのリズム隊の演奏だけを追いかけながら聴き込むと思わずニヤケてしまいます。
そして何と言っても圧巻は日本が誇るAKIRA TAKASAKIのギタープレイですよね。
こちらは苦節40年以上HR/HMを聴いてきた自身にとって、ベスト20（でました適当ベスト）には入る名ソロです。
ただ単に速いだけでないテクニック、構成、ドラマティックなフレーズと、まさに申し分なしですね。
今回レビューするにあたり久々に聴きましたが、いやホントに凄くてビックリ…。
そしてライブではほぼ100%のファンが腕を振り上げて２回「Hey！」するタイミングでは、必ず客席がライトアップされ自分も含めたその異様な光景を目の当たりにしてさらに熱く燃えてしまうのでした。
MILKY WAY
これまたHR/HMには似つかわしくない飛び道具的な曲名・歌詞を迷いなく繰り出してきますよね～二井原実。
LOUDNESSのアルバムの中には大抵一曲は本曲のような「ノリを楽しむ楽曲」が収録されていますが、本曲もその類の楽曲。
この曲は聴く度に「ドラムを叩いてみたくなっちゃう曲」なんです。
↓↓↓その辺を語った記事は下記のリンクからどうぞ↓↓↓
Ares’ Lament
散々ディスってしまった二井原実の歌詞センスでしたが、本レビューを日本語盤にしたのはこの名曲を語るため。
（実は曲が良いだけなのかも知れませんが）いやぁ～、お見それしました…。
この名バラード楽曲にはさすがの EARTHSHAKER もビックリだったことでしょう。
なんだかんだと歌詞にはいちゃもん付けてしまいましたが、最終的には総合評価でやっぱり日本語盤に軍配です。
だって、英語の発音がいまいちなんだもん…。
って、これ以上調子に乗って書くと夜道を歩けなくなりそうなのでこの辺で…。
まとめ
個人的LOUDNESSの最高傑作と位置付けている４枚目アルバム「DISILLUSION～撃剣霊化～」。
当時全盛期にあったJAPANESE HEAVY METALシーンにおいてその代表格の座を常に堅持してきたLOUDNESS の実力と気合の違いを見せつけた名盤中の名盤ですね。
そして本作を携えて挑んだ欧州ツアーを熱狂のるつぼの中で成功させ、いよいよアメリカへ討って出る扉を切り裂いた撃剣！。
格好良過ぎます…。
