Y&T / MEAN STREAK レビュー
「Y&T」に改名後の超名盤3作品の集大成
1983年リリースの Y&T 5枚目(通算)のアルバム。
Yesterday & Today から Y&T に改名後の「超名盤3作品」の3枚目となります。
↓↓↓他2枚のレビューはこちらからご参照下さい↓↓↓
https://yahuokusenmon.com/yandt-earthshaker/
前作に続き、全曲が良質のメロディにまみれた極上のクオリティ。
ミドルテンポでじっくりと聴かせるタイプの楽曲が多く、聴けば聴くほどに旨味があふれてくる「するめいかアルバム」です。
楽曲のメロディは無論、デイヴ・メニケッティの泣きのギターもいよいよ人間国宝としての円熟の境地に達した感があり、神々しいほどの輝きを放っていますね。
当時のLP盤レコードの邦題は「ミッドナイト・イン・TOKYO」
当時のLP盤レコードに掛かる帯を見ても明らかなように、本作は日本では「ミッドナイト・イン・TOKYO」という邦題が付けられていました。
本作を、いや Y&T を語るうえで絶対に欠かせないtopicとなるのが「Midnight in Tokyo」。
既出のあまりに有名な話ですので、簡単に済ませます。
1982年7月末に開催された雑誌ヤングギター主催による「Japan Heavy Metal Festival」。
LOUDNESSはじめ当時はまだデビュー前だったEARTHSHAKER等が参加した「伝説のFestival」の大トリを飾ってくれたのが Y&T でした。
そして、フェス後の8月1日夜には聖地「新宿ツバキハウス」での単独公演を実施。
終了後の楽屋で即興的に作られた曲が本作収録の「Midnight in Tokyo」の原型となっています。
当時の日本メタルシーンの熱気に触れたメンバーが、後ろ髪を引かれる思いで日本を後にする寂しさと、再来日を期す熱い思いを歌ってくれています。
メンバー・収録曲
メンバー
- ヴォーカル: デイヴ・メニケッティ (兼ギター)
- ギター : ジョーイ・アルヴィス
- ベース : フィル・ケネモア
- ドラムス : レオナード・ヘイズ
収録曲
- Mean Streak – 4:06
- Straight Thru the Heart – 4:14
- Lonely Side of Town – 4:48
- Midnight in Tokyo – 5:41
- Breaking Away – 4:43
- Hang ‘Em High – 5:33
- Take You to the Limit – 4:53
- Sentimental Fool – 3:11
- Down and Dirty – 3:54
おすすめ楽曲
オープニングから強烈なインパクトを放つタイトルチューン。
シンプルながら、本記事の冒頭で言及したハードロックとヘヴィメタルの丁度狭間に位置付けられるような切れ味鋭く、凄みのあるリフで、全てを持っていかれそうです。
本作における貴重な疾走曲であり個人的にはあっけなく最高楽曲として認定。
ギターもさることながら、デイヴ・メニケッティのヴォーカルが「熱盛」状態で、真夏に聴くには適さないものの3シーズンは問題なくいけそうです。
但し、ドライブのお供としてはスピード、急ハンドルを誘引してしまう要素が満載のためあまりおすすめできません。
Lonely Side of Town
Midnight in Tokyo
Y&T を代表する楽曲として、日本のファンのみならず海外のファンも認める名曲ですね。
イントロのハモリギターが切なすぎます。
アダルトな曲調とデイヴ・メニケッティの哀愁しかないヴォーカルで感情移入すること必至。
和訳の歌詞を見ながら聴くと彼らの人間性が滲み出てくるようで、胸が締め付けられる思いです。
唯一の残念ポイントは即興曲ゆえにギターソロが無いとことろでしょうか。
もっとも、これでギターソロでも泣かされた日には涙が枯れ果ててしまいますね…。
Sentimental Fool
3曲目の「Lonely Side of Town」同様に、Y&T ならではの哀愁爆発のど演歌楽曲。
渋い、渋すぎる。
ミディアムテンポでじわじわと琴線を刺激してくるメロディ至上主義の楽曲作りは、Y&Tの十八番とも言える職人芸。
シンプルでコンパクトながら、これだけの情緒的価値を生み出す音楽を表現できるパフォーマンスの良さに敬服します。
まとめ
Yesterday & Today から Y&T に改名後の「超名盤3作品」と言われる3枚目に位置する本作は、前作同様に、いやより円熟味を増した集大成のように非常にクオリティの高い作品に仕上がっています。
80年代当初から縁のあった日本との接点を大切にしてくれたバンド Y&T。
本作に収録の「Midnight in Tokyo」の誕生物語はあまりに有名であり、そんな彼らのハードロックや日本に対する情熱や愛情に心打たれてファンになった人も多いのではないでしょうか。
大袈裟ではありますが、彼らの楽曲を聴き込む程に、音楽を通して人間(ひと)として大切にしていくべき生き方、考え方を教えてくれているように思います。