PRAYING MANTIS / KATHARSIS 真価の問われる進化作

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最近やたらと重要視される「エンゲージメント」

「エンゲージメント」何のこっちゃ?

本作をレビューするにあたり考えさせられたのは「エンゲージメント」。
今回もちょっと(かなり)脇道から入ります。
(興味ない方は目次から本題に飛んでください…)

最近、メディアでもその重要性がやたらと取り上げられ耳にするようにった「エンゲージメント」。
「エンゲージメント・リング」の名の通り、直訳すれば「約束・取り決め・婚約」といった意味合いですが、昨今主に語られるのは主に「従業員エンゲージメント」です。

働き手の労働人口が年々減少していく日本では、会社にとって優秀な人材の確保が重要視されており、従業員の離職率をいかに抑えてモチベーションの高さを維持していけるかが、会社の業績に大きく関わってきています。
「従業員エンゲージメント」はその状況を可視化した重要な指標であり、数値向上に真剣に取り組む会社が増加していますね。
雇用や働き方の多様化、若手とベテランの世代間での価値観のギャップなどによって、かつての「昔はこうだった」「俺はこうしてきた」が今の世の中には通用しません。

また、「従業員エンゲージメント」について考える際に重要なことは、会社と従業員の相互理解のもとに成り立ち向上していくという点。
会社が従業員に何をしてくれるかという一方向的な「従業員満足度」ではないということです。
会社が目指している「ビジョン」や「理念」「価値観」を従業員が理解・共感して、会社に対して貢献しながら自分自身も共に成長していくという考え方。

そのためには会社の「ビジョン」や「理念」が明確に示されていることが前提であり、従業員がそれを理解し心から共感する状態が求められます。
ただ単に「方針だからこうしろ!」等のように半ば強制的に価値観を押し付けることは逆効果で、従業員一人一人の考え方を尊重しながら少しずつすり合わせていくことが求められます。

バンドとリスナーにおけるエンゲージメントの関係性について

いやー、堅い、堅すぎる内容ですね。
誰も読まないつまらない話と思いつつも、書いちゃいます…。

何で今回こんな堅い話?ってとこですが、本作PRAYING MANTISの新譜「KATHARSIS」を聴きながら「バンド」と「リスナー(ファン)」の関係性においても同じことが言えるんだろうな~と思ったからです。

ハッキリ言って、本作を1周聴き終えて私のバンドに対するエンゲージメントはダダ下がりでした…。
PRAYING MANTISというバンドが一体何を目指しているのか「ビジョン」や「方向性」といったものが全く分からなくなってしまったのです。

それは恐らくNWOBHMムーヴメントの代表格の一角であるPRAYING MANTISに対して、リアルタイムで併走してきた過去の音楽性のイメージがあまりにも強すぎて、進化、変化することに対する一種のアレルギー反応のような状態だったのかもしれません。
(昔はこうだった、ああだったと言っても何の進歩も無いですね…)

乱暴に言ってしまえば、何だよアメリカン・ハードポップ・バンドじゃあるまいしアメリカのマーケットに魂を売り渡したな…。
(私は決してアメリカン・ハードポップ・バンドを否定するものではありません(むしろ大好物)。あくまでPRAYING MANTISがやる必要があるのかという見地からです。)
そして、得意とする日本のマーケット向けには「まあこんなもんだろ的な安直な楽曲作り」したな…。
というのが本作1周目の率直な印象です。

しかしながら2周目、3周目と聴き込んでいくうちに、この音楽性こそが現在のPRAYING MANTISの明確な立ち位置であり見据えている音楽的方向性なのだなと理解・納得ができるようになりました。

いやー、会社における従業員エンゲージメントも一朝一夕に上がるものじゃありませんが、バンドとリスナーの信頼関係の築き方も難しいですね。
1周しただけだったら恐らく今後のPRAYING MANTISの新譜は買わない(離職)状態になっていたと思います。

PRAYING MANTIS / KATHARSIS どんなアルバム?

カマキリ怪獣は姿を消すも大袈裟な印象のジャケット

前述の通りNWOBHMムーヴメントの代表格バンドの一角であるPRAYING MANTISの約4年ぶりとなる12枚目のアルバムです。
(2022年1月28日リリース)

アルバムタイトルは「KATHARSIS」。
何やら意味深なタイトル。
辞書を開けば「人の心に怖れと憐あわれみを呼び起こし、その感情を浄化するという効果」「アリストテレスが「詩学」で展開した言葉」などと記載があります。
こ、これは、近年の前2作品で迷走の兆しが見られたバンドの音楽性が、一気に明確に解き放たれてヘヴィメタル(PRAYING MANTIS)ファンのモヤモヤ感が綺麗に浄化される作品なのでは?。

ジャケットデザインもバンドロゴはそのまま継承されてはいるものの、カマキリ怪獣は姿を消しています。
そして、神により心を解放された人々をイメージするかのような大仰なデザインが施されており、敬虔なPRAYING MANTIS信者を自負する私の期待値はうなぎ上りに高まりました。

結論から言いましょう。
「PRAYING MANTISはヘヴィメタルバンドではなくなりました」。
タイトル、ジャケットデザインにおけるプログレ志向?とも思える変化もさることながら、中身の楽曲(全てとは言いませんが)もはっきり言ってハードポップバンドとでも言いましょうか。
往年の古参ファンがイメージするPRAYING MANTIS像だけを求めてはいけない時代に入ったのだと思います。
かと言って、楽曲の方向性は難解なプログレ志向というわけではなく、むしろ対極に位置する単純とも言えるメロディを多用した万人向けのハードポップなものが占めており、ジャケット負け(名前負けと同義)している感もありますね。

バンドとして「進化」なのか? 今後問われる「真価」

あくまでもここで記しているのは私の個人的な主観ですので、全く違った捉え方で本作に対するアプローチをするファンの方々も多いことと思います。
かつて、泣きメロ総合商社などと勝手にネーミングさせて頂き、古き良き英国の伝統を受け継ぐツインリード・ギターを中心に据えた泣きメロ満載のヘヴィ&キャッチーな楽曲を量産していたバンドというのが、私の抱く「PRAYING MANTIS像」でした。
近年の前々作辺りから徐々に垣間見えていた「ポップ化」の潮目は、本作で一気に加速しかつてのヘヴィメタルバンドとしての残像は幻のように薄れてきています。
今後のマーケットにおける反応(成績)、色々な人々のレビュー、感想などを見守って本作の「真価」を見極めていきたいと思います。

バンドの代名詞「メンバーチェンジ」は終息

PRAYING MANTISといえば、とにかくトロイ兄弟以外のメンバーが目まぐるしく変わる「メンバーチェンジ」がバンドの代名詞。
(いやいや、誰も代名詞に言ってないだろ…)
しかし、ここ最近のアルバムではようやくメンバーが固まりつつある状況で、前々作「LEGACY(2015年)」から変動はありませんね。
逆にいうと、このことが前々作辺りから顕著になり出した「ハードポップ化」に一層の拍車を掛けてその加速度が増した要因のような気がします。

バンドメンバー・収録曲

バンドメンバー

  • ヴォーカル: ジョン・ジェイシー・カイペルス
  • ギター  : ティノ・トロイ
  • ギター  : アンディ・バーゲス
  • ベース  : クリス・トロイ
  • ドラム  : ハンス・イン・ザント

 

収録曲

  1.  Cry For The Nations
  2.  Closer To Heaven
  3.  Ain’t No Rock ‘N’ Roll In Heaven
  4.  Non Omnis Moriar
  5.  Long Time Coming
  6.  Sacrifice
  7.  Wheels In Motion
  8.  Masquerade
  9.  Find Our Way Back Home
  10.  Don’t Call Us Now
  11.  The Devil Never Changes

 

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Cry For The Nations

HR/HMファンにとっては聖域とも言える「曲名」をいきなりぶっ込んできましたね。
この曲名を使用するのは、ACミランで10番を付ける位の覚悟と図々しさが求められると思います。
しかし、そこは流石の重鎮バンド。
これはこれであの名曲に負けじ劣らじの楽曲ではあーりませんか。
悲し気なピアノのイントロで始まるオープニングに相応しい「プレマン節」全開の名曲ですね。
本作総じての印象ですが、ギターがかなり奥に引っ込んだミキシングで派手なソロも一切無しです。

Closer To Heaven

出ました。
若干の憂いは僅かに残すものの、基本路線は爽快アメリカン・ハードポップな一曲。
目隠しで聴かされたら絶対に「PRAYING MANTIS」と的中させる人はいないと断言しちゃいます。
これは、GIANT、SURVIVOR辺りを連想してしまいそうな楽曲ですね。
これをPRAYING MANTISがやる必要あるのか?という議論が巻き起こりそうな楽曲ですが、素直に良い曲なので有難く感謝しながら受け入れることとします。

Non Omnis Moriar

「プレマン節」を基軸としながらも、変化をつけたアレンジのリズム隊が印象的ですね。
この辺りに「進化」のエッセンスを散りばめながらサビメロは思いっきりド演歌状態のコテコテ感。
それにしても本作、ギターはこれでもかという位に弾きませんねー。
まるで試合中に拳を痛めてしまったボクサーのような封印ぶりです。
ここまで弾かないとやはり若干のフラストレーションが溜まってきてしまいます。

Long Time Coming

これまたかつてのPRAYING MANTISとしては考えられないアメリカン・ハードポップ曲。
完全にマーケットを意識した楽曲ですね。
ただ、アルバムのタイトルやジャケットデザインとの整合性には若干の違和感というか、チグハグ感が否めませんが。
まあ、あまり堅苦しく考えずにやりたい音楽、曲作りを心を解き放つように思いっきりやるということでしょうか。
売れないとバンドも続けられませんしね…。

The Devil Never Changes

オープニング曲と並んで本作の中で最もかつてのPRAYING MANTIS像に近い音楽性を残した楽曲です。
ウォーォォ!の分厚いコーラスが印象的。
ライブでは大合唱~途中ブレイクしての掛け合いとなること必至ですね。
最後の最後の楽曲でようやく多少は弾いてくれてますギターソロらしいソロ…。
何か、これだけおあずけを喰らうと妙に有難みを感じるものですね。
やはり人間の欲望は無限であり、すぐに有難みを忘れてしまうものです。
普段からギターソロを聴けることにもっと感謝しないといけないのかも知れません。

まとめ

PRAYING MANTISの4年ぶりの新作「Katharsis」は新旧のファンにとって受け止め方が異なってきそうな「変化」に富んだ音楽性となりました。
「変化」が「進化」であったのかどうかは、今後のマーケットの反応とリスナー(ファン)一人一人の多様な受け止め方によってその「真価」が問われることとなるでしょう。

企業と従業員の関係性における相互理解(エンゲージメント)を深めることの重要性と困難さと同様に、バンドとリスナー(ファン)という関係性においても、バンドの目指すビジョンや音楽性、作り上げられた楽曲を通じて共感し合えて双方が成長していけるものなのかな?。
などと今回は堅苦しい能書きを書いてしまいました。

結局、なんだかんだ言いながら、CD聴いたりライブ行って思いっきり拳振り上げてバンドと一体となれるかなんですけどね。
(チャンチャン…)

 

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