ACCEPT 【歴史的名盤】 RESTLESS AND WILD

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ACCEPT / RESTLESS AND WILD レビュー

上には上がいた…。高校時代のバンド仲間のおすすめ

私の通っていた都立高校はとにかく自己責任で何でもありの校風で、制服も無ければ髪型も自由でしたので、徐々に自己主張してくる連中が目立ってきます。

そんな中でひと際メタラー感を漂わせていた同じクラスのI君。

ついこの間まで中学生だったにも関わらず…既に「出来上がっている感」のある風貌と情報量の持ち主でした。

週末には新宿ツバキハウスに通い最新情報を仕入れていたであろう半端ない情報量。

いやあ、世の中には上には上がいるものです。

(後に、I君は学校にも来なくなり高校を中退してしまいましたが…)

そんなI君をヴォーカルに据えてバンドを結成しMSGやIRON MAIDEN、JUDAS PRIEST、SCORPIONSなどを必死にコピーしては、部活や文化祭でのライヴに燃えておりました。

そして次のライヴに向けてやりたい曲を話していた時に、I君からおすすめで提案されたのが「ACCEPT」の「Fast as a Shark」。

当時の私は「ACCEPT」の名前すら知らず、ドイツのバンドであること、ツインリードであることくらいの予備知識しか与えられずにウォークマンで聴かされたのが最初の出会いでした。

当時のギター小僧にとってその時の衝撃はとにかくもの凄いインパクトとしか言いようがありません。

「いやいや、これは無理だろ…」「そもそも2バスだし…」と即決でバンドでのコピーは却下となったのは言うまでもありませんが…。

 

硬質感溢れる元祖ジャーマンパワーメタルの名盤

1982年リリースのACCEPT4枚目のアルバム「RESTLESS AND WILD」。

本作を入門アルバムとして前の3作を後追いした自分の印象では、ACCEPTがバンドしての方向性を明確化したマイルストーンとなったアルバムだと強く感じます。

前作「BREAKER」でもその片鱗は垣間見られた、マーケットに迎合する姿勢を一切排除し自分達の差別化ポイントをそのままストレートに表現する姿勢。

私がACCEPTに引き寄せられる魅力とは。

・何と言っても丁度良い塩梅の歪み具合でシンプルで無骨なリフワーク
・ウドの唯一無二の特異な声質
・それに似つかわしくない哀愁のメロディライン
・さりげなくクラシカルなエッセンスを織り交ぜるギターソロフレーズ
・タイトかつパワフルなドラミング
・野郎臭プンプン充満の低音バックコーラス

などなど多岐にわたりますが。

本作における楽曲群はそれらの差別化された魅力ポイントが随所に織り交ぜられながら、オープニング曲のスピード感あるゴリ押しタイプあり、何度も聴き込んで本当の味が出てくるタイプの楽曲ありと、非常にバラエティに富んだ聴き応えのある内容となっています。

 

メンバー・収録曲

メンバー

  • ヴォーカル: ウド・ダークシュナイダー
  • ギター  : ウルフ・ホフマン
  • ギター  : ハーマン・フランク
  • ベース  : ピーター・バルテス
  • ドラムス : ステファン・カウフマン

 

収録曲

  1. Fast as a Shark – 3:48
  2. Restless and Wild – 4:12
  3. Ahead of the Pack – 3:24
  4. Shake Your Heads – 4:17
  5. Neon Nights – 6:02
  6. Get Ready – 3:41
  7. Demon’s Night – 4:26
  8. Flash Rockin’ Man – 4:28
  9. Don’t Go Stealing My Soul Away – 3:15
  10. Princess of the Dawn – 6:17

 

おすすめ楽曲

Fast as a Shark

ドイツ民謡?童謡?かは知りませんが、ほのぼのとしたレコード音が 一気にスクラッチされ重厚な2バスとギターのリフによる文字通りの突進攻撃が始まる衝撃的なオープニング曲。

その特異声質の第一声を初めて聴いた時は激しいアレルギー反応を起こし、「うわぁ、ちょっと無理かも」と思わず引いてしまうウド・ダークシュナイダーのヴォーカルが不気味に響き渡ります。

当時で言うところの比較的攻撃的なIRON MAIDENやJUDAS PRIESTなどを聴き込んでそれなりのヘヴィメタル体質が出来上がっていたギター小僧をもってしても、この曲のインパクトはそれを遥かに超えるものでした。

レコードの回転数いじってない?と疑ってしまった程にあまりにも速い疾走感。

不気味なダミ声ヴォーカルに輪を掛けて畳みかけてくる低音のバックコーラス。

それらに相反して、どちらかと言えばキャッチーなサビメロと、何と言っても起伏に富んだメロディアスなギターソロのギャップがまた驚きと戸惑いを倍増させます。

間違いなくACCEPTを語るうえで外すことのできない象徴的な代表曲ですね。

幼い頃に観たTV番組「ウルトラクイズ」の〇✖問題で、回答者が〇✖の枠に走って突っ込んでいく場面がありました。

(不正解だと突き破った先が泥の沼になっている)

これに例えるならば、この曲を聴いて「〇」の枠に走って突っ込んでいくと、その先にはACCEPT沼という恐ろしく深い沼が眼下に広がっていたのでした…。

 

Restless and Wild

本作と同じ1982年にはJUDAS PRIEST 8枚目のアルバム「SCREAMING FOR VENGEANCE(邦題:復讐の叫び)」がリリースされ、そのオープニング「The Hellion」~「Electric Eye」~「Riding on the Wind」の展開を聴いた時、「これは自分がこれまでに聴いてきたアルバムの中で史上最高の展開だ」と思わず全身が総毛立ったのを思い出します。

本作における「Fast as a Shark」~「Restless and Wild」の間髪入れずに畳みかける流れも、なかなかどうして負けず劣らずの見事な展開と言えるでしょう。

前述のI君にすすめられて聴いた時も、「Fast as a Shark」よりも本曲「Restless and Wild」の方に非常に興味を持ってしまった位にインパクト十分で格好良い曲です。

何と言っても、この曲の最大の魅力はステファン・カウフマンのドラミング。

小気味良いタイト感と下腹に響いてきそうなパワフル感、無闇矢鱈ではなくここぞの所でぶっ込んでくるおかず。

何度も何度も繰り返し聴いても絶対に飽きない自信がある程に、この曲のドラミングが大好きです。

 

Neon Nights

悲し気な美旋律が一転してギミック音に変化するギターで幕を開けるドラマティックな長編作。

スローテンポで低調に進行していくウドのヴォーカルは徐々にサビへ向けてテンションを高めていきます。

そして2コーラス後のこの曲の最大の盛り上がり所、ギターソロへの突入です。

どこかクラシカルな風味も漂わせながらのソロメロディは今でこそウルフ・ホフマンの十八番ともなっていますが、この当時は一歩間違えると渋い演歌メロディに聴こえなくもありませんね。

狙ったのかどうかは知りませんが、結果として日本人の琴線に響いた(?)素晴らしいフレーズでした。

最後の最後でテンポアップさせ「もっと聴きたい」余韻を残す作戦がにくいですね。

 

Princess of the Dawn

ラストを飾るこれまたドラマティックな長編作。

シンプル極まりないリフをメインに、冷酷なまでに淡々と進行されていくややもするとつまらない印象の楽曲。

しかしながら5曲目の「Neon Nights」と同様に、後半からのギターソロで楽曲の様相は大きく変化していきます。

派手なソロメロディこそないものの、メタル然とした骨太なカッティングも絡めながら男臭い硬派なソロを聴かせています。

そしてラストはまさかの「ささやきフェイドアウト」からの「ぶった切り」終了。

いまでこそTVドラマとかで「ちょっと意味深な含みをもたせた唐突のエンディング」で続編を期待させる手法がとられていますが、当時は結構衝撃的でした。

「これって俺のだけじゃないよね?」とチョッと不安になったりして…。

当時はLP盤でしたのでレコードの溝を虫眼鏡で凝視して確認したりしてました…。

 

まとめ

おすすめ曲としてチョイスした楽曲以外も、当然のことながら良曲が目白押しの本アルバム。

硬派な重厚さに拘りつつも、キャッチーなサビメロとメロディアスなギターソロというACCEPT節がこれでもかと詰め込まれた傑作です。

次作「Balls to the Wall」とACCEPT最高傑作の座を争う位に素晴らしい名盤と言えるのではないでしょうか。

そして、ACCEPTを語るうえで忘れてはならないポイントは「ライブパフォーマンス」の質の高さですね。

几帳面で規律正しい(日本人にも似ている)ドイツ人の特性なのか、そのステージパフォーマンスは統制がとられたこれまた男臭さがプンプンする動きが特徴的。

各メンバーの立ち位置、動き、ポージングまですべてがまるで規律に則って進行しているかの如く、見ていて本当に格好良いです。

代名詞でもある低音のバックコーラスも合わせて、まさに「軍隊メタル」とも言われる所以ですね。

 

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