BONFIRE / Point Blank なりふり構わぬ売れ線狙い全17曲の大作

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BONFIRE / Point Blank レビュー

Scorpions路線踏襲のゲルマン魂全開と思いきや…

ジャーマン・ハードロックの雄 BONFIREの1989年リリースの3枚目のアルバム「POINT BLANK」。

ジャーマンHR/HMと言えば、先ず筆頭に挙げられるのが SCORPIONS。
魂のこもった鋭く攻撃的なリフと、印象的なメロディラインがバランスよく調和された数々の名曲を輩出し、ジャーマンHR/HMバンドの頂点の座を揺るぎないものとしています。
BONFIREも、当初はSCORPIONSをはじめとする多くのジャーマンHR/HMバンドのスタイルを踏襲した、欧州特有の湿気を帯びた曲作りを基本スタイルとしていました。
が、悲しいかな楽曲のクオリティ(特にメロディライン)が今一歩垢抜けず、鳴かず飛ばずの状態が続いていました。
そんな状態から活路を見出すべく、バンドはメンバー交代を重ね、更には楽曲作りにヒットメイカーとして有名なデスモンド・チャイルドを起用するなどアメリカン・マーケット志向を鮮明に打ち出していくこととなります。
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背水の陣で臨んだ全17曲の総攻撃

本作では、前作に引き続きアメリカン・マーケットを見据えた音楽性を更に色濃く強調しており、もはやジャーマン臭は微塵も感じられません。
そしてまさか「数打ちゃあたる」とは思ってないでしょうが、全17曲という驚異のラインナップでキャッチーな楽曲が粒揃いの構成となっています。
ルックスもそこそこ、テクニック的にも文句なしのキャリアを積んだ面子、楽曲もある意味潔くなりふり構わず売れ線狙いに徹した本作が、逆に売れなかったら…。
相当やばいかも…。
そんな感じのまさしくBONFIREにとって背水の陣で臨んだ会心のアルバムです。
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メンバー・収録曲

【メンバー】

  • ヴォーカル: クラウス・レスマン
  • ギター  : エンジェル・シュライファー
  • ベース  : ヨルグ・デイジンガー
  • ドラムス : エドガー・パトリック

 

【収録曲】

  1.  Bang Down the Door – 3:19
  2.  Waste No Time – 3:13
  3.  Hard on Me – 3:07
  4.  Why Is It Never Enough? – 4:11
  5.  Tony’s Roulette – 4:45
  6.  Minestrone – 0:57
  7.  You’re Back – 3:10
  8.  Look of Love – 4:41
  9.  The Price of Loving You – 3:04
  10.  Freedom Is My Belief – 3:42
  11.  Gimme Some – 3:16
  12.  Say Goodbye – 3:42
  13.  Never Surrender – 5:00
  14.  (20th Century) Youth Patrol – 3:24
  15.  Jungle Call – 0:30
  16.  Know Right Now – 3:52
  17.  Who’s Foolin’ Who – 3:56

 

おすすめ楽曲

Bang Down the Door

オープニングは本作に込めるバンドの意気込みを感じさせる、キャッチーかつパワフルな楽曲。
厚みのある少し濁ったヴォーカルの声質にマッチした曲調でノリも良く、ライブでの盛り上がりが想像できますね。
かっちょ良いバッキングからソロへの期待が大きく高まるギターですが、ギターソロを今か今かと待っていたら、そのまま意味不明のエフェクトだけかけて終わってしまい、思わずズッコケてしまいます。
ヴぇー、これで終わり?。勿体ないなー、良い曲なのに…。
BONFIRE歴代曲の中でも屈指の名曲だと個人的には思うのですが。いやー勿体ないです。

You’re Back

オリジナル盤では、ビビデバビデブー的な謎の曲をたっぷりと1分間も聴かされてから登場してきます。
本編はオーソドックスなリフから疾走するスピード感のある曲調が心地良い楽曲。
こちらもライブうけしそうな非常に分かりやすい楽曲ですね。
ギターソロもそこそこ気合い入れて弾いてはいますが、どうせなら楽曲終盤にももう少し暴れてくれて良かったのに思えてしまいます。
うーん、ちょっと勿体ないなー。

Say Goodbye

こ、こ、これはモロ BON JOVIではないですか…。
いくら同じBONだからって...。
もはやゲルマン魂なんぞは遠い昔にどっかへ置いてきてしまったようです。
欧州バンド臭は微塵にも感じられません。
逆にここまで潔いとなんだか微笑ましく応援したくなってしまいますよね。
曲もクサ過ぎといえる位にモロキャッチーな作りで、売れ線を意識して作るとみんなこうなるんだという典型例のような楽曲です。

Never Surrender

前曲とのギャップの凄さに少し呆れ気味となってしまいます。
さすがに全17曲収録の中で最長の楽曲だけあって、それなりにドラマティックでスケール感を感じさせる構成の良曲です。
この辺りまで聴いてくると、気の短い人は「どれもサビメロが安直すぎる」とか「曲構成にもうひと捻り欲しい」とか言い出しそうですね。
(私か…)
もう少し曲の変調や展開等に工夫があると、フックが効いてくるのかなと思います。
本曲以外はあまりにコンパクト、単調、淡泊に終わってしまう曲が多くてとにかく勿体ないのです。
(私はどうやら勿体ない病にかかってしまったようです)

Know Right Now

16曲目。
いやぁ、ここまで真剣に通しで聴き直してきて「自分で自分を誉めてあげたい」心境に。
そんなヘロヘロ状態のリスナーにとって、最後の拷問のような約30秒ほどの変な馬の足音みたいなのものを聴かされることになります。
でも、それに何とか耐え忍んだご褒美として、ようやく本作のベスト曲、真打とも言える楽曲の登場です。
いや~、ここまでの道のりが長かったー。
やっぱ曲数が多過ぎですよね。
「名曲」と呼ぶに相応しいこんなに良い曲がこのポジションで登場されても、リスナーは既にスタミナ切れ起こしちゃってるかも知れません。
絶対にアルバムの2曲目辺りに入れとくべきだと思います、この曲は。
でも、そんなスタミナ不足の私の疲れも吹っ飛ばしてくれる位に良い曲です。
メロディラインに憂いがあり、刹那気に絡んでくるバックコーラス。
ギターソロもキレイな音でなかなかの聴きごたえがあります。
個人的には最後がフェイドアウトで終わるなら、ギターソロでも被せて弾きまくって終わって欲しかったです。
とにかく何度も書いてますが全般的に淡泊過ぎ!。
良い意味でのしつこさ、執念、自己主張の強さが欲しいところです。

まとめ

本作のレビューで「勿体ない」というワードを何回使用したでしょうか。
とにかく勿体ない!。
言い換えれば「もう一工夫」「あと一歩」「もうひと踏ん張り」「決め手に欠ける」のです。
テストで言えば75点~79点の楽曲揃いといったところでしょうか。
80点の合格ラインで一気にメジャーシーンに躍り出そうなところなのに、惜しくも寸止めの状態。
とにかく何かが足りない気がします。
今回ピックアップした曲以外にも、本当に良い曲が粒揃いで収録されているのですが、逆に言うとこれと言って特徴の無い、インパクトに欠ける印象しか残りません。
一言で言ってしまえば淡泊すぎ!。
思わずバイアグラでもあげたくなってしまいます。
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