Elegy / Labyrinth of Dreams 泣きメロ満載のおすすめ名盤

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Elegy / Labyrinth of Dreams レビュー

ダサジャケ・ランキング上位に食い込む凄まじいセンス

1993年、既にHR/HMシーンは(私はちょっとついていけなかった)オルタナ、グランジ系といった大きな潮流のうねりに飲み込まれつつあった真っ最中、空気を読まずにELEGYなるバンドがオランダからデビューしました。

いやー、遅いよー、もう少し早く来てくれないとー。

と嘆いたところで完全に後の祭り状態。

いくら日本人好みの欧州本格派のメロディアス勢と言われても、もはやシーン全体では多勢に無勢の戦況なのです。

しかも、致命的なのはアルバムジャケットデザインの凄まじ過ぎるダサさ。

これまでにも思わずこちらが赤面してしまうような数々のダサダサデザインのジャケットを目にしてきましたが、並み居る強豪を蹴散らさんばかりの破壊力をもったダサさです!。

一体何なんでしょうこのチャイナ感は?。

(もしかしたら日本をイメージしてるのかも知れないけど)しかも何を呑気に寝転がってんのよ!って感じです。

(CAPTAIN和田氏のライナーノーツによれば、アジアの女性が夢の迷宮に入っていくところ?らしいですが…)

こ、これは酷い…。

このデザインだけ見たら、とても私の手には負えそうもないC級バンド感がプンプンと臭ってきます。

にも拘わらず、このCDが今自分の手元にあるのは何故なんだろう?。

どういう経緯で、どんな心理状態でこのCDを購入したのかは正直覚えていませんが、現実として我が家のCDラックにちゃっかりと居座っています。

そして、後で知ったことですが復刻版は別デザインとなっており、さすがにチャイナ感は消え去ったものの、これまた意味不明で微妙なデザイン。

こちら。

基本的にデザインとかのセンス無いんでしょうね…。

これで邦題が「迷宮の夢」ときましたよ。

もうハチャメチャです。

これだったらいっその事、変えない方が良かったんでないの?と思えてきてしまいます。

とは言え、歴代ダサジャケットの中でも横綱の座を決して譲らない伝説のTHE KING OF ダサジャケットの「こちら様」には到底足元にも及びませんが……。

ご、ごっつあんです。

でもRIOTは中身が素晴らしいですからね~。

むしろ、「渋い」感じに思えてくるから不思議なものです。

ついついジャケットデザインで盛り上がってしまい、おすすめどころかこき下ろし記事となってしまいました。

 

中身は極上のドラマティックな正統派メロディアス

気を取り直して肝心の中身の話に移りたいと思います。

そもそも、「おすすめ」でなければこのブログで紹介する理由が無い = そう、これがジャケットのデザインとは裏腹に中身が凄いことになっているのです!。

楽曲はクインーズライチ(Queensrÿche)を思わせるドラマティック性に富んでいて、曲展開や独特のリズム変調なども取り入れられ、盛りだくさんの聴き応えがある欧州正統派メロディアスとなっています。

そして、線を細くしたジェフ・テイト、TNTのトニー・ハーネルにもちょっと似たハイトーン・ヴォーカル。

更には、まるで落ちそうで落ちない綱渡りをしているかのような、こちらの予測を裏切りながら泣きメロ、フレーズを連発で奏でてくる不思議なメロディセンスのギターが特に印象的です。

メロディセンスがあまりに独特過ぎて正直上手いのかどうなのかわからなくなってしまっていますが、少なくともツインギターでのユニゾン、ハモリフレーズを、これだけスリリングにビシッと合わせて弾いて聴かせるのだから相当上手いんだと思います。

また、4曲目と8曲目には短めのインスト曲が配置されており、各パートが好き勝手にそれぞれやりたい放題のプレイを披露してご満悦のカオス状態となっています。

中でもドラムは腕にかなり自信を持っている様子で、ちょいちょいバスドラの刻みで自己主張してきます。

(個人的には嫌いじゃないですが)スネアの音色が少々軽過ぎる印象があるものの、寸分の狂いも無いタイトな緊張感を醸し出しながら、時に難解なリズムも取り入れたりとかなり意欲的なドラミングが聴けます。

10曲目は完全にHELLOWEENを意識した楽曲なのですが、あまりにメロディセンスが独特過ぎてキャッチーさが無くなってしまい、結局どうしたいのかが分からなくなってしまっているようでちょっと笑えてしまいます。

 

メンバー・収録曲

【メンバー】

  • ヴォーカル: エドワード・ホーヴィンガ
  • ギター  : ヘンク・ヴァン・ダー・ラーズ
  • ギター  : アーノ・ヴァン・ブラッセル
  • ベース  : マーティン・ヘルマンテル
  • ドラムス : ED・ワービー
  • キーボード: ヴォン・ダー・ストローム

 

【収録曲】

  1.  The Grand Change – 4:42
  2.  I’m No Fool – 4:56
  3.  Take My Love – 4:47
  4.  All Systems Go – 2:56
  5.  Trouble In Paradise – 5:36
  6.  Over And Out – 3:42
  7.  Labyrinth Of Dreams – 6:10
  8.  Mass Hysteria – 1:25
  9.  Powergames – 4:25
  10.  The Guiding Light – 3:15

 

おすすめ楽曲

 

The Grand Change

クインーズライチ(Queensrÿche)伝説の3枚目を髣髴とさせる見事な楽曲でアルバムは幕を開けます。
ピーンと張りつめた緊張感を漂わせながら、起伏に富んだドラマティックな曲展開とハイトーンヴォーカルが冴えわたる名曲ですね。
なかなかの聴きごたえがある長大作にもかかわらず、次々と場面展開していく構成であっと言う間に聴き終えてしまう印象です。

I’m No Fool

 

続く2曲目は、スピードアップしたこれまたドラマテック&メロディアスな名曲。
特にイントロの鬼気迫るようなギターソロは、この曲を聴いた全てのメロディアスフリークが涙したであろう、究極の泣きメロが炸裂しています。
それにしても、類まれなるメロディセンスから繰り出されてくる独特のギターフレーズは、聴き手の予定調和を見事に裏切る破天荒さです。
ツインリードのどちらが編み出しているのかは不明ですが、それに追随してユニゾン&ハモリでビシビシ合わせてくるのはかなりの腕前とお見受け致します。
(個人的に拘りがあるエンディングも、手抜きのフェイドアウトなどせずにビシッとキメられており大満足の一曲です)

Over And Out

 

初期のクインーズライチ(Queensrÿche)を思い起こさせる正統派様式美に則った、これまた日本マーケット向け戦略曲ともいえるような名曲。
悲しいかな、既にこのタイミングでは過去の遺物、古典的とも言われかねないオーソドックスなリフメロですが、これぞヘヴィメタルの源流であると今でも信じて止みません。

まとめ

欧州オランダ勢として長いキャリアを持ちながら、デビューのタイミングでやや出遅れた感が否めないELEGY。

(先頭集団から10馬身程度の遅れ)

マーケット環境に恵まれず、ジャケットデザインのダサさでマイナスからのスタート(周回遅れ位のハンデかも…)を余儀なくされた不運のバンドとも言えますが、楽曲のクオリティとテクニックは申し分のないレベル。

メロディアスかつドラマテック性に富んだ名盤をデビューアルバムとしてシーンに叩きつけました。

きっと、何かのレビュー記事なり「中身の良さ」に確証があって、このアルバムの購入に踏み切ったのだと思いますが、どうしても購入動機を思い出すことができません…。

(悶々としながらこのCDを聴き返しています)

なにはともあれ、珍妙デザインの貴重な名盤(国内盤)に不思議と愛着がわいてきました...。

 

 

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