BOSTON | WALK ON レビュー
デビュー以来4作連続でミリオンセラーを達成!
1976年に米国マサチューセッツ州ボストンで結成されたバンド「BOSTON」。
奇才トム・ショルツを中心に常人には到底理解できない程の年月と緻密なミックス作業を経てリリースされる BOSTON のアルバム作品は、本作以前の過去3枚で驚異的なセールスを記録。
前作「THIRD STAGE」(’86)から8年ぶりとなる新作への期待も最高潮に高まる中で、1994年にリリースされたのが本作4枚目のアルバム「WALK ON」でした。
結果として本作も全米アルバムチャートで7位まで昇りつめる大成功を収めることとなり、デビュー以来アルバム4作連続でミリオンセラーとなる快挙を成し遂げることに。
メロディアスハードロックにとっては決して芳しくはない風が吹き始めていた当時においても、一聴してBOSTONであることが解る普遍的なメロディとサウンドは、宇宙船BOSTON号 の推進力に衰えの無いことを証明して見せた作品となりました。
ヴォーカル交代も大きな問題なし
どんなにBIGバンドであっても、フロントマンであるヴォーカルの交代は一大事。
かつてヴォーカル交代が凶とでてファンの離反を喰らったバンドがいくつもありました。
本作におけるBOSTONも、これまでバンドの象徴的なヴォーカリストであったブラッド・デルプがいよいよトム・ショルツの変人ぶりについて行けなくなったのかバンドを脱退~元BOSTONのギタリストだったバリー・グドローと新たなバンドを結成。
代わって加入したのは、BOSTONの分家とも言える「オリオン・ザ・ハンター」のヴォーカルだったフラン・コスモという構図。
何とも本家と分家間でヴォーカルをトレードしたような面白い展開でした。
ということで、さすがは同じ一門の下で歌うヴォーカルでの交代により、バンドとしての音楽性には全くの違和感を感じさせずスムーズにアジャストできていますね。
初めて外された「No Synthesizers Used」のクレジット
BOSTON と言えば奇才トム・ショルツの拘りとしてデビュー作から記された「No Computers」「No Synthesizers Used」のクレジットが有名ですが、本作4枚目のアルバムでは初めて「No Synthesizers Used」が外されました。
私のような単細胞人間にはシンセが使用されていてもいなくても、正直全くわかりませんが…。
(ふ~ん、そうなんだ…というつまらないリアクションしかとれません…)
でも、自分の思い通りのサウンドを追求して「ロックマン」のようなエフェクトブランドを自ら開発して作っちゃう位のトム・ショルツですから、意外とこれからは「ボカロ」に目覚めちゃったりとか…。
(100%無いですね…)
メンバー・収録曲
バンドメンバー
- ヴォーカル: フラン・コスモ
- ギター : トム・ショルツ
- ギター : ゲイリー・ピル
- ベース : デヴィッド・サイクス
- ドラムス : ダグ・ハフマン
収録曲
- I Need Your Love
- Surrender to Me
- Livin’ for You
- Walk On Medley- Walkin’ at Night
- Walk On Medley- Walk On
- Walk On Medley- Get Organ-ized
- Walk On Medley- Walk On (Some More)
- What’s Your Name
- Magdalene
- We Can Make It
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I Need Your Love
デビュー作から続く「オープニング楽曲」への期待感。
それは「ASIA」の新譜を初めて聴く時と同じドキドキ、ワクワク感ですね。
本作でもやってくれましたぁ~の万歳三唱楽曲でアルバムは幕を開けます。
もう既にイントロのメロディとギターのトーンを聴いただけで、往年のファンであればそれと解るBOSTONサウンド。
超ウルトラ・ドレミファ・ドン状態ですね(解る人だけ…)
さすが分家で喉を鍛えてきたフラン・コスモだけあって、本家昇格の勢いに乗り持ち前の清涼感あるハイトーン・ヴォイスに更に磨きをかけた突き抜け感がありますね。
あくまで個人的な好みの問題ですが往年のブラッド・デルプ派からすると、ややまろやかさに欠ける刺々しい印象ではありますが…。
奇才による執念のレコーディングの成果は、この一曲だけ聴いただけでもその鬼のような音の積み重ね具合が解るまさに異次元空間サウンドです。
Surrender to Me
BOSTONにしてはなかなかのハードリフで始まる楽曲。
自称「軟弱メロハー愛好会会長」の私にとっては、日頃から産業ロック、AORと揶揄してくる輩(そんな人はいないのですが…単なる被害妄想…)に対して、「どうだ、参ったか」と胸を張って言ってやりたくなる楽曲です。
序盤のシンプルな展開は「KISS」辺りを想起させますが、サビメロではしっかりと分厚いハーモニーが印象的に挿入され、ギターソロでは十八番のスペーシーサウンドが駆け巡ります。
Livin’ for You
と、虚勢を張ってみたものの続く3曲目は至宝のAOR楽曲というオチ。
しかし、これが凄い、凄過ぎる超名曲なんざんす!。
美しくも切ないメロディ、この曲のイントロでシンセを使ったのですね~納得です。
そして圧巻はやはりギターソロ。
体験したことはありませんが、無重力空間で浮かびながら心地良く聴いてみたくなるような心癒される感動のメロディです。
これは文句なしの本作最高楽曲。
前作では終盤に大トロの名曲が3連発されましたが、本作では先行逃げ切り型のレース展開。
この冒頭3曲で完全に勝負あり~続くメドレー楽曲で新境地への挑戦という感じの構成です。
続く4曲目以降のアルバム中盤に配置されている「WALK ON MEDLEY」は、自身も含めプロレスファンにとっては7曲目の「WALK ON(some more)」がお気に入りという貴兄も多いのではと思います。
まとめ
オリンピックやサッカーW杯で言えば、2大会ぶりとなる8年周期でのアルバムリリースとなったBOSTONの4枚目アルバム 「WALK ON」。
いやいや、ショルツさん、アスリートならへたすると選手生命が終わっちゃいますよ!と言いたくなるところですが、考えてみれば音楽シーンとて同じこと。
せっせとアルバム作っている間にシーンの潮流は変わってしまうかも知れないというリスクを孕んでいますね。
それでも、8年という歳月のブランクを何らものともせずに、当たり前のようにファンの琴線に深く食い込んでくる極上の楽曲を作り上げ、マーケットでの成功を収めてしまうBOSTON。
やはり異次元のバンドです…。
BOSTON のアルバム一覧(ディスコグラフィ)は下記の記事からどうぞ。