Iron Savior / Iron Savior(1st)レビュー
カイ・ハンセンの旧友ピート・シルク率いる王道ジャーマンメタルバンド
ハロウィン~ガンマ・レイのカイ・ハンセンの参加で話題を集めた、ジャーマンメタルの王道サウンドを直球勝負で貫くアイアン・セイバーの1997年リリースのデビューアルバム。
カイ・ハンセンのネームバリューに隠れがちですが、バンドの創始者はカイの旧友のピート・シルク。
プロデューサーやエンジニアとしての顔も持つこのスキンヘッド男の、漢臭いヴォーカルとコテコテのジャーマンメタルの音楽性は、ハマる人には悶絶物の作品です。
今でこそ、ベテラン勢も仲良く髪が薄くなりスキンヘッドも大分増えてきましたが、当時はまだスキンヘッド = ”渋い” という所までの世間的な許容応力はなく、実力はあるのにルックス的なハンデで今一つ人気が出なかったバンドのように思います。
というか、当時のピート・シルクは完全にスキンヘッドでなく、いわゆる短髪のハゲ状態だったのでいまいち中途半端...。
カイ・ハンセンのおでこの広さも当時から揶揄されていましたが、それ以上に「後退」していたピート・シルクはもっと早く全部剃った方が良かったのだと思います。(どうでもいいか…)
畳みかける疾走チューンに悶絶必至の名盤
肝心のアルバムの内容、楽曲ですが、こちらは非の打ちどころのないジャーマンメタルファンが期待する要素が全て完璧に揃えられた素晴らしい内容となっています。
プロレスで言えば、アントニオ猪木がジャーマンスープレックスをあの芸術的なブリッジで決めたようなものです。
特に、オープニングから4曲目までの怒涛の疾走チューンは圧巻!。
エッジの効きまくった切れ味鋭いリフ、漢臭さ満載のパワフルなボーカル、タイトそしてクールに淡々と刻み続けるドラミング、キャッチーかつメロディアスなサビメロ...。
パワーメタルと言いつつ、いざ聴いてみるとシンフォニック系のキラキラ音楽会の場合が意外と多いんだよな~。
と、お嘆きの貴兄には、辛口の本格派、菊正宗ともいうべき、アイアン・セイバーが絶対におすすめです。
パワフル&アグレッシブなピート・シルクのボーカルは、ともすると一本調子でアルバムの終盤には多少の「飽き」も生じてきますが、何よりも前半で稼いだアドバンテージ評価はあまりに大きく、アルバム全体の評価を決定付けているといえるでしょう。
メンバー・収録曲
【メンバー】
- ヴォーカル: ピート・シルク(兼ギター)
- ギター : カイ・ハンセン
- ベース : ディルク・シュレヒター
- ドラム : トーメン・スタッシュ
【収録曲】
- The Arrival
- Atlantis Falling
- Brave New Wold
- Iron Savior
- Riding on Fire
- Break it Up
- Assailant
- Children of the Wasteland
- Protect the Law
- Watcher in the Sky
- For the World
- This Flight Tonight
おすすめ楽曲
Atlantis Falling
Brave New World
Iron Savior
まとめ
申し分のないテクニックと、パワー感、メロディアス性に富んだ完成度の高い粒揃いの楽曲を有しながら、今一つ(二つ?)過小評価、人気の出なかったアイアン・セイバー。
ジャーマンパワーメタルの本筋を極めるかのようなデビューアルバムは、非常に解りやすいコテコテの作品です。
もしもピート・シルクに髪の毛があったなら…などと無いものねだりしても始まりません。
神様はちゃんと彼にパワフルなヴォーカルとセンスあふれるメロディメイカーとしての才能を天賦しているのですから。
惜しまれつつも潔く引退した阪神 藤川球児の火の玉ストレートのような「漢メタル」アイアン・セイバー。
その心地よさを体感したい時は、迷わずセレクトしたい名盤です。