Helloween / Master of the rings 迷走からの復活名盤

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Helloween / Master of the rings レビュー

1994年リリースのハロウィン6枚目のフルアルバム。

1988年リリースの伝説の3枚目アルバム「守護神伝・第2章」で、ジャーマン メロディアス スピードメタルの頂点を極めたハロウィン。

まさにこれから黄金期、長期政権の到来か?と思われた矢先の翌年に、創始者メンバーであるカイ・ハンセンが突然の脱退!。

これには、さすがにおったまげました~。

そこから全ての歯車が狂いだしバンド内の不協和音は増幅され、やがてヴォーカルのマイケル・キスクもバンドを去ることになります。

その後リリースされた2枚(4枚目、5枚目)の作品は「おいおいどこ目指してんだよ?」状態で、個人的にはちょっとついていけないものになってしまいました。

そして本作6枚目。

前2作で精神的にも経済的にも大きなダメージを被ったので、購入するか否かは相当迷いましたが、一縷の望みに期待してCDの購入に踏み切りました。

どうせまた、やたらに複雑怪奇な楽曲構成?、暗中模索のダーク化?、突っ走るだけで内容の無いスピード化?とかしちゃってんだろうなと、聴く前からイジケ気味でCDを再生すること2分あまり。

「おかえりなさいませ、ハロウィン様!」

まるでメイド喫茶のメイドのように思わず大声で叫びたくなる衝動をぐっとこらえることになろうとは!。

きてます、きてます。

やっと戻ってきてくれました。

かつてのメロディアスでキャッチーでパワー溢れる彼らの「音」が。

オープニングのインスト曲からの2曲目「ソウル・サバイバー」のイントロを聴いている途中で、全身の毛が逆立ち鳥肌が立ちました。

これだ、そう、ハロウィンはこうでなくてはいけない。

だいぶ寄り道というか迷子になっていたけど、ようやく自分の波長の届く所に戻ってきてくれたハロウィンが、見事な復活の狼煙を上げた衝撃作です!。

日本盤のみにボーナストラックとしてラスト2曲のおまけつきとかやってくれますねー。

おこがましい言い方ですが、「俺たち日本のファンがが育てた」ハロウィンが帰ってきてくれて本当に良かった!。

 

メンバー・収録曲

【メンバー】

  • ヴォーカル: アンディ・デリス
  • ギター  : マイケル・ヴァイカート
  • ギター  : ローランド・グラポウ
  • ベース  : マーカス・グロスコフ
  • ドラムス : ウリ・カッシュ

 

【収録曲】

  1. Irritation – 1:15
  2. Sole survivor – 4:31
  3. Where the rain grows – 4:44
  4. Why? – 4:08
  5. Mr. ego – 7:02
  6. Perfect gentleman – 3:51
  7. The game is on – 4:38
  8. Secret alibi – 5:48
  9. Take me home – 4:25
  10. In the middle of a heartbeat – 4:29
  11. Still we go – 5:10
  12. Can’t fight your desire – 3:43
  13. Grapowski’s malmsuite – 6:33

 

おすすめの楽曲

Sole survivor

凄い、凄すぎる。

何が凄いってこのドラムは異常です。

スピードメタル系にありがちなただ単に速いだけのドコドコドラムではない。

何と表現すれば良いのか、1音1音をしっかりと叩き込みなおかつ速い、そして尋常じゃない音数(手数)の多さ。

メインの基本リズム以外の味付けおかずが多いドラミングが、自分のドラム琴線(?)を思い切り刺激してきます。

かつてラウドネスの樋口氏も熱く語っていました。

「スネアは手首のスナップで胡麻化しちゃダメだよ、腕全体で叩くんだよ」

まさにそんな感じでビシビシ脳天に響いてくるドラミング。

マイケル・ジャクソンのドラマー ジョナサン・モフェットが良いお手本ですねー)

ドラム話で盛り上がり過ぎてしまいましたが、新加入のヴォーカル アンディ・デリスも very good!です。

はっきり言ってピンク クリーム 69という「バンド名」だけで拒絶反応を起こし、いまだにその曲を1曲も聴いたことは無い私ですが、思わず「役者やの~」と声をかけたくなるくらいにハロウィンの楽曲にフィットしています。

遅ればせながら食わず嫌いを改めて、今からピンクなんちゃらのアルバムも聴いてみようと思います。

個人的には超絶ハイトーンのキスク御大よりも骨太感のある声質で、どちらかと言えばこちらの方が好みです。

そして、以上はあくまでパーツの話でしかなく、とにかく楽曲自体が良いのがこのアルバム最大のポイント。

メロディセンス、独特のコミカルなリズム、印象的でキャッチーなサビメロ、確実にハロウィン歴代曲の中でも屈指の名曲であることに誰も異論はないと思います。

 

Where the rain grows

続く3曲目もハロウィン全盛期を思いださせる「これぞハロウィン」的なメロディアス&スピーディな楽曲で畳みかけてきます。

トリッキーなイントロフレーズからのドラマティックな展開、壮大なスケール感をイメージさせる編曲技法はもはや職人芸の域と言っても良いでしょう。

彼らの分かりやすいメロディラインは、つくづく日本人ウケする言わば歌謡曲的な要素が潜在的にあるのだと思います。

本曲ではギターソロもかなり力のこもった構成になっています。

ギターソロ部分のみを聴いただけでも「ハロウィン?」と当てられてしまいそうなほどに、そのスタイルは頑固一徹。

でもこれこそが俺たちが待ち望んでいたハロウィンなのだ!。

 

Secret alibi

出ました!。
Dr. steinの後継者とも言うべきナンバー。

そう、難しいことなんてしなくて良いんです。

リフなんかシンプルなのが一番格好良いんです。

期待値MAXのリフに続くスローなヴォーカルは「えっ、そうきちゃった?」的な展開で、正直ずっこけそうになりますが、そこはツボを知りつくしたヒットメイカーの彼らのこと。

心配無用でした。

しっかりと盛り上げながらサビメロまで持っていきます。

個人的にはサビメロがもう少し解りやすくて良かったら本当に Dr. steinを凌駕する楽曲になったのになーとチョッピリ残念ですが。

でも、Dr. steinを100点満点としたら十分及第点の85点位は余裕でつけられる名曲ですね。

しかしこのヴォーカルうまいなー、本当に感心しちゃいます。

ギターソロは抑えめで楽曲から浮くことなくいい感じで総合点アップに貢献しています。

 

まとめ

3作目にして頂点を極めるも、間もなくカイ・ハンセンとマイケル・キスクというバンドの双璧を相次いで失ったハロウィン。

その後の迷走ぶりには、もはや棺桶に片足を突っ込んでいるようにまで見えた状態から、起死回生のスマッシュヒットが放たれました。

元来持ち合わせていたメロディアス、コミカル、スピード感、キャッチーでお茶目なスタイルに、更に輪を掛けて追加された骨太ヴォーカルと超絶テクのドラムによる圧倒的なパワー感。

新たな鎧をまとって帰還した稀代のヒットメーカーが、再びヘヴィメタルシーンを席捲する臭いがプンプンしている作品です。

マイケル・ヴァイカートは本作のライナーノーツで、「ハロウィンの初志を思い起こし、壊れた昔のアンプを修理してレコーディングに臨んだ」と語っています。

「10年前に何を抱いてバンドを始めたのか思いだそうとした。」という言葉がこのアルバムの全てを表現しているように思います。

 

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