スティーブペリー(STEVE PERRY) / TRACES 四半世紀ぶりの復活作

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STEVE PERRY / TRACES レビュー

スティーブペリーを認知したのは初のソロアルバム

苦節40年以上洋楽、主にハードロックを聴き続けてきた中で、心を奪われたヴォーカリストが何人かいますが、間違いなくその一人に数えられるのが「スティーヴ・ペリー」です。

とか言いつつ、当ブログで何度か触れていますが、ひねくれた性格と喰わず嫌い症のため「JOURNEY」とのご縁があまり無いままに過ごしてしまった40年…。

さすがに全然聴いてこなかったということは無く、主要なアルバムも保有していましたが、他のお気に入りバンドのように「じっくりと腰を入れて聴き込む」というレベルではありませんでした。

そんな私がスティーヴ・ペリーの歌唱に憑りつかれてしまったのは、1984年リリースの初のソロアルバム「STREET TALK」のオープニング曲「OH SHERRIE」を聴いた時。(って、おせーよ!)

うひゃぁあああああ!

そうきましたかぁああああ!って感じで、まるでカウンターパンチをもろにチンにくらってしまったパンチドランカーのように意識朦朧、腰にきちゃった感じでしたね。

一体何なんだこの感覚は…。

とりわけ声質が清流のように澄んでいるわけでもなく(どちらかと言えばしゃがれてる…)、超絶ハイトーンというわけでもなく、とにかくその深い歌唱に吸い込まれていくような感覚…。

これほどまでに情感を込めて丁寧に歌い上げるロック・ヴォーカリストはそれまでに体験したことが無く不思議な感覚でした。

↓↓↓「OH SHERRIE」おすすめ名曲シリーズ記事はこちらからどうぞ↓↓↓

スティーブ・ペリー(STEVE PERRY) 【おすすめ名曲】 OH SHERRIE

 

スティーヴ・ペリーの四半世紀ぶりの復活名盤!

その後、1987年のツアー中にJOURNEYを脱退~7年後の1994年に2枚目のソロアルバム「FOR THE LOVE OF STRANGE MEDICINE」をリリース。

安定の境地、上質ハードロックであることに全くの異論はありませんでしたが、正直言って「元JOURNEYのスティーヴ・ペリー」の域は脱していなかったように思います。

その後、1996年にはJOURNEYの再結成にも参加しますが持病の悪化により1998年に無念の脱退~その後は目立った音沙汰無しの状態が続いていました。

そして、2018年10月に再びシーンを驚かせたのが本作3枚目ソロアルバム「TRACES」のリリースでした。

スティーヴ・ペリーは1949年生まれですから、何とこの時69歳!。

クリエイティブなモチベーションを取り戻したスティーヴ・ペリーが、自身の音楽に対する愛を再発見し、過去の痕跡(TRACES)を辿りつつも未来への希望も含ませた胸の内が楽曲に表現されています。

いやぁ~、およそ四半世紀ぶりという浦島太郎状態でありながら、この作品がまた物凄いチャートアクションを起こしてしまい、シーンはてんやわんやでしたね~(って結構適当に書いてますが…)。

いずれにせよ、スティーヴ・ペリーの歌唱に惚れ込んでいるファンの多さを物語っていますよね。

本作で体感できるのは、まさに円熟の境地に達したスティーヴ・ペリーの歌唱。

渋く、深く、圧倒的な表現力で、巨人のような存在感を示しています。

 

収録曲

  1. No Erasin’ -4:07
  2. We’re Still Here -4:06
  3. Most of All -4:21
  4. No More Cryin’ -4:28
  5. In the Rain -4:07
  6. Sun Shines Gray -3:55
  7. You Belong to Me -4:05
  8. Easy to Love -4:02
  9. I Need You -2:58
  10. We Fly -3:56

 

おすすめ楽曲

 

No Erasin’

オープニングを飾るいきなりの本作最高楽曲。

過去のソロ作もオープニング曲の破壊力はずば抜けていましたが本作もまた然りです。

2012年に失った愛する人への想い、生きていく上で自らの成すべき事、これまでの軌跡を消去することなく再び新たな道を歩む決意、燃える魂が、優しい歌声ながら力強く表現された楽曲ですね。

最初のAメロを聴いただけて背筋が寒くなるような「あの感覚」が四半世紀ぶりに襲ってきましたぁあああ!。

一切の小細工無し、ひたすら丁寧に心を込めて歌い上げるスティーヴ・ペリーの至高のヴォーカルスタイルは不変です。

 

We’re Still Here

続く2曲目は老練なパティシエによる素材の味を知りつくした極上スィーツのような甘いバラード曲。

MVではハリウッドの夜街を行き交う人々の様子を、スティーヴ・ペリー自身が運転する車の車窓から眺めながらゆったりと流していくという描写。

たまに運転していると、信号待ちで隣に並んだ車の中で思いっきりノリノリで熱唱している危ないおっさんを目撃したりしますが、スティーヴ・ペリーならそれも許されますね…。

街ゆく若者達と同様に自身の歩んできた軌跡を回想し、変わっていない親密さとこれから未来に向かってどう生きていくべきなのかを模索しているように思います。

 

No More Cryin’

アルバム4曲目に収録のブルージーな楽曲。

ブルージーでも一音一語を大切に懇切丁寧に歌い上げる姿勢は変わりません。

歌い回しで格好つけて誤魔化しの雰囲気作るヴォーカリストは一杯いますが、スティーヴ・ペリーは絶対に正攻法で攻めますよね~。

相撲の立ち合いで言えば「絶対に変化しない」で当たりにいくまさに横綱相撲。

ロック界ヴォーカリストの大横綱としての品格を感じます。

 

Sun Shines Gray

アルバム6曲目に収録の王道ハードロック楽曲。

比較的スローテンポの情感たっぷりのねっとり楽曲が続いたので、お口直しの味変楽曲という位置付けでしょうか。

最早この手の楽曲は目を瞑ってでも歌いこなせる(普通か…)、手放し自動運転の境地。

爽快感を感じる曲調ながらも、「灰色に輝く太陽」という描写は愛する人を失った悲しみを表現するにはあまりに深すぎます…。

 

まとめ

約四半世紀という長い期間シーンの表舞台から姿を消していたスティーヴ・ペリー。

自身の過去の軌跡と未来を見据えた心境、愛する人への想いを綴った復活の3枚目ソロアルバム。

世界一と言っても過言ではない一音一語を大切に歌い上げる魂のヴォーカルスタイルは、69歳となった当時でも全く変わることはありませんでした。

持病との闘病生活、愛する人を失った悲しみを乗り越え、奇跡の復活を果たしたハードロック界の至宝の歌声が聴ける超名盤です。

本作は、リリース翌年の2019年には新たに5曲を追加収録した「デラックス盤」、更には2020年に「Alternate Versions and Sketches」と題してサウンド・プロダクションを排除したさらに磨き上げたヴァージョンもリリースされていますので、聴き比べてみるのも面白いと思います。

 

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