EUROPE 【北欧メタルの歴史的名盤】The Final Countdown

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EUROPE / The Final Countdown レビュー

北欧メタルの先駆者がメジャーBIGバンドの地位を掴んだ成功作

1986年リリースのEUROPE 3枚目のアルバム「The Final Countdown」。

1983年に北欧メタルの先駆者として欧州正統派、叙情的様式美を見事に具現化したデビューアルバム「幻想交響詩」でシーンに登場したスウェーデン出身のEUROPE。

そして早くも2枚目「明日への翼」にてそのポテンシャルを一気に開花させ、メロディアス&ドラマティックな北欧メタルの「型」「お手本」をHR/HM界に提示しました。

個人的には前作2枚目「WINGS OF TOMORROW(放題:明日への翼)」をバンド史上の最高傑作に位置付けておりますが、その「北欧メタルの先駆者」という称号などでは飽き足らずに世界に討って出たのが本作3枚目「The Final Countdown」。

マーケットでのセールスという面では本作3枚目が圧倒的にバンド史上最大の成功作であることは明らかであり、世界的なメジャーBIGバンドの地位を掴んだ成功作となったアルバムですね。

もはやバンドの象徴的楽曲となったオープニングのタイトル曲は世界27か国でチャート№1を記録するなど、HR/HMファンならずとも自然に耳にする機会も多かったことでしょう。

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EUROPE 【おすすめ名盤】1st(幻想交響詩) 北欧メロディアスの先駆者

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Europe 【最高傑作】 Wings of Tomorrow(明日への翼)

 

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BON JOVI と共にHR/HM全盛期を牽引した歴史的名盤

1986年と言えば、時を同じくして BON JOVI の3枚目アルバム「Slippery When Wet」がリリースされるなど、HR/HM界にとってはまさに全盛期、最高潮を極めた盛り上がりに湧いた時期。

欧州勢として EUROPE 、米国勢の BON JOVI がそれぞれ3枚目のアルバムで世界のマーケットを席捲し、メジャーBIGバンドとしてその地位をがっちりと掴み取りHR/HM界の全盛期を牽引しました。

いずれのアルバムも、万人受けするキャッチーでメロディアスな楽曲が詰め込まれ、従来のHR/HMファンだけでなく新たなファン層の裾野を大きく広げた功績は図り知れないものがありますね。

特に両バンドともにフロントマンであるヴォーカリストのルックス的にも多くの女性ファンのハートを射貫いたのではないでしょうか。

 

HR/HM界あるある「大成功後のメンバーチェンジ」

本作の制作にあたって EUROPE のバンドメンバー構成は、ドラムスがイアン・ホーグランドに交代、専任のキーボードとしてミック・ミカエリが新たに加入しての5人編成となりました。

象徴的楽曲となったオープニングのタイトル曲をはじめ、多くの楽曲にはキーボードの音色が耳に残る楽曲作りがなされ、何よりもメロディラインがキャッチーで親しみやすいものとなっているのが大ヒットとなった所以と言えます。

しかしながら、裏を返せば冒頭に記した EUROPE というバンドが歩んできたこれまでの音楽性=北欧メタルとしての湿り気を帯びた叙情性と様式美の世界観からは距離を置く方向に転じたものでした。

HR/HMという音楽ジャンルが持つ悲しい性なのでしょうか、「成功を掴むとその後メンバーチェンジが起こりバンドが迷走していく」というあるある現象にこれまで何度も直面してきましたが、ご多分に漏れず EUROPE でもこのあるあるが発動してしまいます。

デビュー作から正統派としての威厳を誇りとして硬派なギタープレイを披露してきたジョン・ノーラムが本作を最後にまさかの脱退…。

ショック…というか激震でしたね…。

素人ファン目線では、確かにキャッチー路線に大きく舵を切ってはいるものの、各楽曲に対して何ら違和感なく叙情的なソロフレーズを融合させている完成度の高いギタープレイを聴かせてくれていただけに「何故なんだ…」という想いしかありませんでした…。

ジョン・ノーラムに限らず、アーティストという自身の技術と才能で勝負する人達の思考回路と見据える視線は凡人には計り知れないと改めて思い知らされました…。

 

メンバー・収録曲

バンドメンバー

  • ヴォーカル: ジョーイ・テンペスト
  • ギター  : ジョン・ノーラム
  • ベース  : ジョン・レヴィン
  • ドラムス : イアン・ホーグランド
  • キーボード: ミック・ミカエリ

 

収録曲

  1.  The Final Countdown
  2.  Rock The Night
  3.  Carrie
  4.  Danger On The Track
  5.  Ninja
  6.  Cherokee
  7.  Time Has Come
  8.  Heart Of Stone
  9.  On The Loose
  10.  Love Chaser

 

おすすめ楽曲

The Final Countdown

今さらああだこうだとレビューするまでもない、HR/HMファンである人もそうでない人も一度聴いたら脳に深く刻まれてしまうイントロのキーボードが全てですね。

強烈なインパクトが残るキーボードイントロ曲としてよく引き合いに出されるのが VAN HALEN の「JUMP」ですかね。

個人的には MSG の「ON and ON」、OZZYの「Mr.Crowley」が最強と位置付けてますが…。

そして、スローに近いリズムでゆったりと、やや単調な歌詞を気持ち良さげに歌っているジョーイ・テンペストの歌唱は、なんだか民謡でも聴いているような感覚になっちゃいますね。

周囲を雪に囲まれた露天風呂につかりながら気持ち良さげに歌っているような感じ…。

HR/HMファン以外の方にはそれらだけでも十分なのでしょうが、コアなファン層を納得させ楽曲に起伏をもたらしているのがジョン・ノーラムのギタープレイ。

申し訳程度の扱いで奥に引っ込まされていたバッキングプレイでの鬱憤を晴らすかのように、ソロでは最初から速弾きフレーズでかましていますね。

最後の一音をあえて弾かずに余韻として残すノーラム節も健在のようです。

 

Carrie

そりゃぁ勿論、売れなきゃ食っていけないし、キャリアを重ねる毎に楽曲も垢ぬけて洗練されたものへと進化していって当然。

この曲に対して「売れ線狙い」だとかいちゃもんつけちゃぁバチが当たりそうな位に、北欧感も豊か、美しいメロディと歌唱に心が安らぎます。

とは言え、こんな悟りの境地のような心境に落ち着いたのは歳を重ねて最近になってから。

正直に言えばバラードあるあるで、当時は当然のように飛ばして聴いておりましたことを白状いたします…。

 

Ninja

Ninja survive~♪って陽気に歌われると何だか恥ずかしくなっちゃって赤面しちゃいます……。

当時はふざけてマネする仲間連中には決して言えなかったのですが、実はこの曲結構好きなんですよねぇ~。

気の抜けた炭酸飲料のようなイントロに喝を入れるかのような短いソロが嫌がおうにも楽曲への期待度を高めますね~。

すっとボケたサビメロはある意味コテコテですが、「忍者」というwordさえ意識しなければ十分に格好良いハードロック楽曲だと思います。

特にギターソロでは格好良いソロフレーズのお手本的なプレイが炸裂!。

さほど難しいことはやっていないので、ギターキッズのやる気を削ぐことなくその気にさせてくれる優しさに満ち溢れた名ソロです。

「忍者」ってどうしても手裏剣や忍法のイメージが強いですが、基本任務は諜報活動でしたよね。

現在でいうところのスパイですから、Ninja survive~♪って直訳としてもまあそれはそれで正しいんですよね。

ましてやこの楽曲で使用されている「忍者」という言葉は、もっと抽象的な意味合いを持たせた感じで使われているようで、伝説的な戦士、強靭で神秘的な戦士といった「心の支えとなるような存在」を総称して「忍者」と表現しています。

 

Heart of Stone

ここで登場するのがシンプルさに味がある渋いミドルチューンです。

やっぱりハードロックはこうでないとというお手本的楽曲ですね。

なんやかんやととっちらかさずに地に足付けた素朴な作りの楽曲ほど心にストレートに響いてくるから不思議です。

個人的には「Ninja」と並ぶ本作最高楽曲候補です。

EUROPEの十八番とも言える哀愁の歌メロが聴く者の涙腺を刺激してきます。

そして圧巻はやはりギターソロ。

いやぁ~、ジョン・ノーラム最高っす。

この曲とソロが大好き過ぎていったい何回聴いたか訳わからない位です…。

フロントピックアップのピロピロトーンでのタメを効かせたカッティングが渋すぎますね~。

そして中盤以降は一転して大号泣フレーズが迎え撃つ感じですね。

この展開、フレーズに滅法弱い私、弾いてる自分に惚れちゃいます…。

 

まとめ

来日が決定し久しぶりにCDを引っ張り出してきて改めて聴いてみると、やっぱり凄いアルバムでした。

 

当時は甘ったる過ぎて聴き飛ばしていたバラード曲なんかも、大人になった今落ち着いて聴いてみるとメロディの美しさ、楽曲作りの上手さを噛みしめることができますね。

そして、当時と全く変わらないのはジョン・ノーラムというギタリストへの畏敬の念。

決してテクひけらかしだったり無駄な自己満速弾きに走らずに、あくまでも楽曲との融和を優先しながらキメのフレーズをかましてソロを構築してくるその手腕はホントに凄いと再認識しました。

 

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