TOTO / Ⅳ(聖なる剣) レビュー
バンドの代表曲がつまった最高傑作
1982年リリースのTOTOの4枚目のアルバム「Ⅳ(邦題:聖なる剣)」。
TOTOについては、既にこのブログでもデビューアルバムをレビューさせて頂いてますが、今回はバンド最高傑作とされる「聖なる剣」についてレビューいたします。
↓↓↓デビューアルバムのレビューは下記記事をご覧ください↓↓↓
TOTOのアルバムには、ハードロック色の強い名盤の2nd「Hydra」、そして個人的には好きでしたが何故かセールスが振るわなかった3rd「Turn Back」など、他にも名盤が一杯ありますので、順を追ってレビューしていければと思います。
ということで、グラミー賞も制してしまったお化けアルバムの本作。
オープニングの名曲「Rosanna」をはじめ、ラストを飾る代表曲「Africa」まで、上質極まりない楽曲がつまった名盤中の名盤ですね。
メンバーのキャリアとしても脂の乗り切ったまさに絶頂期に、その音楽的才能と演奏テクニックが余すところなくアルバムに注入された仕上がりとなっています。
スタジオ盤はもちろんライブも最高のバンド
それにしても、1982年リリースですから現在から40年も前の作品でありながら、この洗練されたサウンド、構成の練られた楽曲の完成度、ジャズ、フュージョンといった多様な音楽性の要素も味わえる充実感はお見事!。
TOTOは元々がスタジオミュージシャンの集まりなので、その技術的な面だけに注目されがちですが、ライブでのパフォーマンスにも定評がありますね。
当時TOTO大好き友人に誘われて軽い気持ちでふら~っとついて行った武道館ライブ。
凄過ぎてぶっ飛びましたねぇ~。
スティーヴ・ルカサーのギターはハードに歪みまくり、スティーヴ・ポーカロのキーボードの爆音と音圧は凄まじく、それらを涼しい顔で8ビート、16ビートと刻み分けながらコントロールしてる「猛獣使い」のジェフ・ポーカロ。
さすがはプロフェッショナル集団。
バンドとしての格の違いを肌で感じた一生忘れられないライブ体験となりました。
TOTOを語る上でよく言われる「産業ロック」だとか「AORポップス」などと嘲笑する人々は、ライブを体感してないのかなぁ~といつも思います。
ジャンルとかカテゴリーとかホントどうでも良いですけど、私の中ではTOTOは完全にハードロックバンドって感じです。
メンバー・収録曲
バンドメンバー
- ヴォーカル: ボビー・キンボール
- ギター : スティーヴ・ルカサー
- ベース : デヴィッド・ハンゲイト
- キーボード: デヴィッド・ペイチ
- キーボード: スティーヴ・ポーカロ
- ドラムス : ジェフ・ポーカロ
- 他、ゲストミュージシャン多数…
収録曲
- Rosanna – 5:31
- Make Believe – 3:45
- I Won’t Hold You Back – 4:56
- Good for You – 3:20
- It’s a Feeling – 3:08
- Afraid of Love – 3:51
- Lovers in the Night – 4:26
- We Made It – 3:58
- Waiting for Your Love – 4:13
- Africa – 4:57
おすすめ楽曲
Rosanna
折角ですので、こちらの技巧派コピーバンドの動画も貼っておきます「Lexington Lab Band」。
彼らについては、BOSTONのレビュー記事で触れさせてもらっていますので、ご興味のある方はどうぞ。
それにしても、この曲は聴くたびに緊張感で肩が凝ってしまいます。
どうしても聴き入っちゃうんですよね~。
とてもじゃありませんが、サラッと流しては聴けない…。
特にドラムを中心とした各パートが何気なくもビシビシにキメてくる絶妙の「間」は圧巻です。
私はドラマーではありませんが、本曲のジェフ・ポーカロの16ビートシャッフルは、何だかこれが出来たら一人前的な、そんなドラマーにとっての関所、通行手形のような楽曲のような気がしてなりません。
速いだけのズンドコドラマーは爪の垢でも煎じて….。
そしてスティーヴ・ルカサーのギターソロ。
こちらもなにやらロックとは異なる世界のフレーズを無理やり強引にアレンジした感じで難解です。
しかも、それらが全部嫌味になってなくて、普通にサラッと聴かせちゃってるのが凄過ぎますね。
まさに、プロフェッショナル。
Afraid of Love
スタジオ盤ではミディアムテンポの大人し目のロック程度に聴こえますが、ライブでは疾走感とともにハードにプレイされるドラマティックなハードロック曲。
スティーヴ・スカサーの歪みを効かせたギターリフ、そしてサビメロでの美しいコーラスが印象的です。
あくまでもロックの基本ベースに則って作られている楽曲ですが、超技巧派プロ集団がアレンジするとこんなの出来ちゃいました的な、余裕の産物のように感じますね。
Lovers in the Night
前曲からのメドレー的な展開はライブでも再現され、TOTOにしては比較的アグレッシブな楽曲が続くので聴いているこちらも非常に盛り上がりますね。
この曲も前曲と同様にライブではアップテンポで疾走していきますので、よりスリリングでノリが良くドラマティックなハードロックと言えるでしょう。
Africa
こちらの本格的コピーバンドの先生方もなかなか良い味だしてますのでご参考までに。
「THE HINDLEY STREET COUNTRY CLUB(HSCC)」。
デヴィッド・ペイチによって「それ程気合いもいれず、何となく作られた曲」と、何かのインタビューで言っていましたが、そんな曲が蓋を開けてみれば本作一番のセールスとなることに…。
マーケットで評価されて売れまくると何かしらケチを付けたがる輩がいるようで、本曲も「売れ線狙い」だとか色々言われていますが、普通に凄い名曲だと思います。
もはやジャンルなど超越したシンプルに「良い音楽」ですね。
聴いてて心が豊かになれます。
特に圧巻のサビに突入する場面では、目の前の視界がパッと開けて眩しい光が差し込んでくるような爽快感が味わえますね。
ハイトーンでのハーモニーも美しくあまりに切ないメロディライン。
聴くことで心静かに落ち着ける、極上のサプリメントのような楽曲です。
まとめ
今から40年以上前の1982年リリースのTOTOの最高傑作「聖なる剣」。
BOSTON、ASIAといった同じようにお化けヒット作品を生み出したバンドと共通するのは、楽曲の完成度と解りやすさ、プロフェッショナルな細部への拘り、美しいヴォーカルハーモニーといったところでしょうか。
いずれも何十年が経過しようが全く色褪せることを知らず、聴くたびにしみじみ「良い音楽」であることを実感できる幸福感を味わえる作品です。
2大メガヒット曲であるオープニングの「Rosanna」とエンディングの「Africa」のような、洗練度MAXの上質ポップス曲だけに注目が集まりがちですが、個人的にはTOTOの魅力はやはりスティーヴ・ルカサーのハードなギターを軸としたハードロック感にあると思っています。
そしてしつこいようですが、ライブでのそのギタープレイは圧巻なのです。