DOKKEN / Tooth And Nail レビュー
人生初バイトで買ったLPレコード
1984年にリリースされたドッケンの2枚目のアルバム「TOOTH AND NAIL」。
80年代LAメタルの代表格として括られがちなドッケンですが、私の中では一般的なLAメタルバンドとは明確に一線を隔します。
「正統派」で「叙情的」そして「テクニカル」な「本格派のヘヴィメタルバンド」って感じでしょうか。
このアルバムは、忘れもしない当時人生初のアルバイトをして最初にもらった給料で、さっそく帰り道のレコード屋で買ったLPレコードです。
初給料で気持ちが大きくなって、これまた人生初のLP同時2枚買いしちゃいましたねぇ~!。
いやぁ嬉しかったなあ~。
(因みに、その時に一緒に買ったレコードは、LOUDNESSのTHUNDER IN THE EAST)
当時、ドッケンについて持ち合わせていた情報といえば、バンド仲間と入り浸っていた喫茶店で流れる有線放送で「Into the Fire」を聴いていた程度。
「ジョージ・リンチという凄腕テクニシャンのギタリストのトリッキーなプレイが注目されている」程度の情報しかありませんでした。
でも、やたらと有線で流される「Into the Fire」の楽曲の良さからして、アルバムを買ってもまあハズレはないだろう位の「賭け」に踏み切った感じです。
期待を思い切り上回る衝撃の内容
家に帰って早速レコードに針を落とすといきなりの2分弱のギターインスト曲「Without Warning」。
一気に期待値のバーが上昇します。
RATTっぽい感じなんだろうなと思ってた矢先、続けざまの「Tooth And Nail」の衝撃のイントロが炸裂!。
安っぽいwordですが「衝撃的」でしたね~。
(これ以外に言葉が思い当たらないほどにホントに「衝撃的」)
こ、これは自分の知っている「LAメタル」バンドの範疇では収まりきらないぞと、頭の中がこんがらがって整理がつかないままにどんどんと曲は進行。
ギターソロにさしかかり、そのトリッキーかつテクニカルな速弾きをソロを初めて聴いた時の当時のギター小僧が受けた衝撃。
G馬場の32文ロケット砲を喰らった時のようなメガトン級の凄まじい破壊力でしたね。
(当然喰らったことないけど…)
凄い、凄過ぎる。
全身鳥肌の武者震い状態。
正直、「Into The Fire」のようなミディアムテンポの楽曲群が中心のアルバムなんだろうなと、ある程度覚悟していただけに、予想外のハード&アグレッシブさは嬉しい誤算。
これは何も知らされずに聴いていたら欧州勢のバンドだと思ってしまいそうな、本格的なヘヴィメタルバンドだと確信を持った瞬間でした。
続く3曲目や、シングル曲の「Into The Fire」、9曲目のバラード曲など、ドン・ドッケンの声質と歌唱スタイルには、ポップでソフトな曲調がマッチしている気もしますが。
本作の構成はあくまでもハード&アグレッシブさに拘った感じでGOODですね。
ドッケンといえば、ドン・ドッケンとジョージ・リンチの不仲説が有名ですね。
その手の話はどのバンドにもつきものであり、プロである以上は仕方のないところだと思います。
まあ、逆に言えば才能がかなり尖った強者同士ゆえに衝突が起きるわけで。
そこそこのレベルの仲良しクラブではここまでの緊張感溢れる作品は産み出せなかったとも言えるでしょう。
スコアチャート
メンバー・収録曲
【メンバー】
- ヴォーカル: ドン・ドッケン
- ギター : ジョージ・リンチ
- ベース : ジェフ・ピルソン
- ドラムス : ミック・ブラウン
【収録曲】
- Without Warning – 1:35
- Tooth And Nail – 3:39
- Just Got Lucky – 4:34
- Heartless Heart – 3:30
- Don’t Close Your Eyes – 4:10
- When Heaven Comes Down – 3:44
- Into The Fire – 4:26
- Bullets To Spare – 3:36
- Alone Again – 4:19
- Turn On The Action – 4:44
おすすめ楽曲
Tooth And Nail
アルバム2曲目のタイトル楽曲ということで、出し惜しみ無しのいきなりの出血大サービス。
その前に重要なポイントは、本曲の前1曲目として収められているギターインスト曲。
この序曲無くして本曲無しとも言える「The Hellion~Electric Eye」パターンですね。
因みに、1980年代リリース作品の中から本曲を含めた「インスト曲」をピックアップしてみた特集記事をご参考までに。
とにかく、ジョージ・リンチのギタープレイが圧巻の一言に尽きるスピードチューン。
特にギターソロではいきなりのタッピングから流麗なメロディ、そして速弾きへと目まぐるしく展開していく素晴らしい構成。
ここまでアグレッシブな曲調になると、正直言ってドン・ドッケンの甘く優しいトーンのヴォーカルでは多少物足りなさを感じてしまうのも事実です。
逆に言えばドン・ドッケンのヴォーカルはバラード調の「聴かせる」楽曲にはぴったりのソフトで優しい声質ですね。
Just Got Lucky
続く3曲目は一転してキャッチーな楽曲。
イントロのギターフレーズが最高に心地良いです。
爽快アメリカンハードロックの典型ともいえるシンプルな曲調で、この辺りは確かにLAメタル以外の何物でもないと言えるでしょう。
ジョージ・リンチのギターソロも、まるで他のLAメタルバンドとレベルを合わせてあげているかのよう。
イントロのフレーズをひたすら繰り返す非常にシンプルなソロとなっているのが可笑しくて思わず笑ってしまいます。
Into The Fire
シングルカットのヒット曲はいつ聴いても流石の完成度を誇っています。
ドラマティック性に富んだ曲構成。
連呼するシンプルで覚えやすいなサビメロ。
エッジの効いたギターサウンドと泣きメロのソロ。
完璧3つ星フルコースが味わえる楽曲ですね。
次作3枚目アルバム「UNDER LOCK AND KEY」で登場することになる「In My Dream」と甲乙つけがたい、DOKKEN史上屈指の名曲と言えるでしょう。
贅沢を言わせてもらえば、唯一残念なのがエンディングがフェイドアウトという点。
(これは個人的好みの問題ですね…)
Alone Again
バラード曲を歌わせたらドン・ドッケンに敵うヴォーカルは中々いないかも知れません。
その位に甘くてまろやかな声質を持ち、表現のできるヘヴィメタル・ヴォーカリストですね。
(それが仇となり、後年のチャリティープロジェクトの楽曲「Stars」では主催の大御所 R.J.DIOにダメ出しされていましたね…)
そしてこうしたバラード曲でも、しっかりと曲調に合ったギターソロを絡めてくるあたりがジョージ・リンチの憎いところです。
スーパーギタリストを擁しながら、万人受けするキャッチーな楽曲、そして極上のバラード曲をも繰り出せるという、最高に贅沢なヘヴィメタル・バンドであると言えます。
まとめ
デビューアルバムに比べれば、そのクオリティは格段に上がった本作。
ドッケンというバンドにとってもファンにとっても非常に重要なターニングポイントとなったと思います。
本作でも感じるのはドン・ドッケンとジョージ・リンチの2人の才能のぶつかり合い。
自らのテクニックを思う存分に具現化するために、よりハードな曲調に方向性を見出すジョージ・リンチ。
対して、これまた自らのヴォーカルスタイルで最大の優位性のあるソフト&バラード曲調を標榜するドン・ドッケン。
こんな激しいせめぎ合いみたいなものを想像してしまいます。
力のかけ具合によっては一瞬にして瓦解してしまいそうなギリギリの緊張感の中で、どうにか均衡を保ちつつ何とか作品として融合できた、そんな産みの苦しみのような感覚。
いずれにしても明確に言えることは、この2人の才能を擁したドッケンというバンドは「LAメタル」という安直な括りでは一からげにすることはできない、凄みと異彩を放っていたバンドであったということでしょう。