Night Ranger / Dawn Patrol レビュー
超絶テクニックのツインリードギター
超絶テクニックのツインリードギターと、楽曲によって歌い分けるツインヴォーカル。
大きな特徴を持った爽快アメリカン・ハードロックバンド NIGHT RANGER の1982年リリースの衝撃のデビューアルバム。
2枚看板のツインリードギターの一人ブラッド・ギルスは、スポット的ではありましたが、
オジー・オズボーンのギタリストを任された輝かしい実績を持ちアーミングを駆使したギタープレイが代名詞。
当時のギター小僧にとってそのアーミングにはおったまげましたね~。
それまでのアームとは「押し下げる」ものでしかなかった筈なのに、なんと「引っ張り上げちゃう」という暴挙にでているではないですか!。
当時はフロイド・ローズという画期的なアームシステムが世に出始めた頃のこと。
なので、そんなことは全く知らないギター小僧にとっては、何がどうなっているのかさっぱりわかりませんでした。
そして、どんなに乱暴なアーミングを繰り返してもチューニングが狂わないという。
これまた???だらけの現実を突きつけられて困惑しまくったのを覚えています。
当然、お金の無いギター小僧にとってフロイド・ローズ装着のギターなどは高嶺の花。
結局、現在に至るまで実際に触ってプレイをしたことすら無いままです。
まあ、金持ちの家の息子がこれ見よがしに早速使っていたことに対する嫉妬心が強すぎて…。
その後も頑なに触らなかった領域というのが正直なところですが(ひねくれ者)。
「チューニングは狂ってなんぼなんじゃ!」
という訳のわからぬこだわりで、一生懸命に面倒くさい弦交換をしていたのが懐かしいです。
そしてツインリードのもう一人は、ゴールドのレスポールを操るジェフ・ワトソン。
2作目アルバムのタイトル曲「ロック・イン・アメリカ」で左右8本の指を使ったタッピング奏法を披露。
一躍時の人となり、これまた超絶おったまげでしたね!。
それまでのライトハンド奏法の第一人者と言えば、当然エドワード・ヴァン・ヘイレンでしたが。
その奏法は右手の1本指でせいぜいチョンチョン突っつきながらというものでした。
しかし、ジェフ・ワトソンがやってのけた奏法は、右手の指4本をつかって計8本の指でハンマリングとプリングを繰り返すというもの。
その演奏する姿を初めて見た時には「怪しい指圧マッサージ師」にしか見えませんでしたね~。
そして、トリッキーなタッピング奏法以外ではどちらかと言えば「速弾き」を得意としたフレーズが多いのも特徴と言えるでしょう。
このように、全く異なるプレイスタイルのギタリストを2枚看板として擁したバンドはそれだけでも十分にファンの注目を集める存在となっていきます。
もう一つのバンドの特徴は2人のヴォーカリストがいるということですね。
ヴォーカル兼ベースのジャック・ブレイズと、ヴォーカル兼ドラムスのケリー・ケイギーです。
唐突ですが、NIGHT RANGER のライブステージのセットは「異常」です。
通常、ドラムは扇の要(野球に例えるならばキャッチャーのポジション)として、ステージ中央に鎮座するものですが。
NIGHT RANGER ではドラムはステージ右手の端に位置されます。
しかも、ドラムの向きはステージの中央を向いており、観客はドラムプレイを左横側面の方向から見ることになるのです。
ヴぇえええ!、何でえええ?、おまぬけえええ。
と驚きましたが、これはドラムのケリー・ケイギーが曲によってメイン・ヴォーカルを張っていることに由来しています。
ドラムを叩きながらヴォーカルをするということは、当然マイクに向かって歌わなければならず、そのマイクスタンドを設置できるのは左側のハイハットの横のみということなのでしょうか。
(上から吊り下げても良いようにも思いますが…。)
(いやいや、普通にヘッドフォンマイクでええやろ…。)
歌う時には常に左の方を向いて歌うことになるので、左を向いた時に顔の向きが観客の方向に向くようなポジショニングです。
ヴぇえええ!、そこまでやる必要あるううう?。
そんなに顔見せられてもぉぉぉ!。
と、思い切り突っ込みたくなりますが、バンド内の力関係なのか、何なのか良くわかりませんがとにかくチョッと(いやかなり)変則ですよね。
そして、もう一人(いやいや、こっちがメインだろ)のヴォーカルのジャック・ブレイズ。
どちらかと言えば小柄な身体で長いネックのベースを握りしめ、ステージ中央を仁王立ちして占拠。
前置きが大変長くなりましたが、肝心のアルバムの中身はどうなんじゃい!ということで。
「良いです。」
本当に「良いです」。
何が良いって。
曲が。
メロディセンスが。
情感こもったヴォーカルが。
テクニカル&ソロメロ抜群のギターが。
決して出しゃばらずとも必要不可欠な存在のキーボードが。
って、どこをとっても「良いです。」としか言いようがありません。
ハード過ぎずソフト過ぎない絶妙のバランス。
爽快かつ時に哀愁を帯びた万人ウケする受容性を持ったハードロックがこれでもかと琴線を刺激してきます。
メンバー・収録曲
【メンバー】
- ヴォーカル: ジャック・ブレイズ(兼ベース)
- ギター : ブラッド・ギルス
- ギター : ジェフ・ワトソン
- ドラムス : ケリー・ケイギー(兼ヴォーカル)
- キーボード: アラン・フィッツジェラルド
【収録曲】
- Don’t Tell Me You Love Me – 4:22
- Sing Me Away – 4:11
- At Night She Sleeps – 4:10
- Call My Name – 3:45
- Eddie’s Comin’ Out Tonight – 4:26
- Can’t Find Me a Thrill – 3:21
- Young Girl in Love – 3:33
- Play Rough – 4:15
- Penny – 3:48
- Night Ranger – 4:34
おすすめの楽曲
Don’t Tell Me You Love Me
オープニングに相応しいシングルカットされた名曲。
ヴォーカルはジャック・ブレイズが担当。
ドラマティック&メロディアスな楽曲で、この曲を聴くだけで NIGHT RANGER というバンドの概要を知ることができる象徴的な楽曲。
ギターソロの冒頭では、ブラッド・ギルスがハーモニクス音をアームで引っ張り上げる奏法をいきなり繰り出してきます。
そして自らのソロパート(前半)の終盤では赤いストラトのギターのボディを右手の拳で思いっきり引っ叩きまくり。
トレモロアームユニット自体に振動を与えて音色を揺らすという、パワーヒッター系の荒技も繰り出していますね。
ギターソロ後半は、ジェフ・ワトソンにバトンが渡され、こちらはクリアなトーンでの速弾き主体のソロを展開。
そして、エンディングに向けてのギターソロにおいてはハモリのツインリードでビシッと決めてくるという、ギター小僧にとってはたまらんチンの楽曲。
当時は必死にコピーに励んだものです。
Sing Me Away
続く2曲目は、歯切れの良いギターリフが心地よいミディアムテンポのキャッチーなシングルカット曲。
「効果音」としてのキーボードが絶妙で、さすがは元モントローズの仕事人だけのことはあります。
ヴォーカルはケリー・ケイギーが担当し、バッキングコーラスを厚めに被せてきます。
この曲ではギターはさほど暴れずに、あくまでもメロディライン重視の優しいプレイとなっていますね。
At Night She Sleeps
3曲目はややアップテンポですが、これまたキャッチーなナンバー。
2曲目同様にギターリフ、バッキング共にエッジの効いた歯切れの良い音色が印象的です。
さながらモスバーガーの間にたっぷりと挟まれているシャキシャキレタスのようです。
モス最高!
Call My Name
刹那気なピアノイントロで始まるバラード調の楽曲。
全編通して伴奏してくるピアノとキーボードのメロディライン。
何とも言えず心に刻まれる印象的なものとなっています。
後にバンドは「Sister Christian」や「Sentimental Street」といったバラード調の大ヒットシングルを産み出すことになりますが。
デビューアルバムにおける本曲も十分にシングルカットの価値を持った楽曲であったと言えるでしょう。
名曲!。
Eddie’s Comin’ Out Tonight
LP盤A面のラストに位置する、本アルバム、いや NIGHT RANGER にとっての屈指の名曲とも言える楽曲の登場です。
照明が落とされた暗いステージでキーボードのイントロ音が流れ。
高台に仁王立ちしてスポットライトを一人浴びた状態のブラッド・ギルス。
渾身のギターリフを刻み始めるという最高にかっちょ良いステージングです。
これには鳥肌立ててブルっちゃうこと必至ですね。
情感こもったジャック・ブレイズのヴォーカルは、サビに向かって激しさを増し。
楽曲そのもののドラマティック性を盛り上げていきます。
そして、何と言っても圧巻はギターソロ。
後のインタビュー記事で「あのハモリソロは大変だった」とどちらか(確かブラッド・ギルス)が語っていたのを記憶しています。
息の合った速弾き連符のハモリフレーズが展開され、ラストのソロも最高潮の状態で楽曲が終わるという。
凄まじいインパクトを残す名曲中の名曲ですね。
Can’t Find Me a Thrill
結局LPのA面分は全曲レビューしてしまいました…。
レコード時代の悲しい性ですが、総合的に見て良曲がA面に集中しているとも言えますが。
B面も決して引けを取らない楽曲が粒揃いです。
本曲はややハードなトーンのギターリフで始まるロックナンバー。
この曲ではギターは「弾きまくり」のレベルMAX。
これでもかと絡んできます。
サビで連呼される「Thrill」の発音は、英会話を学んでいる人におすすめ。
思わず聴きながら舌先を丸めてしまいそうになるのは私だけでしょうか…。
とにかく、この後も極上のアメリカン・ハードロックが立て続けに登場してきますが、きりが無いのでこの辺でやめておきます。
(単なる面倒くさくなってきただけ…)
いずれにしても、捨て曲無し、全曲シングルカットされてもおかしくない(それは言い過ぎか)最高に充実したアルバムなのです!。
まとめ
ということで、NIGHT RANGER デビュー作であるこのアルバムは間違いなく「良いです!」。
自信を持っておすすめします!。