Iron Maiden / Killers ポール・ディアノ聴き納めとなる初期の名盤

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ヘヴィメタル・リスナーの方で知らない人はいないとも言えるバンド「IRON MAIDEN」。

古参ファンの方々には既出の内容ですが、世の中には「これから聴き始める」、未来のヘヴィメタルシーンを担っていく若い方達もいると思います。

当時のシーンをリアルタイムで体感してきた空気感を、少しでも感じて頂けたら幸いです。

Iron Maiden / Killers どんなアルバム?

ギターにエイドリアン・スミスが加入

「NWOBHM(ニュー・ウェイブ・オブ・ブリテッシュ・ヘヴィ・メタル)」

1970年代終わりにイギリスで突如として勃発したヘヴィメタル・ムーブメントは、瞬く間に世界を席捲し数々のバンドがその流れに乗ってシーンで産声を上げました。

中でもIRON MAIDENは間違いなくムーブメントの代表的存在、そしてその後の牽引役として常にヘヴィメタルシーンを担い続けてきたバンドです。

今やヘヴィメタルの象徴とも言える世界的知名度を誇る偉大なバンド。

アイアン・メイデンがキャリア初期に遺した当時のシーンの息吹きを生々しく伝えるアグレッシブな2ndアルバムを今回はレビューしてみます。

1981年リリースのIRON MAIDEN2作目のフルアルバム。

プロデューサーはDEEP PURPLERAINBOWWHITESNAKEらのパープルファミリーを手掛けたマーティン・バーチが担当しています。

このアルバムの大きなトピックとして挙げられるのは、ツインリードのギタリストの一人だったデニス・ストラットンが脱退し、エイドリアン・スミスが新たに加入したことですね。

脱退後にプレイング マンティスに加入することになるデニス・ストラットンにとっては、2つのバンドの音楽性の違いから想像するに、アイアンメイデンの当時の楽曲は攻撃的、ハード過ぎる一面があったのではと推察できます。

新たに加入したエイドリアン・スミスは1990年に脱退するまでの期間、文字通りバンドの絶頂期の「顔」としてツインリードギターの一翼を担うことになります。

若干話はそれますが、ジャパニーズ・ヘヴィメタル勢のアースシェイカーの1983年リリースのデビューアルバムの収録曲「Dark Angel」を提供してくれたのもエイドリアン・スミスでした。

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エイドリアン・スミスは元来、ソロ志向、曲作りへの意識が高かったのでしょうか。

アイアンメイデン脱退後は賛否両論を巻き起こしたソロプロジェクト「A.S.a.P」での活動で、シーンにそれなりの話題を提供してくれました。

結局、1999年にアイアンメイデンに復帰し、バンドは現在のトリプルギター体制となっています。

ポール・ディアノの聴き納めとなる貴重な作品

ファーストアルバムに比べて確実に音質は磨き上げられつつも、アイアン メイデンらしさ、バンドの真骨頂である荒削りなライブ感もしっかりと残した絶妙のサウンドメイクとなっている本作。

最大のトピックは何と言っても、ポール・ディアノがヴォーカルを務める最後のアルバムとなってしまったことでしょう。

デビューアルバムでの意図的にパンクとの融合を表現したかのような、荒々しい、アグレッシブなヴォーカルスタイルは、本作でもより円熟味を増して展開されています。

小中規模のライブハウスで泥臭いライブを演じる光景がこの上なく似合うヴォーカルとでも言いましょうか。

しかしながら、そんなポール・ディアノのヴォーカルスタイルに鋭く「限界」を感じ取ったのがスティーブ・ハリスという類まれなる才能を持ち合わせた天才だったのでしょう。

音楽的にもビジネス的にも、常人にはとても思考の届かない世界観を持っていたと思われるスティーブ・ハリス。

ポール・ディアノの「限界」=アイアンメイデンというバンドの「限界」となってしまうことを一早く見抜いたのかも知れません。

まさかのポール・ディアノ解雇という無情の大ナタを振り下ろすことになります。

あくまで結果論で恐縮ですが、確かに数万人を収容した屋外フェスのステージで「Aces High」を熱唱するようなスケール感を、ポール・ディアノには見いだせないのは事実です…。

しかしながら、そんな天才の世界観など微塵も知る余地もなく、当時の平凡な一ファンとしてはポール・ディアノが脱退なんて…。

何と残念なことになってしまったんだと嘆くばかりでした。

と言うわけで、本作はアイアンメイデンの初代ヴォーカリストにして、未だに最高勲章の称号を与える根強いファンも多いポール・ディアノが残した最後のアルバムとなりました。

「おせちもいいけどカレーもね。」

「ブルース・ディッキンソンもいいけどポール・ディアノもね。」

という冗談では済まされないような衝撃、ショックを今も忘れられないファンも実は多いのではと思います。

歴代の中でも評価の高いアルバムジャケットデザイン

 

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本作のジャケットデザインには、今やアイアン メイデンの代名詞ともなっている「エディ」が再び登場。

エディの産みの親であるデザイナーのデレク・リッグスによる渾身の作品が描かれています。

その後も続いていく数々のエディ作品の中でも、この2ndアルバムのデザインは特に評価が高く大人気。

今ではこのデザインのオフィシャルTシャツにはかなりの希少価値がついているとも言われています。

持っている方は是非大切に…。

バンドメンバー・収録曲

【メンバー】

  • ヴォーカル: ポール・ディアノ
  • ギター  : デイブ・マーレイ
  • ギター  : エイドリアン・スミス
  • ベース  : スティーブ・ハリス
  • ドラム  : クライブ・バー

【収録曲】

  1. The Ides Of March – 1:46
  2. Wrathchild – 2:54
  3. Murders In The Rue Morgue – 4:18
  4. Another Life – 3:22
  5. Genghis Khan – 3:06
  6. Innocent Exile – 3:53
  7. Killers – 5:01
  8. Prodigal Son – 6:11
  9. Purgatory – 3:20
  10. Drifter – 4:48
  11. Twilight Zone – 2:34

おすすめ楽曲レビュー

The Ides Of March

邦題「3月15日」。

紀元前44年の3月15日は、古代ローマの天才軍事家、政治家であるジュリアス・シーザーが暗殺されたとされる歴史的な日。

ローマ暦の3、5、7、10月の15日のことをラテン語でidusと言うことから、歴史好きのスティーブ ハリスならではの世界観から付けられたと思われる曲名ですね。

この意味を知ると、ドラムが刻む軍隊の行進を思わせるようなリズムや、勇壮ながらも英雄を失った悲しみと慟哭の叫びを表現しているかのようなギターソロが、より深く心中に刻み込まれてきます。

因みに、本曲を含めた胸熱の1980年代「インスト曲」をピックアップした特集記事をご参考までに。

80年代ハードロック・ヘヴィメタル リアル体感した厳選インスト曲13選
この記事では、熱く燃え上がっていた80年代ハードロック・ヘヴィメタル作品の中からリアル体感に基づいて厳選した「インスト曲」13選をおすすめ紹介しています。当時のギターヒーロー達の息吹きを改めて感じながら渋さを堪能頂けたら嬉しいです。

 

Wrathchild

間髪入れずにベースのイントロで始まる2曲目。

ポール ディアノの吐き捨てるようなラフでアグレッシブなヴォーカルスタイルが、本作でも引き続き健在であることを知らしめてくれます。

スピードに頼らずとも、これほどまでに張りつめたような緊張感とグルーブしながらの攻撃性を表現できるのがアイアン メイデンの凄さですね。

クライブ・バーのドラムとスティーブ ・ハリスのベースが怒涛の荒波のように畳みかけてきます。

 

Murders In The Rue Morgue

続く3曲目はドラマティックな曲展開と疾走感あふれるアイアン メイデンならではの楽曲。

スローなイントロから一転するドラムロールからの曲展開は圧巻の一語に尽きます。

その後も音数の多い忙しいドラミングはもはやクライブ・バーの十八番ですね。

テクニックに走らずに何よりもメロディ重視のギターソロも楽曲のスムーズな展開にマッチして、4分18秒という比較的長い演奏時間を全く感じさせることなく一気呵成に聴かせてくれます。

 

Killers

アルバムを代表するタイトル曲はLPレコード盤のB面1曲目に収録。

暗闇に潜む不気味な殺人犯を思わせるベースのイントロを聴くだけで、脳が勝手に条件反射して楽曲に対する期待感が一気に増幅してきます。

そしてそれを見透かしているかのように、同じリフやフレーズを敢えて何度も繰り返すのがアイアン メイデンの楽曲作りの特徴の一つ。

名付けて「おあずけワンちゃん状態、焦らし戦法」。

わかっちゃいるけど欲しがっちゃうという、リスナーを手玉に取る風格と様式美を感じさせる王者の戦法ですね。

そしてお約束のようにドラミングから一転して一気呵成に畳みかけてくる攻撃で完全にリスナーは沸点に到達。

ライブ会場でのヘッドバンキングの嵐となる光景が目に浮かんできます。

後年続々と出てくる「ただ速いだけ」でフックの欠片も無い残念なスピードメタルのバンド連中には、爪の垢でも煎じて飲ませてあげたくなるような「楽曲としての完成度」を誇る名曲です。

この曲はやはりポール・ディアノにこそ相応しい、彼にとっても生涯一の楽曲と言えるのではないでしょうか。

 

Purgatory

1stアルバムのオープニング曲にしてシングルカットされた「prowler」をほうふつとさせるアイアン メイデン初期のエッセンスに満ち溢れたスピードチューン。

印象的かつキャッチーなメロディラインのギターが終始鼻息荒く曲を引っ張りまくり、その土台を相変わらずの音数とグルーブ感で休むことなく支え続ける「忙し過ぎるリズム隊」。

とにかく「忙しい」という表現がぴったりの楽曲です。

各プレイヤーのやることが多い、まるで都心の駅前にあるマクドナルドの昼時の厨房の中のような曲です。
(いやいや、バイトもしたことないしイメージだけで勝手に言ってます…。)

今でこそ世界的知名度を得たアイアンメイデンは、スケール感を前面に押し出すような大仰な楽曲群が多く感じます。

が、本曲はその真逆に位置する、オーディエンスの手が届きそうな、飛び散る汗が降りかかってきそうな、小さなライブハウスでのライブ光景が似合いそう。

親近感とワイルドさが何よりも魅力的な一曲です。

 

まとめ

デビュー作でシーンに衝撃を与えたアイアンメイデンの魅力は、ワイルドな攻撃性と「オペラの怪人」に代表される曲展開、ドラマティック性を兼ね備えた完成度の高さでした。

その後もKISSのオープニングアクト等を務めてライブでの実績を重ね、卓越したテクニックで当時のヘヴィメタルムーブメントの中で存在感を確固たるものとしていきます。

本作2ndアルバムでも、オリジナルメンバーのポール・ディアノのヴォーカルは鋭利な刃物のように冴えわたり、よりアグレッシブなスタイルが確立された感があります。

本作までの初期の2枚のアルバムの楽曲群は、言い換えると「バンドが世界的メジャーになる前だからこそ表現できたワイルドな音質、音楽性」であり、今となっては大変貴重な作品と言えると思います。

リリース後40年以上という長い年月を経た今でなお、その切れ味は衰えることなくヘヴィメタルファンの魂を鋭くえぐってくる迫力で溢れています。

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