KISS / KISS(1st)レビュー
泣く子も黙るKISSの1974年リリースのデビューアルバム。
アルバムジャケットは、ビートルズのセカンドアルバムのパロディですね。
発売当初は完全に色物系バンドとして扱われて売上は今一つでしたが、2年後にプラチナアルバムに復活躍進するというチャートアクションをみせた作品でした。
製作期間が短期間な上に低予算という劣悪な環境で製作されたアルバムの為、サウンド面に関しては「安っぽい」「迫力が無い」等と酷評されましたが、楽曲自体はしっかりと構成が練られていて完成度が高いと思います。
安っぽいとは言いつつ、エフェクトの無い生音に近いギターは、逆にストレートなロック感があって個人的には嫌いじゃないですね。
演奏がシンプルで控えめな分、ヴォーカルのメロディラインがしっかりと全面に出てきており、純粋にストレートなロック感覚が楽しめます。
それにしてもエース・フレーリーのリフといい、危なっかしいソロといい、わざとなのか実力なのか(いまだに不明ですが)その独特なギタープレイの数々は不思議な魅力となって耳にこびりついてきます。
後々のライブでも、このアルバムのほとんどの曲がプレイされているなど、各楽曲に対するバンドとしての想い入れの強さが伺えます。
メンバー・収録曲
【バンドメンバー】
- ヴォーカル: ポール・スタンレー
- ギター : エース・フレーリー
- ベース : ジーン・シモンズ
- ドラムス : ピーター・クリス
【収録曲】
- STRUTTER
- NOTHIN’ TO LOSE
- FIREHOUSE
- COLD GIN
- LET ME KNOW
- KISSIN’ TIME
- DEUCE
- LOVE THEME FROM KISS
- 100,000 YEARS
- BLACK DIAMOND
おすすめ楽曲
Strutter
Firehouse
Cold gin
Deuce
100,000 years
Black diamond
まとめ
「メンバー全員の仮面メイク」「ジーン・シモンズの口からの火炎放射」「ピーター・クリスのドラムセット破壊」「エース・フレーリーやポール・スタンレーのギター叩き付け破壊」など、ド派手なパフォーマンスで色物バンドの評判が先行してしまったKISS。
ですが、その楽曲の良さ、完成度が後からアルバム売上成績となってついてくるという、アルバムセールスの動きも他のバンドとは全く異なる現象をたどりました。
いくら派手派手しい強烈なパフォーマンスをしても、肝心の楽曲の質が低ければ一過性の話題で終りすぐに消えてしまう筈。
しかし、KISSの産み出してきた楽曲は、シンプルでストレートながらも良く練られたメロディセンスとキャッチーなサビメロで、幅広いファン層に受け入れられてきたのだと思います。
ハードロックにショー的な演出要素を取り入れた元祖エンターテナーとして、見事にその地位を築き上げたKISS。
楽曲に対しても真摯な姿勢で向き合っていたことが聴きとれる名盤と言えるでしょう。