W.E.T. どんなバンド?
W.E.T.
何とも意味深なバンド名ですが、その由来は各メンバーの出身バンド名の頭文字からとっているというプロジェクト色の濃いバンドです。
スウェーデンのバンド「Work of Art」のロバート・サール。
同じくスウェーデンの「Eclipse」のマグナス・ヘンリクソン、エリック・モーテンソン、ロバン・バック。
そしてお馴染みの「Talisman」のジェフ・スコット・ソート。
この3つのバンドの頭文字となっていますが、実際にはEclipseのエリック・モーテンソンが全曲のライティングとプロデュースにも関わっていることから、エリック・モーテンソンによるソロプロジェクト的な建付けと言えるのではないでしょうか。
そして、今回おすすめする曲は2009年リリースのデビューアルバム「W.E.T.」に収録の名曲「One Love」。
幸いにして、「W.E.T.」としての活動はその後も継続されており、2013年、2018年と計3枚のアルバムの輩出してくれており、次作への期待も高まるばかりです。
(マルセル・ヤコブの悲報により「Talisman」としての活動が止まってしまったので尚更です…。)
既にそのエッジの効きまくった音楽性がメロディアスハードファンに十分過ぎるほどに浸透している「Eclipse」がバンドとしてのベースとなっているだけに、いかにも北欧らしい透明感を漂わせた叙情的なメロディが堪能できるアルバムですが、本曲はその中でも頭一つずば抜けた存在感を放つまさに名曲です。
切れ味の鋭いサウンドメイク、哀愁感をこれでもかと搔き立てられる楽曲アレンジ、パワフル&安定感ある演奏、そしてそれらを昇華させるジェフ・スコット・ソートのヴォーカル。
イングヴェイ時代はあまり好きではなかったのに、「Talisman」での彼のヴォーカルには完全に魅了されてしまいました。
元々パワフルで時に透き通り、時にやや潰れた感のある多彩な声質で哀愁を感じさせるヴォーカルスタイルは、年齢を重ねて更に円熟の域に到達した感があります。
自らのバンド「Eclipse」でリードヴォーカルを張っているエリック・モーテンソンがコーラスでフォローするという贅沢極まりない布陣で、完璧なハモリを聴かせます。
そして、特筆すべきはエリック・モーテンソンの魂のこもったギタープレイ。
リフやバッキングにおけるレスポールを搔き乱すような情熱的なプレイが印象的で素直に格好良いです。
そしてギターソロではマグナス・ヘンリクソンの一撃必殺ともいえる入魂の速弾きフレーズが本曲の完成度を絶対的なものとしています。
とにかく、一度聴いただけで恐らく一生脳裏に残るインパクトと言っても決して過言ではないでしょう。
今回は「聴く」だけでなく、魂のプレイを是非「見て」堪能して頂きたいと思います。
バンドメンバー
- ヴォーカル: ジェフ・スコット・ソート
- ギター : エリック・モーテンソン(兼ベース)
- ギター : マグナス・ヘンリクソン
- ドラムス : ロバン・バック
楽曲レビュー
良いですねぇ。
まるでセパレイトウェイズを思わせるイントロからしっとりとしたジェフ・スコット・ソートのヴォーカルが浸透圧のように馴染んでいきます。
そして短刀直入に1コーラス目で一気にサビに突入。
印象的なサビメロをハモリながら全力で歌い上げる2人のリードヴォーカルのパワー感と透明感に圧倒されます。
北欧独特の哀愁のメロディラインをこれだけシンプル、かつパワフルに表現されてしまっては、メロディアスハードファンはもはやイチコロですね。
そして、極めつけは楽曲としての絶頂を迎えるポイントでのギターソロ。
久々に聴くフロントピクアップでの「安っぽくない厚みのあるトーン」は本物の証。
緩急自在のフレージングと適度な弾きまくり感が出しゃばることなく楽曲の総合力を高めています。
一度聴いたらヘビーローテーション間違いなし!。
そして聴き始めたらずーっとこのまま終わらずに聴いていたい、そんな不思議な感覚に陥る麻薬的な名曲と言えるでしょう。