RIOT / Thundersteel レビュー
1975年に活動開始のいぶし銀の古参バンド「RIOT」の1988年リリースの6枚目アルバム「THUNDERSTEEL」。
RIOTはアメリカのバンドらしからぬ、ツインリードギターによる叙情的な泣きメロを連発してくる独特の湿気をもった音楽性が特徴です。
セールスマネジメントに恵まれず、メンバー交代の多さもあって鳴かず飛ばずの状態が長く続きましたが、こと日本のマーケットにおいては話は別。
その湿り気を帯びた世界観で、着実にコアなファン層を獲得しながら存在感を高めてきました。
本作ではその苦難の活動過程で巡り合えたハイトーンヴォーカルのトニー・ムーアが加入。
まさに起死回生の力作!。
バンド史上の最高傑作と言える怒涛の作品です。
本作で聴くことのできるテクニカルなドラミングと、メロディアスなツインギターから繰り出されるパワーメタル路線の楽曲の数々は、当時のシーンに与えたインパクトも絶大でした。
元来持ち合わせていたRIOT節とも言われる個性的哀愁メロディと相まって、バンド独自の方向性、シーンにおけるポジショニングを確立した作品と言えるでしょう。
スコアチャート
メンバー・収録曲
【メンバー】
- ヴォーカル: トニー・ムーア
- ギター : マーク・リアリ
- ベース : ドン・バン・スタバーン
- ドラム : ボビー・ヤルゾンベック(マーク・エドワーズ)
【収録曲】
- Thundersteel – 3:49
- Fight or Fall – 4:25
- Sign of the Crimson Storm – 4:40
- Flight of the Warrior – 4:17
- On Wings of Eagles – 5:41
- Johnny’s Back – 5:32
- Bloodstreets – 4:39
- Run for Your Life – 4:08
- Buried Alive (Tell Tale Heart) – 8:55
おすすめ楽曲
Thundersteel
Fight or Fall
Flight of the Warrior
Bloodstreets
まとめ
マネジメント面やメンバー交代等で安定感に欠ける活動が続き、その実力があまりに過小評価されてきたRIOT。
強力なハイトーンヴォーカリストを迎え入れてHMシーンに叩きつけた起死回生の一撃が本作「THUNDERSTEEL」。
アルバム全体から漂う自信と鬼気迫る程の迫力は、迷いを断ち切り、いやむしろ開き直ったかのような真向勝負。
アルバム「NARITA」など、日本との親和性の高さで既に日本では一定のファンを獲得していたRIOT。
十八番の哀愁に溢れた楽曲作りが冴えわたり、HMシーンへの戦線布告とも言うべき意欲作となったまさに歴史的な名盤です。
我々日本のファンからしてみれば、このアルバムでRIOTが評価されればされるほど、RIOTは前から俺たちが育ててきた、支えてきたバンドだ!的なある種の優越感が高まりました。
(勝手な自己満足に浸れるという不思議な感覚…)