Ozzy Osbourne / Bark at the Moon レビュー
ランディ・ローズを事故で失うも見事に復活!
1983年にリリースされたOzzy Osbourneの3枚目のアルバム「BARK AT THE MOON(邦題:月に吠える)」。
プロデューサーは後に数々の名盤を手掛けることになるマックス ノーマンが担当。
(JAPANESE HEAVY METAL界が誇る「LOUDNESS」の世界進出作「THUNDER IN THE EAST」もマックス・ ノーマンのプロデュースですね)
何と言っても本作における最大のトピックは、前年に不慮の飛行機事故によりその短い生涯を絶った若き天才ギタリスト ランディー・ローズの後任選び。
ブラッド・ギルス(NIGHT RANGER)のワンポイントリリーフなどを経て、数多の有名どころのギタリスト達がオーディションに名乗りを上げたようですね。
そして最終的に選ばれたのは元ラフ・カットにも在籍していたジェイク ・E・リー。
ベースにはボブ・ディズリーが復帰、ドラムはトミー・アルドリッチという堅牢なリズム隊。
極めつけにキーボードには、デビュー作「Blizzard of Ozz(血塗られた英雄伝説)」に続き、HR/HM界の絶対的守護神ドン・エイリーが参加という、夢のオールスター構成での復活となりました。
また、過去2作でもシーンをざわつかせたジャケットデザインには、オジー扮する月夜の狼人間が登場。
ホラー映画の特殊メイク技術を長時間駆使して完成させたというこだわり様は、今回もオジーならではです。
本当に OZZY OSBOURNE という人はサービス精神旺盛というか生粋のエンターテナーというか…。
きっと頭の中は常人では到底理解できない宇宙空間が広がっているに違いありませんね。
ジェイクのバカテクギターがこれでもかと炸裂!
ランディ・ローズの後釜としてのプレッシャーは計り知れないものがあったと思われますが、ジェイクは新たな正式ギタリストとして自らのアイデンティティを見事に表現してくれました。
そのプレイは、後にフェイクなどと揶揄されるまでに存分なアイデアに溢れたトリッキーなバカテクと、圧倒的な格好良さのステージパフォーマンスでした。
日系の血が入っていることもあり余計に親近感が増し、当時のギター小僧のハートは秒で射貫かれましたね~。
以後、血眼になってコピーに明け暮れたものでした。
さすがのお好み屋さんも、そのバカテクぶりにはあきれ返り「もう嫌になる」と仰ってます。
当時のいい加減なTAB譜とは全く異次元の「細かすぎるバカテク」を探究しているこちらの動画。
何度見ても飽きない面白さですので貼っておきます。
メンバー・収録曲
【メンバー】
- ヴォーカル: オジー・オズボーン
- ギター : ジェイク・E・リー
- ベース : ボブ・ディズリー
- ドラムス : トミー・アルドリッチ
- キーボード: ドン・エイリー
【収録曲】
- Bark at the Moon – 4:15
- You’re No Different – 5:49
- Now You See It (Now You Don’t) – 5:10
- Rock ‘N’ Roll Rebel – 5:23
- Centre of Eternity – 5:15
- So Tired – 4:00
- Slow Down – 4:19
- Waiting for Darkness – 5:13
おすすめ楽曲
Bark at the Moon
LPレコードに針を落とした時の衝撃…。
よくある常套句、お約束のちんけな表現ですが、この作品ばかりは「本物」です。
オープニングを飾るタイトル楽曲は、HEAVY METAL史上で考えても屈指の衝撃的なリフでスタート。
漆黒の月夜の静寂を切り裂くような意表を突く展開は、映画で言えばのっけからクライマックス・シーンて感じでしょうか。
何だかランディを失ったことに対する OZZY のやり場のない怒り、運命への復讐のような凄まじい攻撃性を秘めているようにも思います。
そして、中盤とラストのギターソロのみならず、ジェイクの細かく拘り抜かれたギタープレイは圧巻の一語に尽きますね。
前述のお好み屋さんの動画の通り、バカテクが随所に埋め込まれた「知れば知るほどコピーするのが嫌になる」位の難関な高い壁。
マイケル・シェンカーのコピーですっかり小指が退化していた当時のギター小僧にとっては、知らなくて良かったと今更ながら胸を撫で下しています…。
当時私が在籍していたコピーバンドはキーボードが不在でした。
何とか雰囲気を近づけたくて少ないお小遣いとバイト代をためてフェイザーエフェクターを購入して頑張ってたのを思い出します。
You’re No Different
アルバム2曲目に収録の哀愁漂うスローナンバー。
オープニングの攻撃的なギターから一転、ボリューム奏法を駆使したあくまで楽曲構成を重視したジェイクのプレイもそそりますね。
情感にじみ出るOZZYのヴォーカル、ドン・エイリーの鍵盤が融合し合い演出される世界観。
地味ながら気が付けば思わず心奪われている楽曲展開に仕上がってます。
So Tired
レコードLP盤で言うところのB面2曲目。
上記、A面と同様にB面1曲目のドラマティックなスピードチューン「Centre of Eternity」に続くスローナンバーという構成。
まるでTVドラマ終盤に流れる挿入歌として使われても全く違和感の無いソフトなメロディが秀逸ですね。
Waiting for Darkness
オリジナル盤のラストを飾るこれぞOZZYともいえるキャッチーな楽曲。
エンディングに相応しいドラマティックなリフ展開と、変調を取り入れた曲構成でアルバムラストを盛り上げ締めくくっています。
間奏部分の長さは「絶対ライブでOZZYが何かやらかしそう」な予感が満載。
ひょこひょこ歩きながら客席に向かって何かをぶちまける様子が目に浮かんでしまいます。
おまけ
JAKE.E.LEE のバカテクがヤバ過ぎます…。
まとめ
故ランディ・ローズの後釜として注目されたジェイク・E・リーのギタープレイは、シーンを驚かせるに十分な衝撃度でした。
そのプレイは後年に渡り様々な探究の対象となり、近年ではお好み屋さん説が最も有力な考察であると位置づけられます。
随所に細かすぎる拘りのバカテクと楽曲作りの才能を散りばめつつも、決して出しゃばりすぎることのない堅牢なプレイを見せつけてくれたジェイク。
日系の血も引き継ぎ、ルックスの良さも兼ね備え、ライブパフォーマンスも圧巻!。
まさにランディ亡き後の窮地に、新たなるギターヒーロー誕生させ見事に復活を果たした OZZY OSBOURNE。
ランディへのこれ以上ない追悼となる素晴らしい作品であることは間違いありません。
追記:JAKE.E.LEE 銃弾に倒れる!
2024年10月15日(火)02:40頃(現地時間)に米国ネバダ州ラスベガスで、犬の散歩中のJAKE.E.LEEは何者かに銃撃されました!。
幸いにもすぐさま病院に搬送され、意識もあり命に別状はない模様…(愛犬「ココ」も無事のようです)。
偶発的、無差別な事件だったようですが、計15発もの発砲の中で受けた銃弾は計3発。
前腕と足は貫通、背中からの弾丸は肋骨を折り肺を損傷させたようですが、いずれも致命傷には至らず強運の持ち主ですね。
何よりも JAKE.E.LEE の一日も早い回復を祈るとともに、しょうも無い犯人の早期逮捕を望みます。