Accept / Metal Heart レビュー
マーケットを睨んだ傑作で一気にメジャー舞台へ
スコーピオンズと並んでジャーマンメタルの王道を切り開いてきた開拓者アクセプト。
「Metal Heart」は1985年リリースの6枚目のアルバムです。
アクセプトといえば圧倒的な存在感を誇るのがヴォーカルのウド・ダークシュナイダー。
ですが、本作においてはウドのヴォーカルもさることながら、ウルフ・ホフマンのアメリカ市場を睨んだ楽曲作り、アルバムとしての完成度の高さがひと際輝きを放っています。
初期メンバーのヨルグ・フィッシャーがギターに復帰し、プロデューサーはスコーピオンズを手掛けてきたディーター・ダークスが担当。
盤石の態勢で制作された本作は、アメリカ市場を意識したキャッチーで親しみやすいメロディを持ち込んだ楽曲作りで大ヒットを記録することに。
どちらかといえば、本作以前のアクセプトはマーケットでの反応を度外視した作風で我が道を突き進んできた印象が強かったですね。
ウドの喉が切り裂かれたような奇異なヴォーカル、いかにも欧州的な暗いムードの叙情派バラード曲、「Balls to the WALL」に代表される男臭い重低音軍隊メタル楽曲などがその最たるもの。
しかしながら、本作ではようやくバンドが本腰入れてマーケットを意識した音楽性に転換し、表舞台への登場を狙ってきた印象で、そのインパクトは凄まじく一気にシーンの注目を集めることになります。
因みに、欧米では既に前作の「Balls to the WALL」がマーケットで一定の評価を獲得しており、本作でその評価をより強固なものとした形になりました。
「Balls to the WALL」は自身も含め当時の日本のファンにとってはちょっと刺激が強すぎましたよね~。
ジャケットデザインをはじめ、男臭さがぷわ~んと香ってくるようでした。
日本ではやはり本作「Metal Heart」がアクセプトをメジャー級のバンドに押し上げた出世作と言って間違いないでしょう。
↓↓↓前作「Balls to the WALL」のアルバムレビューはこちらからどうぞ↓↓↓
そして、彼らへの支持を揺るぎないものとしたのが、その圧倒的なライブパフォーマンス。
謎のベールに包まれていた感覚のウドのヴォーカルと、ゲルマン民族ならではの規律正しい統率感のあるメンバーのパフォーマンス。
地力と安定感のある演奏テクニックで、日本ファンの支持と評価を一気に急上昇させました。
メンバー・収録曲
【メンバー】
- ヴォーカル: ウド・ダークシュナイダー
- ギター : ウルフ・ホフマン
- ギター : ヨルグ・フィッシャー
- ベース : ピーター・バルテス
- ドラム : ステファン・カウフマン
【収録曲】
- Metal Heart – 5:19
- Midnight Mover – 3:05
- Up to the Limit – 3:47
- Wrong Is Right – 3:08
- Screaming for a Love-Bite – 4:06
- Too High to Get It Right – 3:47
- Dogs on Leads – 4:23
- Teach Us to Survive – 3:32
- Living for Tonite – 3:33
- Bound to Fail – 4:58
おすすめ楽曲
Metal Heart
Midnight Mover
Screaming for a Love-Bite
Living for Tonite
まとめ
私が友人から初めて聴かせてもらったアクセプトの曲は「ファスト・アズ・ア・シャーク」でした。
それまでマイケル・シェンカー、ゲイリー・ムーア、リッチー・ブラックモアといったギターヒーローのバンドを中心に聴いてきた私にとっては、確かにツインギターによるソロは凄いのですが、ウドのあまりに特異なヴォーカルにアレルギー反応が生じて当時は正直ついていけませんでした。
友人おすすめの「ファスト・アズ・ア・シャーク」よりも、私が強烈にインパクトを受けたのは同アルバム2曲目に収録のミドルテンポのタイトル曲「レストレス・アンド・ワイルド」。
シンプルに刻まれる渋いリフとタイト感しかないドラミングが最高に格好良く、ドラムは叩いたことない癖に思わず「これは自分が理想とするドラムの音、プレイだ…。」と思えたことを記憶しています。
何事もファーストインプレッションとは重要なもので、私にとってのアクセプトの魅力は、ミドルテンポで切れ味鋭く刻まれるリフ、タメを効かせたタイトなリズム隊、キャッチーなメロディラインとサビ、そしてギターソロの美しいフレーズ構成にあります。
本作は、そんな私が抱くアクセプトに求める要素が贅沢なほどにふんだんに盛り込まれた内容となっており、本当に捨て曲無しの文句無しの名盤です。