Whitesnake / Slip of the tongue　史上最強の豪華布陣で臨んだ傑作

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Whitesnake / Slip of the tongue　レビュー

WHITESNAKEの1989年リリース８枚目のアルバム「Slip of the tongue」。

WHITESNAKEは前作サーペンス・アルバス（邦題「白蛇の紋章」）で、大化けしたギタリスト「ジョン・サイクス」の開眼した楽曲センスが光りセールス的に大成功を収めました。

バンドとしての絶頂期を迎えたWHITESNAKEでしたが、その後、どうにもメンバー、特にギターが安定しません…。

一時は、ギターにエイドリアン・ヴァンデンバーグとヴィヴィアン・キャンベル、ベースにルディ・サーゾ、ドラムにトミー・アルドリッジという、よだれが出そうなメンバー構成を誇っていましたが…。

その後、ヴィヴィアン・キャンベルが脱退、ヴァンデンバーグが腱鞘炎で演奏不能となるなど不運に見舞われることになります。

結局、本作の収録ではギターをスティーヴ・ヴァイが担当することに…。

（これはこれで凄いことですが…。）

（それにしても、よくもまあ次から次へとこれだけのビッグギタリストが参加してくれますわな。）

（DEEP PURPLEの威光恐るべし？）

アルバム発表後のライブツアーでは、ヴァンデンバーグも復帰して、スティーヴ・ヴァイとヴァンデンバーグのツインリードという、これまた夢のような編成が実現しています。

しかし悲しいかな夢物語はそう長くは続かず、ツアー終了後にバンドは一旦解散することになります。

ハードロック界における水戸黄門の印籠に匹敵する勲章「元DEEP PURPLEのヴォーカル」というキャリアを持つ男「デビッド・カヴァーデル」。

「デビッド・カヴァーデル」率いるWHITESNAKEの前半期の集大成とも位置付けられるのが本作「Slip of the tongue」。

売れまくった前作「白蛇の紋章」でその地位を不動のものとし、一旦解散する前の前半戦最後の作品となりました。

ピンチヒッターとしては贅沢過ぎるスティーヴ・ヴァイという超技巧派ギタリストを迎え入れ、話題性も申し分なし。

しかし肝心の音楽性、サウンドは、往年のWHITESNAKE支持者からは多少の違和感を指摘されても仕方のない程に、バンドとしての明確な方向性変化が示されたものとなっています。

まさに巨大戦艦が容易に舵取りを変えられないように、ビッグバンドとしてのアイデンティティを維持しつつマーケットにも対応せざるを得ない難しい舵取りが求められた状況の本作。

ややもすると前作踏襲型の二番煎じ、マンネリ化に陥ってしまう危険性を孕んでいた本作ですが。

スティーヴ・ヴァイのテクニカルなギターが良い意味で強烈なスパイスとなって、より進化したWHITESNAKEの新たな魅力を引き出すことに見事に成功した感じがします。

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