このブログは80年代から90年代のHR/HMの黄金期をリアルに体験してきた私の、あくまで主観、かなりの偏重した嗜好の基に綴られた内容となっております。
これから後追いで聴き始める若い方々の少しでも参考になれば、また、懐かしさ蘇る同年代の方々とは共感できましたら嬉しいです。
今回は「インスト曲特集」ということで80年代リリース作品の中からピックアップしてみました。
・1980年代にリリースされたアルバムに収録されて楽曲であること
・インスト曲だけのアルバムでない事(トニー・マカパインとかは今回は断腸の思いで選外)
・ヴォーカルが一切入っていない楽曲であること
・熱かった80年代HR/HMシーンの息吹きを感じる楽曲であること
それでは、往年のギターヒーロー達の競演をお楽しみください。
- LOUDNESS / Exploder
- MSG / IN TO THE ARENA
- OZZY OSBOURNE / DEE
- IRON MAIDEN / TRANSYLVANIA
- Y&T / I’ll Cry for You
- GARY MOORE / Dirty Fingers
- MSG / CAPTAIN NEMO
- RAINBOW / DIFFICULT TO CURE (BEETHOVEN’S NINTH)
- Yngwie Malmsteen / Crying
- EUROPE / APHASIA
- DOKKEN / WITHOUT WARNING
- JUDAS PRIEST / THE HELLION
- IRON MAIDEN / The Ides of March
- まとめ
LOUDNESS / Exploder
日の丸を背負う日本代表バンドLOUDNESS
まずは日本代表としてLOUDNESS・タッカンこと高崎晃にご登場頂きましょう。
1984年リリースのLOUDNESS4枚目のアルバム「DISILLUSION(邦題:撃剣霊化)」に収録のギターソロ楽曲ですね。
VAN HALENやGARY MOOREの良いとこ取りとも言われることがありますが、両者にもまったく引けを取らない高崎晃のギターテクニックがヤバ過ぎます。
ライトハンド奏法(80年代なのでわざと言ってます)も壮大スケール十分な世界観を演出していますが、何と言っても6連のピッキングが恐ろしいですね。
さすが日本の誉れです!
MSG / IN TO THE ARENA
「神」帰ってきたフライング・アロウ マイケル・シェンカー
1978年にUFOを脱退したマイケル・シェンカーが、翌1979年に結成した自らのバンド「Michael Schenker Group(M.S.G.)」。
1980年リリースのデビューアルバム「The Michael Schenker Group」に収録された伝説のインスト曲ですね。
トレードマークのギブソンのフライングVで奏でられる独特のフレーズは、緊迫感が張りつめられた楽曲の展開の中で緩急自在に織り紡がれていきます。
まさに「神」ならではの所業にただひれ伏すしかない、ギターインスト曲における最高峰とも言える楽曲。
ドラムスのサイモン・フィリップスをはじめとするセッション風の雰囲気も、逆に生々しい躍動感を増幅させながら劇的な楽曲展開を盛り上げています。
ギターヒーローに憧れた当時の全てのギター小僧にとっての登竜門的な楽曲であり、泣きのシェンカー節はこの先も永遠に輝きを失うことなく恒星のような存在であり続けることでしょう。
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OZZY OSBOURNE / DEE
80年代HR/HM界にとってのあまりに大きな損失 ランディ・ローズ
忘れることは決してない1982年3月19日、不慮の飛行機事故により25歳という若さでこの世を去ってしまった天才ギタリスト「ランディー・ローズ」。
OZZY OSBOURNEの2枚のアルバムに遺された魂のフレーズの数々は無論のこと、本人も公言していたクラシック・ギターへの傾倒を象徴するかのようなこの曲は、彼の命日には欠かすことのできない鎮魂曲です。
1980年リリースのOZZY OSBOURNEデビューアルバム「Blizzard of Ozz(邦題:血塗られた英雄伝説))に収録。
短命で逝ってしまった故人を美化するつもりは無くても、ランディー・ローズという男の純粋、ひたむきな心が見事に顕われていると感じます。
本当に聴く者を癒してくれる優しさに溢れた楽曲ですね。
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IRON MAIDEN / TRANSYLVANIA
私をヘヴィメタル沼へ引きずり込んだIRON MAIDENデビュー作
NWOBHの代表格として常にヘヴィメタルシーンの先頭を走り続けてきたIRON MAIDEN。
その姿は陸上競技で言えば中長距離走で絶対的な強さを誇る田中希実のような存在ですね(誰も知らねえってか?)。
1980年リリースのIRON MAIDENデビューアルバム「IRON MAIDEN(邦題:鋼鉄の処女))に収録。
このアルバムは、ハードロック~パンク辺りをかじってきたギター小僧にとって完全にヘヴィメタルというジャンルを明確に意識し、その深い沼に足を踏み入れていく間違いなくきっかけとなりました。
スリリング過ぎるスピード感と楽曲展開、荒々しく攻撃的で生々しいプレイ。
初めて耳にした時の、全身のアドレナリンが沸騰する感覚とはまさにこのこと。
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Y&T / I’ll Cry for You
泣きメロ人間国宝デイヴ・メニケッティの涙腺崩壊必至の号泣曲
ブリティッシュ/アメリカン・ハードロック、NWOBHM、北欧メロディアス、ジャーマンメタル、LA(ヘア)メタル、ネオクラシカル、などなど様々にカテゴライズされる中、それぞれに存在する自分にとってのお気に入りのバンド。
でもその中でたった1つだけ絶対的に私の中で存在するのが「Y&T」。
もはや理由などなく、身体の一部のようなものであり肌感覚のような位置付けなのでございます。
悲しくもデイヴ・メニケッティ以外の創設メンバーは既にこの世を去ってしまい、最近ではデイヴ本人も癌との闘病を公表するなど、最近はあまりシーンでの露出がありませんがまだまだこれからです!。
振り返れば「Y&T」の歴史は常にシーンにおける逆風との闘いの歴史でもあり、ビハインドの状態こそが彼らが真価を発揮する最高のシチュエーションだったりしますので、今後の復活に大いに期待しています。
1987年リリースのY&T 8枚目のアルバム「Contagious」のラストに収録の、デイブ・メニケッティ渾身の泣きメロギターインスト曲。
その号泣フレーズは「顔でひく」GARY MOOREをも髣髴とさせる、これぞ人間国宝という匠の技です。
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GARY MOORE / Dirty Fingers
「顔でひく」泣きメロ帝王 ゲイリー・ムーア
本音を言えば、本作の前年に先にリリースされた「Corridors of Power(邦題:大いなる野望)」の収録曲「End of the World」の冒頭ギターソロを掲載したいところでした…。
が、あくまでヴォーカル入り楽曲の一部ということで、厳正なる審査により今回は落選となりました。
残念…。
「Corridors of Power(邦題:大いなる野望)」のレビューはこちらからどうぞ
そして繰り上げ当選となったのが1分ちょっとのコンパクトにまとめられたこの曲。
レコード会社との契約の絡みで1983年のリリースとなってしまった幻アルバム「Dirty Fingers」のタイトル楽曲ですね。
GARY MOOREの凄さを最も感じるのはやはり親の仇のような力強い一音一音のピッキング。
最近の巷で湧いているテクニカル学芸会のピロピロ速弾きとは一線を画す、格の違いをこれでもかと見せつけてくれていますね。
因みに、フィギュアスケート羽生結弦選手の滑走曲として脚光を浴びた名曲「パリの散歩道」は1978年リリースのためこれまた今回は選外となっております。
MSG / CAPTAIN NEMO
マイケル・シェンカー渾身のプレイが冴えわたる名曲
再びご登場頂いた「神」マイケル・シェンカー。
MICHAEL SCHENKER GROUPの1983年リリースの4枚目アルバム「BUILT TO DESTROY(邦題:限りなき戦い)」に収録。
このアルバムは、前作でヴォーカルを務めたグラハム・ボネットがバンドを去り、再びゲイリー・バーデンが復帰したとの事前情報がありましたので、個人的には落胆を隠せない状態でリリースを迎えた微妙な作品でした。
ところがどっこい、さすがは「神」。
オープニングから垢抜けたメロディアス・チューンをかましてくるなど、充実楽曲の雨あられ攻撃で過去3作品に全く引けを取らない文句なしの名盤に嬉しい悲鳴の大絶叫でした。
そしてLP盤B面1曲目に収録されていたのが本インスト曲。
当時のギター小僧泣かせの難解運指フレーズに悪戦苦闘しまくりました。
でも結局「ほとんど小指は使用していなかった」来日ライヴでの神プレイにこれまたビックリ!
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RAINBOW / DIFFICULT TO CURE (BEETHOVEN’S NINTH)
元祖ネオクラシカル リッチー・ブラックモアのパロディ名曲
私がギターを始めたきっかけは DEEP PURPLE の「Highway Star」の Live in Japan ヴァージョンにあまりの衝撃を喰らい「これを弾けるようになりたい!」と心の底から思ったのがきっかけでした。
マシン・ヘッドのスタジオヴァージョンではなく、Live ヴァージョンというのは譲れない大事な部分です。(誰も何も言ってませんが…)
そんなギター小僧にとっての初代ギターヒーロー「リッチー・ブラックモア」。
やがて DEEP PURPLEを去ったリッチーが新たに結成したバンドがRAINBOW。
本曲は1981年リリースの5枚目アルバム「Difficult to Cure(邦題:治療不可)」に収録。
前作までのヴォーカル「グラハム・ボネット」に代わり「ジョー・リン・ターナー」を起用した本作は、音楽性もかつての様式美フルスロットルのハードロックスタイルからの脱却意志を感じる意欲作。
オープニング曲の「I Surrender」による既存ファン以外への無差別攻撃の凄まじい破壊力。
その他の楽曲も、波状攻撃の如く巨大なアメリカ市場に照準を合わせて新たなファン層獲得に挑戦する姿勢を明確に打ち出しました。
そしてアルバムラストに収録されているのが本曲「DIFFICULT TO CURE (BEETHOVEN’S NINTH)」。
年末のクラシック演奏会では定番の「ベートーヴェンの第九」ですね。
リッチー・ブラックモアのお茶目なセンスを感じ取れるアレンジ、演出が面白い聴きどころですが、ドン・エイリーのテクニカルなソロもかなり気合いが入っていて地味に胸が熱くなりました。
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Yngwie Malmsteen / Crying
未来の著名クラシック音楽家 イングヴェイ・マルムスティーン
リッチー・ブラックモアの後は、スェーデンが産んだ世界文化遺産、やはりこの方しかいませんね。
1986年リリースの YNGWIE MALMSTEEN 3枚目のアルバム「TRILOGY」に収録の名曲。
前半の癒し系アコスティック~後半の泣き泣き大爆発のコントラストが眩し過ぎて、思わずグラハム・ボネットにサングラスを借りたくなる戦闘力の高いバラード。
あと〇百年くらい経った時に、学校の音楽室にはこの人の肖像画が額縁に入れられているのでしょうか。
一人で常に異次元を切り開いてきたギタープレイは、後塵の輩が足元にも及ばない雲上人のような孤高の境地。
もはや速弾き云々など枝葉の議論であり、イングヴェイにとっては速く弾くことなど造作もないことなのでしょうね。
EUROPE / APHASIA
北欧正統派様式美の権化 ジョン・ノーラムが放った最高傑作
北欧スェーデンつながりで欠かせないのが、北欧メロディアス・ハードロックの叙情性、荘厳な様式美を見事なまでに具現化してみせた EUROPE。
EUROPEと言えば「パパ、パーンパー」のキーボードのイントロ曲を真っ先に思い浮かべるのが一般的だと思います。
しかしながら、自称北欧メロディアス・ハードロック振興連絡協議会の総務担当を務める身(適当過ぎ…)としましては、このアルバムこそが間違いなく彼らの最高傑作。
1984年リリースの2枚目のアルバム「WINGS OF TOMORROW(邦題:明日への翼)」
この作品に収録されている魂のインスト曲の本曲を含め、ジョン・ノーラムのギタープレイにおいても最高のパフォーマンスが発揮されている作品ですね。
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DOKKEN / WITHOUT WARNING
巨匠ジョージ・リンチによる名盤の序曲
1992年リリースのDOKKEN2枚目のアルバム「TOOTH AND NAIL」のオープニングに収録。
次曲のタイトルチューン「TOOTH AND NAIL」へ劇的に続くための序曲という位置付けながら、一聴してそれと解る巨匠ジョージ・リンチ独特のトーンと鬼ビブラートが炸裂している名曲。
この曲なくして次曲無しの完璧すぎる流れは、80年代を知る者にとっては言わずもがなの「復讐の叫び」「Killers」も同様。
本曲をピックアップしてしまった以上、上記2作からも玉突き事故の如く入選となりますこと、ご理解賜りたく…。
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JUDAS PRIEST / THE HELLION
ヘヴィメタル史上究極の組曲となった伝説のイントロ曲
1982年リリースのJUDAS PRIEST 8枚目のアルバム「Screaming for Vengeance(邦題:復讐の叫び)」のオープニング曲として収録。
次曲「Electric Eye」へと続く流れはヘヴィメタル史上究極にして最高の切れ味を誇ります。
もはや多くを語る必要はありませんね。
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IRON MAIDEN / The Ides of March
スティーヴ・ハリスの歴史観を反映した劇的な序曲
1981年リリースの IRON MAIDEN 2枚目のアルバム「Killers」のオープニング曲として収録。
こちらもまた、次曲「WRATHCHILD」へと続く流れはヘヴィメタル史上屈指の格好良さであり、思わず武者震い~寒イボ全開のお約束昇天モードへ突入です。
曲名の由来など詳しいレビューはこちらからどうぞ
まとめ
何だか最後は本来の意図した主旨とは少しずれてしまいましたが、いずれにしても熱かった80年代のHR/HMシーンを代表する作品をご紹介できたのではと思います。
当然のことながら、私の独断と偏見による浅い知見の範囲からのピックアップのため、「この曲が入っていない」「全く分かっていないな、お前は」とのお叱りも多いと思いますが、何卒ご容赦を。