2022年にリリースされたアルバムの中から、おすすめ作品を選んでみました。
メロディアス・ハードロックを主食とする私のあくまで主観でのチョイスですが、まだ未聴の方の少しでも参考になれば嬉しいです。
(記載はあくまでも「リリース日付順」なのでランキングではありません)
【 ★目次をタップすると読みたい場所にジャンプします★ 】
- GIANT 「Shifting Time」
- THE FERRYMEN 「One More River to Cross」
- Battle Beast 「Circus of Doom」
- Praying Mantis 「Katharsis」
- NORTHTALE 「ETERNAL FLAME」
- SCORPIONS 「Rock Believer」
- HIBRIA 「ME7AMORPHOSIS」
- FIND ME 「Lightning in a Bottle」
- Ronnie Atkins 「Make It Count」
- Michael Romeo 「War of the Worlds, Pt. 2」
- TREAT 「THE ENDGAME」
- THUNDER 「DOPAMINE」
- Def Leppard 「Diamond Star Halos」
- Michael Schenker Group 「Universal」
- ANVIL / IMPACT IS IMMINENT
- JOURNEY / FREEDOM
- HYDRA / POINT BREAK
- OZZY OSBOURNE / Patient Number 9
- TALAS / 1985
- VIOLET / ILLUSIONS
- 最近のおすすめ記事はこちらから
- 過去のおすすめ記事はこちらから
- 最後にお伝えしたいこと
GIANT 「Shifting Time」
アルバム概要
2022年1月21日リリース。
2010年リリースの前作「Promised Land」以来の12年振りのアルバム。
ダン&デヴィッドのハフ兄弟を中心に80年代末にデビューしたGINANT。
1992年に超名盤の2ndアルバム「Time To Burn」をリリースしながらも、惜しくも一時解散という状態に陥ってしまいます。
2000年代に再結成後も、これまでにリリースしたアルバムは僅かに2枚という、まさに「善光寺御開帳」バンド。
今年はまことに有難くも「御開帳」ということで久しぶりの新譜に出会うことができましたね。
中心メンバーはオリジナル・メンバーであるドラムのデヴィッド・ハフとベースのマイク・ブリグナーディロがバンドの鉄壁のリズム隊。
ギターは相変わらずの「WINGERとの掛け持ちですが、何か?」のジョン・ロス。
そして何と言っても、ヴォーカルにPERFECT PLANのケント・ヒッリを擁しての「メロディアス・ハードロック界プチオールスター軸である状態」となっています。
これだけの役者が揃えば、言わずもがなのハイクォリティはもはやあたり前田大然。
アルバムジャケットのイメージ通りのスケール感を伴った完成度の高い楽曲が凝縮されたアルバムで、おすすめ楽曲のピックアップに困る内容となっています。
特にヴォーカルのケント・ヒッリの歌唱は、「ハードロックのシンガーかくあるべし」と言った師範代クラスの安定感を誇りますね。
乾いて良し、湿って良し、パワー良し、高音の伸び良しの「良し良しヴォーカリスト」で隙がありません。
おすすめ曲
Let Our Love Win
オープニングのタイトル曲のギターインストで12年ぶりの御開帳となる本作。
ジョン・ロスの切れ味のあるギターリフが「待たせたな。」とでも言わんばかりに、キザに切りつけてきます。
文句のつけようの無いアメリカン・ハードロックの王道曲で、良い意味で「変わってない」GIANTとの再会を喜びましょう。
Never Die Young
続く3曲目はよりハードに振った楽曲で畳みかけてきます。
パワーで押してくるケント・ヒッリのヴォーカルに、元気をもらいながら奮い立ち闘志を燃やすような、勇気付けられる楽曲ですね。
My Breath Away
個人的には「HARDLINE」をも髣髴とさせるような、極上のメロディアス・ハードロック。
本作最高楽曲に認定。
シンプルながら期待感しか感じさせないギターリフに始まり、哀愁の情感溢れ出るヴォーカル。
(完全に立ち合いでもろ差しを許し、頭を付けられた状態。)
(両下手のまわしは親指まで通されがっちり握られました。)
サビに向かってのヴァース展開で完全に琴線突かれて心持っていかれますね。
(両下手で引きつけられ、腰を落とされての一気の寄りで土俵際へ。)
印象的で覚えやすいサビメロは、これまでに自身が聴いてきた名曲のエッセンスが走馬灯のように駆け巡りながら熱く歌い上げられます。
(何とか粘ろうと土俵際で柳腰で残そうとするも、そのまま浴びせ倒しで完敗です。)
THE FERRYMEN 「One More River to Cross」
アルバム概要
2022年1月21日リリースの3枚目のアルバム。
THE FERRYMEN(ザ・フェリーメン)は2016年に結成。
PRIMAL FEARのマグナス・カールソン(ギター)、RAINBOWのロニー・ロメロ(ヴォーカル)、元RAGE/元MASTERPLAN/イングヴェイのバンドでもプレイしたマイク・テラーナ(ドラムス)によるプロジェクト・バンド。
2017年に「THE FERRYMEN」、2019年に「A NEW EVIL」の2枚のアルバムをリリースしています。
中心メンバーのマグナス・カールソンはこれまでに数えきれない程の作品に参加してきていますが、個人的に最高傑作と位置付けているのは2005年にリリースされたALLEN・LANDE「THE BATTLE」。
私の少ない経験値の中でしかありませんが、いまだにこのアルバムを超えるような同系統のメロディアス・ハードロック作品には出会えていません。
話を戻して、本作THE FERRYMENの「ONE MORE RIVER TO CROSS」ですが、巨匠マグナス・カールソンのソングライティングは安定の境地。
オーソドックスなメロディアス・ハードロックながらもドラマティック性に富んだ楽曲が、贅沢に展開されるアルバムです。
過去2作に比べても、よりヘヴィに味付けされた楽曲、思い切りシンフォニックに振り切った楽曲など、新たな試み、あくなき進化へ挑戦し続ける姿勢が見られます。
まさにタイトルの「ONE MORE RIVER TO CROSS」“越えるべきもうひとつの川” ~変化を起こすための勇気と強さ~を感じますね。
おすすめ曲
One Word
相変わらず、マイク・テラーナのドラミングは激熱そのものですね。
オープニングを飾るには余りあるヴォルテージのエネルギッシュな楽曲で、一気にアルバムに対する期待感が高まります!。
PVの演者が男性ではなく女性ボクサーであるところがミソですね。
ややもすると硬質で漢臭さだけでむせてしまうようなロニー・ロメロの声質イメージを、絶妙に中和させメロディアスな楽曲イメージを保ちながらパワフルさを表現することに寄与しているように感じます。
The Last Wave
続く2曲目は一転して哀愁溢れる叙情的な楽曲が続きます。
ロニー・ロメロの灰汁の強いヴォーカルで表現するには正直限界を感じつつも、メロディの美しさが見事に埋め合わせしながら全体の完成度を整えている印象です。
とは言え、さすがに高音域でも一切出力の落ちないパワフル・エンジンを備えたヴォーカルは圧巻。
マグナス・カールソンのギターソロとともに聴き応え十分のお腹一杯楽曲と言えるでしょう。
The Last Ship
前述の ALLEN・LANDEを髣髴とさせる楽曲。
どうしてもこの手の楽曲に弱い、いつまでたっても嗜好がアップデートされない私です…。
印象的なメロディでスピード感十分に疾走するイントロ。
本来は、本作での新たな試みを感じさせる「よりヘヴィに振った楽曲」等を掲載したいところですが、ここは個人的な好みを優先させて頂きました。
「THE FERRYMEN」自身の好みのフックに引っかかった方は、是非アルバムを通して堪能頂きたいと思います。
Battle Beast 「Circus of Doom」
アルバム概要
2022年1月21日リリースの6枚目のアルバム。
Battle Beastは2005年結成のヘヴィメタル大国フィンランドが誇るメロディック・パワーメタル・バンドですね。
2011年のデビューアルバムでは、80年代リアル世代にとってはタマランチ会長な「コテコテメタル」を展開しており、個人的には大注目のバンドでした。
しかし、デビュー後間もなくしてヴォーカルのニッテ・ヴァロが脱退、新たに加わったのが現在のヴォーカル「ノーラ・ロウヒモ」。
もはや、多くを語る必要はありませんね…。
女性というよりは、人間離れした圧倒的パワーと声量、歌唱力を持つビースト(失礼…)。
やはり、この位「体格」的にもワールドクラスでないと世界では戦えないのかも知れません…。
その後、「ビースト」を擁したバンドは2nd、3rdアルバムと順調に新譜をリリースし、本国フィンランドでしっかりと地盤固めが整いつつありました。
ところがどっこい、3rdアルバムリリース後に何とバンドの中枢であったアントン・カバネンがまさかの離脱。
「終わったな…。Battle Beast…。」
ネガティブ&短気な思考が脳内を支配し、蛍の光のメロディが遠くの方から聞こえてきました。
しかしながら、そんなイジケたにわかファンの諦めムードも何のその、不屈のビースト魂で4th、5thと試行錯誤を重ねながらも良質作品をリリースできる地力を証明。
本作6枚目のアルバムでは、バンドとしての完成形とも言えるヘヴィさとキャッチーさを兼ね備えたドラマティック・パワーメタル楽曲がひしめき合いながら、いよいよ世界市場への侵略を虎視眈々と狙っているかのようです。
おすすめ曲
Wings of Light
個人的にBattle Beastに求める音楽性とは異なるイメージのオープニング曲で意表を突かれた本作。
「安心してください、Battle Beast節は健在ですよ。」
と自分に言ってあげたくなる「どストライク」の2曲目。
安定の快感リフ~気合いの咆哮シャウト~勿体付けずに印象的なサビに突っ込んでいくわかりやすさ。
切れ味のあるギターソロもあいまって、これ以上無い満足感が得られる楽曲ですね。
特にラストのギターソロは魔貫光殺砲のごとく、スピード、破壊力が抜群です。
Master of Illusion
これまた個人的Battle Beast概念を良い意味で覆された、意外性の山倉楽曲。
従来からビートを前面に打ち出した楽曲作りは持ち味の一つでしたが、よりモダンでヘヴィに進化させたダンサブルな本曲は一皮むけたアダルトな落ち着きで魅了されます。
ノーラ・ロウヒモのヴィジュアル的な「大物感」に相応しい、スケールの大きな大仰ささえ感じる楽曲ですね。
Russian Roulette
凄い楽曲が登場してきました。
いやぁ~、これは凄い。
個人的にBattle Beastに求める音楽性の、更に遥か上を飛び超えていく斬新さ。
もはや次世代型メタルと言っても良いでしょう。
パワー一辺倒のゴリ押しスタイルと思われがちなノーラ・ロウヒモのヴォーカルスタイルも、本曲では見事に化けていますね。
それにしても、怖いもの知らずの革新的な挑戦があまりに清々しく、嫌なことも一瞬で忘れることができそうな自由感に溢れた楽曲。
まるでディズニーランドにいるかのような感覚になれるエンターテインメント性あるバンドですね。
The Road to Avalon
本当にどの曲をとってみても完成度が高く粒揃いなので、どの曲をピックアップしようか迷うアルバムです。
困ったときは読者の皆様を意識せずに、「自分の嗜好に正直に」をモットーとしておりますので、こちらの楽曲になりました。
へたすると80年代の歌謡曲にも聴こえるくらいに聴き慣れた感のあるイントロのフレーズ。
ヴォーカルのメロディラインもオーソドックス過ぎるほど想定内で、歌う歌詞もクサイと言われそうなポジティヴさ加減。
その上で、音楽性はあくまでも正統派で叙情的なメロディアスという、名付けて「できすぎ君楽曲」です。
Praying Mantis 「Katharsis」
アルバム概要
2022年1月28日リリース、約4年ぶりの12枚目アルバムです。
愛してやまない我らが「Praying Mantis」の新譜については、下記の単独記事でレビューしています。
どうかご覧ださい。
NORTHTALE 「ETERNAL FLAME」
アルバム概要
2022年1月26日に日本盤がリリースとなった2枚目のアルバム。
NORTHTALEは2017年結成の多国籍メンバーが集結したメロディック・パワーメタル・バンドです。
中心メンバー(ギター)でありメイン・ソングライターのBill HudsonがU.D.O.在籍時から副業的に始動していたプロジェクトが、いつの間にやら本業となった感じですかね。
当初はバンド名もなくファン公募によって「NORTHTALE」というバンド名を決定。
2019年にデビューアルバム「Welcome to Paradise」をリリースしています。
このアルバムは彼らの標榜するメロディック・パワーメタルに軸足を置きつつ、どこか80年代臭さを感じるコテコテ感もあり、個人的には要注目バンドとして位置付けていました。
デビュー作でヴォーカルを務めたスウェーデンのChristian Erikssonに代わり、本作ではブラジル人ヴォーカリストのGuilherme Hiroseが新たに加入し、より表現力を重視した歌唱でバンドのポテンシャルを最大限に引き上げている感じです。
前作デビューアルバムと同様に、Bill Hudsonの創り出す楽曲はどれもが日本人との相性が良い流麗でメロディアスな旋律となっています。
それにしても一体この人の脳ミソはどうなっちゃってんの?と思う位に、よくもまぁ次から次へと休む暇なく美しくテクニカルなフレーズを弾きまくっていますね。
そしてそんなBill Hudsonを気持ちよくプレイさせることに一役買っているのが、元イングヴェイ・マルムスティーンの屋台骨として長年叩いていたスウェーデン人ドラマーのPatrick Johansson。
まるで高速クルーズコントロールを効かせたドライブのように、一寸の乱れもなく安定感別群で高速プレイで巡航していきます。
そんな彼が一番好きなバンドは、意外にも「KISS」であることは有名ですね。
そして、本作における忘れてはいけないトピックと言えば、Tom & Jellyじゃなかった、Tim & Kai のHansen親子のゲスト参加です。
アルバム3曲目に収録の「Future Calls」で、親父がヴォーカルで、息子はギターで参加しているようです。
おすすめ曲
Only Human
アルバムのオープニングを飾る「待たせたな」楽曲。
良い意味で、変わってなくて安心の音楽性ですね。
鬼の安定感を誇るドラミングWAVEの上を、気持ち良さげにギターとヴォーカルがライディングしていってます。
新ヴォーカルの Guilherme Hiroseの声質も、前任の Christian Erikssonとさほどの大きな違いはなく、この手の音楽性にはピッタリとマッチするお約束、想定内のものですね。
個人的な印象では、前任の Christian Erikssonの方がスケールの大きさ、パワー感があったように思います。
一方で、後任の Guilherme Hiroseにも非常に丁寧に感情表現豊かに歌い上げるという良さがあるように感じました。
本作でも、日本のマーケットを意識した(と思いたい)究極キャッチー&テクニカルなNORTHTALE WORLDが展開されることを十分に期待させる圧巻のオープニング曲です。
Future Calls
アルバム3曲目に収録の Hansen親子が参加の楽曲。
そう言われてみれば、って感じで懐かしい Kai Hansenの声が聴きとれますね。
HELLOWEEN、GAMMA RAY好きには悶絶昇天クラスの楽曲です。
ギターソロの前の荘厳で劇的な展開~ハモリのダブルテイクで叙情性を表現した息子Timのギターソロもなかなかに良いじゃあーりませんか。
Nature’s Revenge
アルバム終盤11曲目に収録の本作のクライマックスとなる11分を超える長大作です。
イントロの勿体付けソロ&古典リフで、あっけなくコテンとやられちゃうパターン。
叙情的かつサビメロは親しみやすくキャッチーな味付け。
中盤からは目まぐるしい曲展開でまるで映画を見ているかのような場面転換の連続。
いやいや、もはや違う楽曲になっちゃってるだろと、突っ込みも入りそうな一旦のブレイクを空けてからの再びの展開など、やりたい放題状態です。
とにかく本作は、Bill Hudsonのやりたかったことを全てやり遂げるといった意思の強さみたいなものが、各楽曲を通じてひしひしと感じられます。
スピードを追求するがゆえの犠牲として失われがちな「ヘヴィ感」に拘った楽曲。
よりシンフォニックで劇場感溢れる大仰なもの。
そしてデス・ヴォイスのような咆哮ヴォーカルも一部取り入れられているかと思えば。
ブラジルの民族音楽のような望郷感あふれるメロディラインなどなど。
まさに長崎ちゃんぽん、リンガーハット状態ですね。
でも、そこが飽きずにアルバムを通して全曲楽しめる NORTHTALE 最大の魅力です。
SCORPIONS 「Rock Believer」
アルバム概要
2022年2月25日リリース、約7年ぶりとなる19枚目アルバムです。
ドラムスにミッキー・ディーを迎え入れ、デビュー50周年となる節目のアルバムとして満を持して放たれた破壊力抜群の名盤。
大御所の記念すべき大名盤は、下記の単独記事でレビューさせていただきました。
どうかご覧ださい。
HIBRIA 「ME7AMORPHOSIS」
アルバム概要
2022年2月23日リリース(日本盤)の7枚目アルバム。
実は、私がHIBRIAを知ったのは昨年末のこと。
今年は「寅年」ということで「寅」にちなんだ楽曲をまとめた特集記事を書いてみようとあれこれ探していた時に、偶然「Tiger Punch」に出会い琴線を鷲掴みされました。
しかしながら、出会ったのが遅過ぎまして既にバンドは相次ぐメンバーチェンジでもはや「違うバンド?」と化した後でした。
その為、その後の後追い活動になかなか腰が入らず情報のアップデートがされていませんでした。
2ndアルバム以降の作品を未だ聴けてないので偉そうなことは全く言えませんが、本作も狂人的なテクニックでひたすら爆走している印象です。
更に、今作では新メンバーの若手テクニシャンに加えて、一部の楽曲では旧メンバーもゲスト参加しており、新旧入り乱れての強力無比な内容になっています。
おすすめ曲
Shine
アルバム2曲目に収録の哀愁感たっぷりの楽曲。
相変わらずの「テクニカルRIOT」ぶりですね。
MVでバッド・ニュース・アレンがいきなり登場した時は焦りましたが、ハイトーンも力強く伸びていくなかなかのパワフルさです。
ユーリ・サンソンほどの透明感はありませんが、逆に泥臭く濁った凄みもあり楽曲によっては威力を発揮しそうな声質ですね。
中盤で勢いよく良い感じで突っ込んできたギターソロですが(テクニシャンなのは十分解っているので)個人的にはもう少し泣きのフレーズが欲しかったかなというのが正直なところ。
最近、この手の速弾きフレーズは少々聴き飽きた感がでてきました…。
Meaning of Life
3曲目に収録の心洗われるバラード曲。
猪突猛進のスピードチューンだけでなく、じっくり、しっとりと聴かせる楽曲もできちゃうところにこのバンドの懐の深さ、地力の違いを見せつけらますね。
こういう曲でのギターは余計なことは一切せずに、曲調に合わせた心地よいトーンとフレーズだけに徹する姿勢が好感度アップにつながると思います。
なんでもかんでもタッピング、速弾きすれば良いってもんじゃないですよね。
心に余裕を持ったプレイぶりで安心しました。
Skyline of the Soul
アルバム7曲目に収録の正統派ヘヴィメタルに新たなエッセンスを注入した楽曲が大好きです。
ギミックの施されたヴォーカル。
もはやキーボードにしか聴こえないギタータッピング。
そして、マシーンのように冷酷にただ正確なリズムを刻むことに徹するドラム。
まだ若干20歳と若いドラマーなのに、臭いおかずで自己主張なんぞせずにあえて封印しているところが「本物」の証。
ギターソロでの変化の付け方も渋いですね~。
無駄な速弾きだけに走らない練られたフレーズ展開がお見事です。
Tribal Mark
アルバム終盤9曲目の収録。
この曲でヴォーカルのユーリ・サンソン、ギターのディエゴ・カスペル、レナート・オソリオの元HIBRIAのメンバー3人がゲスト参加しています。
う~ん、マンダム。
と思わず唸ってしまうようなドラマティックなイントロからの展開。
格好良過ぎです。
FIND ME 「Lightning in a Bottle」
アルバム概要
2022年3月11日リリースの4枚目のアルバム。
FIND MEは、上質メロディアス・ハードロック党が絶対的信頼を寄せる「北欧スェーデン」のバンド(プロジェクト)。
上質メロハーの何たるかを熟知したソングライター兼プロデューサー(兼ドラマーでもある)のダニエル・フローレスと、上質メロハーを歌うために産まれてきたような声質のヴォーカリストロビー・ラ・ブランク。
2人の才能が上手いことコラボレーションしたプロジェクトですね。
2013年にアルバム「Wings of Love」でセンセーショナルなデビューを果たし、以降一貫してメロハー党が泣いて喜ぶ内容のアルバムをリリースしてくれました。
本作においてもその凄まじいほどの安定感は健在。
同じ北欧勢の「WORK OF ART」や「W.E.T.」、アメリカ勢ではあるものの同じ匂いがプンプンする「THE STORM」辺りを好む人には間違いなくマッチングするおすすめアルバムです。
おすすめ曲
Survive
一応書いておきますが、ヴォーカルはデイヴ・スペクターではありませんので、念のため。
ヴォーカルのロビー・ラ・ブランクはMVで見る限り、ダジャレ好きなコメンテーターにしか見えませんが…。
その艶のある声質や驚愕の高音域の伸びなど「人は見かけによらないわね」と奥様方の噂になってしまいそうな歌唱を魅せています。
そして、さすがはフロンティア・レコード 斡旋のベテラン職人ギタリストが、これまたそつなく渋いソロをキメていますね。
Far from Over
この曲、どっかで聴いたことあるなぁ?、というお歴々も多いのではないでしょうか。
それもその筈、こちらは映画「Staying Alive」テーマ曲のカヴァーですね。
1977年の「サタデー・ナイト・フィーバー」の続編として、シルヴェスター・スタローンが監督を務めた作品。
ハードロック調にアレンジされた本曲は、原曲をも凌ぐ素晴らしい完成度と言えます。
ご参考までに原曲も貼っておきましょう。
Diana
ありがちといえば、ありがちな哀愁溢れる極上メロハー。
わかっちゃいるけど、やめられないとまらないのがメロハー党の悲しい性。
リスナーを一撃必殺するメロハー仕事人ダニエル・フローレスの必勝パターン沼に、自ら進んではまっていく己の不甲斐なさ、進歩の無さに自己嫌悪すら覚えます。
とかなんとか言いつつ、全11トラック全てに陶酔して聴き惚れてしまうアル中のような私なのでした。
Ronnie Atkins 「Make It Count」
アルバム概要
丁度2年前の2020年秋にステージ4の肺癌あることを公表し、闘病しながら不屈の精神で2021年3月にソロアルバム「One Shot」をリリースした Pretty Maids のヴォーカリスト Ronnie Atkins 。
本作はそんな「時間との戦いを続ける」Ronnie Atkinsが2022年3月18日にリリースした2枚目のソロアルバム「Make It Count」です。
前作と同様に、新旧の Pretty Maids のメンバーはじめ数多くの仲間がサポートしての胸熱作品。
残された限られた時間という当人にしかわからない重圧を冷静に受け止め、夢を持って生き続けることの大切さをアルバムを通して体現してくれている姿勢に、涙無しには聴けないアルバムです。
前作「One Shot」も我々に勇気と感動を与えてくれるものでした。
本作はそれ以上にRonnie Atkinsが標榜する「メロディアス・ハードロック」に拘った楽曲が揃えられていますね。
本作に対して私ごときの駄文能書きは一切不要。
Ronnie Atkinsの顔面に深く刻まれた一本一本のしわ同様に、深みのある楽曲が彼の人生そのものを物語るように聴く者の心に刻まれてきます。
おすすめ曲
I’ve Hurt Myself (By Hurting You)
気合の入ったオープニング~シングルカット曲だけあって、期待を裏切らない安定の完成度ですね。
爽快ハードロック感が増し増しのてんこ盛り状態で、ライヴでの大合唱が目に浮かぶようです。
終盤のギターソロもメロディ重視の美しい構成で、さすがわかっていらっしゃいますね。
そうです、余計なテクニックとか要らないんですよね、楽曲が良い時は。
Unsung Heroes
続く2曲目もエネルギッシュ感が滲み出て来るような勇気を与えてくれる楽曲。
サビメロに向けての盛り上げ~コーラスも参戦しての分厚く力強いサビメロに全身がゾクゾクしちゃいますね。
これは、個人的には2022年FIFAワールドカップ・カタール大会に出場するデンマーク代表の「テーマ曲」にすべき楽曲のように思います。
因みにRonnie Atkinsの母国デンマークのサッカー代表は、2022サッカー・ワールドカップ予選8試合を無失点全勝で通過!。
かつてのピーター・シュマイケルやラウドルップ兄弟を擁した黄金期のような活躍を期待できますね。
Rising Tide
個人的には本作最高楽曲です。
タイトな引き締まりビルドアップされた肉体美を思わせるような疾走チューン。
極上のメロディアスな楽曲を、Ronnie Atkinsが持てる限りのヴォーカル・テクニックの全てを駆使して歌い上げているので、聴く側としてもそれなりの臨戦態勢が求められますね。
本作の大きな特徴であるコーラスのミルフィーユ戦法により、サビメロの分厚さが尋常でなくヘッドフォンからそのまま全身を吸引されてしまいそうな感覚に。
ここぞとばかりにギターソロも息を止めて弾きまくり、そのままラストを迎えるという圧巻の神曲。
こ、これは、独断と偏見で勝手に選ぶ「2022年の年間ベスト曲入り」の予感しかしません。
Make It Count
ラストに収録のタイトル楽曲。
イントロから切なすぎるピアノメロディ~そして更にその上をゆく切ないヴォーカルがエモ過ぎますね。
これはもう涙無くしてはとても聴くことはできません…。
それにしても、顔中に深くしわを刻んだこの男。
本当に格好良い、渋い男ですねぇ~、惚れ惚れしちゃいます。
そして、ギターソロがこれまた渋い、渋過ぎますね。
これまた「年間ベスト曲入り?」って、何曲枠があっても足りません…。
Michael Romeo 「War of the Worlds, Pt. 2」
アルバム概要
アメリカ産プログレッシブ・メタルバンド「Symphony X」を率いるギタリストのマイケル・ロメオ。
2022年3月23日リリースの約4年ぶりとなる通算3枚目のソロアルバム「War of the Worlds, Pt. 2」です。
前作の「War of the Worlds, Pt. 1」の続編となる本作のテーマは「宇宙戦争」。
スターウォーズ大好きのロメオらしい、楽曲を聴きながら近未来の世界観に没入していくイメージの非常に作り込まれた仕上がりとなっていますね。
アルバム全体の印象はPt.1に比べてより硬質化した印象。
特に個人的にはジョン・”JD“・ディサルヴォ(ベース)のプレイがかなり効いていて、凄みのあるヘヴィさがアルバム全編を通して制圧しているように感じます。
更に特筆すべきはヴォーカルのディノ・ジェルーシック。
ラッセル・アレンを想起せざるを得ないワイルドさを保ったままハイトーンまで持っていく歌唱はパワフルそのもの。
WHITESNAKEのキーボードをやらせておくのは本当に勿体ない(と言っては白蛇に失礼か…)ヴォーカリストとしての力量を発揮しています。
そして主役のマイケル・ロメオ先生は、もはや言わずもがな、安定の弾きまくり大会。
クラシカルだけど決して小難しく聴かせないメロディアスなフレーズがこの大先生の真骨頂。
私のような単細胞素人の耳にも優しいギタープレイにいつも感謝感激です。
おすすめ曲
Divide & Conquer
恐るべしキーボーディスト「ディノ・ジェルーシック」。
絶対ヴォーカルで飯食っていった方が良いですよね、と素人無勢が余計なお世話状態になってしまいます。
いやぁ~、格好良い!。
そして忘れてはならない主役。
本曲で聴けるマイケル・ロメオのギターソロはまるで、「どうだお前ら、これを待ってたんだろ!」「うぉら-、くらえっ!」と言わんばかりのメロディアスフレーズの連発でお腹一杯になれますね。
私のような音楽的知見の乏しい底辺リスナーでも「美しさ」を実感できるホスピタリティ溢れる流麗なプレイに感謝しかありません。
Metamorphosis
超絶格好良いイントロのリフに続きタイトなドラムがタメ感十分にスネアを引っ叩く、個人的には本作最高楽曲。
無理に走らずともスピード感を十分に感じさせる楽曲作りの妙技もまた、マイケル・ロメオ大先生の十八番と言えますね。
無論、呼応するリズム隊の力量が問われる訳ですが、難なくこなす地力を魅せつけています。
Hybrids
ミステリアスなミドルテンポで進行する張りつめた空気感に引き寄せられますね~。
ベースの変則的なメロディラインも緊張感をより増幅させてます。
ホント、本作のベースの存在感は凄く効いていて思わずメロディを追ってしまいがちとなり、個人的にはマイケル・ロメオのギタープレイを喰ってしまっている程に印象的です。
TREAT 「THE ENDGAME」
アルバム概要
スウェーデンのメロディアス・ハード・バンド「TREAT」が2022年4月8日にリリースした通算9枚目のアルバム。
前作「TUNGUSKA」から約3年半振りとなる待望の新作。
メロハーファンの期待を一身に背負っての堂々のリリースにはホントに心の底から感謝感激です。
それにしても、2006年に再結成後、これまでにリリースしてきた3枚のアルバムで本当にクオリティの高い名盤を立て続けに輩出してきたTREAT。
解散前の彼らを「前期」と呼ぶとすれば、前期の5枚のアルバムはどうも腰が入っていないと言いますか、軸足の定まらない不安定状態でリスナーへの刺さりが弱かったように感じます。
唯一4枚目のこの曲だけはグッときましたが…。
しかしながら、再結成後の「後期」の彼らは一気に覚醒しましたねぇ~。
再結成ってあまり成功して長続きするイメージが無いのですが、彼らの場合は違いました。
「後期」のアルバムはどれを取ってみても捨て曲無しの粒ぞろいのメロディアスな楽曲が詰め込まれていて、本当に「捨て曲なし」とはこのこと。
そして、メロディ重視の姿勢を貫きつつも最も強烈に感じるのは「シーンの潮流を上手く取り入れながら」楽曲・サウンド作りがなされている点。
というほど現在(いま)のシーンを自身が抑えられているのか?甚だ疑問ではありますが…。
(ちょっと古いかもしれませんが)私が感じる「現在(いま)風のエッセンスを感じるメロディ、サウンド」が随所に存在していることは確かです。
かつて、ドイツの雄SCORPIONSが絶妙な調合の仕方でアメリカ市場への対応を図っていましたね。
北欧スウェーデンのTREATもマーケットの潮流を嗅ぎ分ける嗅覚を研ぎ澄ましつつあるような気がしてなりません。
おすすめ曲
Freudian Slip
このオープニング曲が本作も期待に違わぬ出来栄えのアルバムであることを伝えてくれていますね。
ヴォーカルの歌い出しのメロディ、サビでの開放感などは、SCORPIONSの新作を想起させるかのように聴こえたりします。
これは、前述の「マーケットの潮流を嗅ぎ分ける鋭い嗅覚」による類似の方法論?。
というか、楽曲作りやサウンドメイクのアプローチの仕方が現代風になっている証左ではないかと勝手に解釈しています。
ギターソロも実にクール&スマートですね。
頑張り過ぎないというか、決して熱量は感じさせないけどキチンとやることはやってますみたいな。
Rabbit Hole
続くアルバム2曲目はミドルテンポのオーソドックスなハードロック。
これまたサビメロに「現代風」を感じてしまうのは、自信が「現代コンプレックス」に罹患状態からなのでしょうか。
メロディラインがやや単調な印象のためか、ギターソロはよく練られたフレーズを展開し印象的なものに仕上げていますね。
Sinbiosis
いやはや、この辺りになるともはや「ONE OK ROCK」に聴こえてしまうのは私だけなのでようか。
普通にTVCMで使われてそうな感覚の洗練された楽曲ですね。
Home Of The Brave
恐らく本作における最高楽曲と言って良いでしょう。
見事なスケール感と哀愁メロディ、流麗なコーラスによるケチの付けようのない鉄板曲。
もはやTREATにとって北欧云々のくだりの議論は無意味となりましたね。
これは現代におけるメロディアス・ハードロックの最新アップデート版とでも言いましょうか。
ヘヴィさは要らないので、ちょっとポップな聴きやすい上質のメロディアス・ハードロックを聴きたい時には真っ先におすすめしたい名盤です。
このままでは全曲レビューしなくてはならなくなりそうなので、この辺でやめときます…。
「とにかく素晴らしいアルバムです!」
THUNDER 「DOPAMINE」
アルバム概要
2021年に傑作の「ALL THE RIGHT NOISES」をリリースしたばかりの英国正統派ハードロック・バンド THUNDER が2022年4月29日にリリースした最新作アルバム「DOPAMINE」。
しかも何と! 全16曲構成の2枚組アルバムという大盤振る舞い。
いや~、恐るべし中年パワー、もう脂ギッシュでテカテカって感じで勢力的ですね。
それにしてもタイトル「ドーパミン」ってTV番組の健康特集なんかで良く耳にする物質名ですし、ジャケットのスキンヘッドの女性も気になって仕方がありませんね。
何やら「ドーパミン」は中枢神経系に存在する伝達物質で「快=幸福感」や「学習などの意欲・記憶」等に関係するようです(超適当な個人的理解)。
バンドが伝えたかった意味合いは、コロナ禍でリアルでの関係性が減りSNS等のメディアに依存する人々が「快=幸福感」を求めて自分を見失いがちになっている事への警鐘のようですね。
ファンボタンでの評価(=快)欲しさに自己陶酔がエスカレートし続けて遂にはスキンヘッドにまでしてしまうなんて…。
そんな風刺的なニュアンスが込められたジャケット。
現実を直視して周囲にリアルに存在する物から快=幸福感を得てみないかという提案。
すなわちアルバムを手にして曲を聴きながらジャケットデザインをじっくりと眺めてみるという行為。
かつては当たり前だったライフスタイルへの回帰も良いものだよ!というベテランバンドならではの示唆のように感じます。
今回、全20曲あった楽曲を最終的に16曲まで絞り込んだようですが、収録されたどの曲をとっても上質のブリティッシュ・ロックを楽しめるクオリティの高さを誇っていますね。
恐らく楽曲を絞り込む作業は困難を極めたでしょうし、惜しくも落選となった楽曲もまた上質のものであったに違いありません。
そういった意味では、既に次作に向けて4曲は仕上がっているという状態なのかも知れず、恐ろしい創造性を秘めたバンドです。
おすすめ曲
The Western Sky
シンプルながら年季の入った渋いトーンのリフで幕を開ける本作のオープニング曲。
これまた刹那的な快楽を皮肉った内容と受け取れる楽曲ですが、メロディは決して刺々しくなくあくまでどこか朴訥とした感じもするTHUNDER節で処理されていますね。
そして相変わらず抜けの良いスネアの音が最高です!。
The Dead City
disc-1の6曲目に収録の軽快で心地よいなロックチューン。
ベテランならではの落ち着きと安心して聴ける展開の安定感が魅力。
ギターソロも派手さこそないものの渋いフレーズで聴かせるプレイに徹した温故知新的な楽曲ですね。
Dancing In The Sunshine
disc-2の1曲目に収録のシンプルなノリの良いロック&ロール曲。
コロナ禍での行動規制に鬱憤の溜まった生活を解放して、太陽の光の下で踊ろうぜということでしょうか。
今回のアルバムテーマに基づく曲調とは言え、本曲のようなTHUNDERにしては湿度の低い乾燥したオーソドックスなロック曲が多い作品ですね。
とにかく全16曲の聴き応え十分な作品ですから、あまり捻り過ぎても聴く方は飽きてしまうかも知れないので正解だと思います。
Across The Nation
disc-2の3曲目。
disc-1のオープニング曲と似た世界観の曲調で、歯切れの良いシンプルなリフを軸に淡々と楽曲が進行していくカジュアル感が嬉しいですね。
ブリティッシュ・ロックの真髄を熟知したベテランバンドによる安定の境地。
そんな上質で贅沢なクオリティの楽曲を通じて、簡単に国境を越え意思疎通ができる喜びを再認識できますね。
Def Leppard 「Diamond Star Halos」
アルバム概要
2022年5月27日リリースのデフ・レパードの通算12枚目のアルバム『ダイアモンド・スター・ヘイローズ』。
2015年リリースの前作『デフ・レパード』以来となる7年ぶりの新作ですね。
メンバーは不動のジョー・エリオット(ヴォーカル)、フィル・コリン(ギター)、ヴィヴィアン・キャンベル(ギター)、リック・サヴェージ(ベース)、リック・アレン(ドラムス)の黄金布陣。
およそ2年間の時間をかけて、物理的に離れたアイルランド、イギリス、アメリカという3か国の場所でのレコーディング作業となったようです。
本当に技術の進化はアルバムのレコーディング手法をもボーダーレス化していますね。
アルバム内容は、これまた一切のしがらみや制約を感じさせない自由な開放感に溢れています。
後日、「元々アルバムを作る気は無かった」とまで本音を述懐してしまっている通り、必要に迫られていたわけでも創作意欲に燃えていたわけでもない状態。
あくまでバンドの自然体での産物というだけあって変な気負いや試行錯誤感もなく、今自分達がやりたいことを自由にやったという余裕が感じられます。
そんな自由なムードが、逆に作品の内容充実度を高め、厚みをもたらしているようにも感じる程です。
しかしながら、かつてのお化けアルバムで聴かせたような極限まで研ぎ澄まされた楽曲クオリティ、サウンドは当然ここにはありません。
あくまで現時点でのバンドとしての表現方法によるシンプルで純粋なロックアルバムというのが本作の立ち位置。
特にジョー・エリオットのヴォーカリストとしての表現力をあくまで追求する姿勢が素晴らしいです。
エフェクトに頼らず淡々とリズムを刻んでいくリック・アレンのドラムも印象的。
そして、さらに特筆すべきはジャケットデザイン。
オランダのロック写真家「アントン・コービン」によるインパクト絶大なデザインですね。
ややもすると「ありがち」な「目のデザイン」に一度見たら絶対に忘れない強烈なシンボリック性を持たせていますね。
デラックス版とノーマル版でデザインを変えているのも購買動機を刺激するナイスアイデアです。
おすすめ曲
TAKE WHAT YOU WANT
アルバムを通じて厚みのあるギターサウンドがグルーヴ感を伴って展開される本作。
決してこねくり回すことなくシンプルなリフに流麗かつキャッチーで印象的なメロディを乗せていく楽曲作りは健在ですね。
かつてのお化けアルバムが厚化粧気味の作られた感のあるサウンドとするならば、現在の彼らは素材の良さを最大限に引き出すすっぴん勝負の正攻法。
そして、決して誰かがエゴをむき出しての個人プレイに走ることはない、綺麗なペンタゴン状態が堅持されているのがこのバンドの何よりの強みですね。
オープニングのこの曲を聴いただけでもデフ・レパードというバンドの安定感、長寿の秘訣を改めて納得させられます。
KICK
先行公開されていたアルバム2曲目のこれぞデフ・レパード曲。
早速のライブ映像で元気な姿が配信されているように、やはりバンドはライブで聴かせてなんぼという原点回帰を思わせる直球のハードロックが心地よいですね。
自信と貫禄に満ちたステージングから放出されるエネルギー量が半端ないです。
THIS GUITAR
4曲目に収録の悶絶級の哀愁楽曲。
リチャード・マークスをはじめ、ケニー・ロギンス、アン・ウィルソンなど数多のアーティストとのコラボレーションで知られる「アリソン・クラウス」が天使の歌声を披露しています。
まるでEAGLESを聴いているかのような錯覚に陥る望郷感満載のギターサウンド。
そして日常の喧噪を忘れさせてくれる「アリソン・クラウス」の優しく透明感のあるヴォーカルに癒されます。
全ての高血圧気味のメタラーにおすすめしたい、心静まる降圧剤楽曲です。
SOS EMERGENCY
個人的アルバム最高楽曲。
ミドルテンポのシンプルでノリの良いキャッチーな楽曲作りは最早職人芸の域ですね。
サウンドメイクをいじくってギターソロを練り上げながらて少し展開でもさせたら、往年のお化けアルバムに収録の楽曲達に肩を並べそうなポテンシャルを感じます。
リック・アレンのシンプルながら効果的におかずを刻むドラミングが、楽曲に絶妙なドライブ感を演出していますね。
Michael Schenker Group 「Universal」
アルバム概要
2021年に前作「Immortal」をリリースし、更には日本人女性との結婚の知らせも届いた「神」マイケル・シェンカー。
何とも驚きの翌年2022年5月27日に本作「UNIVERSAL」をリリース~しかも11月には来日公演も果たすという、まさに「神がかり」的な事態となりました。
これもひとえに美しき日本人夫人 Emi さんのおかげかも知れませんね。
本作でも「マイケルと愉快な仲間達」という構図は変わらず、ロニー・ロメロ、ゲイリー・バーデン、マイケル・キスク、ラルフ・シーパースといった豪華ヴォーカリストが参加。
そして、ベースにはボブ・デイズリー、バリー・スパークス、バレンド・クルボワ。
ドラムにはサイモン・フィリップス、ブライアン・ティッシー、ボビー・ロンディネリ、ボド・ショプフなど贅沢三昧の豪華布陣!。
贅沢病と言われる「痛風」になりはしないかと余計な心配をしてしまいます。
あまり”名前”だけで持ち上げるのは好きではない私ですが、さすがにこれだけの面子、とりわけリズム隊の安定感と圧力にはオープニング曲から圧倒されてしまう程に凄まじいですね。
ロニー・ジェイムズ・ディオ(RAINBOW)へのトリビュート曲をマイケル・キスクが歌っていたり、ロニー・ロメロとゲイリー・バーデンがデュエットしていたり。
曲を聴きながら参加ミュージシャンをチェックしてそのパフォーマンスぶりを確認するというファンにとってはこの上ない楽しみ方が可能な作品だと思います。
そしてやはり何と言っても注目は「神」マイケル・シェンカーのギタープレイ。
どうしても「UFO」や「初期MSG」時代の超名曲のフレーズが強烈に脳にインプットされているので、それらを凌駕するような楽曲の創出はなかなか難しいところ。
それらのバイアスが無い状態でこれから聴く人にとってはまた異なったインパクトを与えるのかも知れませんね。
個人的には、本作におけるマイケル・シェンカーのプレイは楽曲としての完成度、展開や流れに最大の重きを置いた印象。
奇をてらったような突出したフレーズはないもののハードロック・ギターの基本が詰め込まれたまるで教則本のようなプレイぶりです。
いずれにしても、かつて「不安定」な状況下で苦しみながら生み出されてきた数多の超名曲とは対照的な、仲間や家族にサポートされた「安定」の境地で創り出される近時の作品。
マイケルのギタープレイにどのような変化として顕われているかを探りながら、聴き比べてみるのも楽しいかもしれません。
おすすめ曲
Emergency
曲名通りの緊張感に満ちたリフとメロディ展開が印象的なオープニング楽曲。
サイモン・フィリップスのドラミングにより、実測を遥かに上回る体感スピードとなっていますね。
ロニー・ロメロ本人にとっては物足りなさもあるかも知れませんが、やや灰汁の強いヴォーカルスタイルに感じる私にとっては、この位の抑え目な歌唱の方が彼本来の良さがより出ているように感じます。
「神」のギターソロは、これから次代を担っていくギター小僧にとっては格好の教則フレーズとなるような手癖の域ですが、残念ながら心に響くものはなくあくまで楽曲としての間奏的位置付けです。
Under Attack
続く2曲目は渋いミドルテンポの湿り気を帯びた楽曲。
この曲のギターソロでは往年のマイケル節を聴くことができますが、然程練り込まれた印象はなくサラッと終わる印象です。
「まだまだこんなもんじゃ無いはず」という、期待値が大きい分どうしても神フレーズを欲しがってしまいます…。
終盤のソロに望みをつなぐも、無情のぶった切りエンディングで撃沈しました…。
A King Has Gone
3曲目の「Calling Baal」が約40秒のイントロ的な位置付けとなっている4曲目で、本作のメイン楽曲ですね。
ここでようやくきましたね。
こりゃぁ凄い楽曲ですね~、久々に聴くTHE HARD ROCKって感じで、この面子だからこそ成し得た風格みたいなものを感じます。
並みのプレイヤーでは只のダサダサに聴こえてしまうようなシンプルな単音リフ、そしてこの曲は相当気合入って弾いてますね感の渾身ソロプレイにマイケルの本気度が窺えます。
最初の一声を聴いただけでそれと解るマイケル・キスクのヴォーカル、ボビー・ロンディネリとボブ・デイズリー、そしてトニー・カレイの元RAINBOWリズム&鍵盤隊。
いやぁ~、よくぞ創ってくれました!。
前述した往年の超名曲にも匹敵、勝るとも劣らない新たな名曲ではあーりませんか!。
ANVIL / IMPACT IS IMMINENT
アルバム概要
2020年リリースの前作「LEGAL AT LAST」から2年の歳月を経て、カナダ産元祖スラッシュ、ヘヴィメタル・バンド「ANVIL」のニューアルバムがリリースされました。
(海外では5月20日、国内盤は6月17日のリリース)
「夢を諦めきれない男たち」の通算19枚目のアルバム「IMPACT IS IMMINENT」。
本作でもトレードマークの「金床(ハンマー台)」が元気に宙を舞っていますね。
苦節40年超、いやぁ~、ブレませんね~、ANVILは。
本作も安定の直球勝負、もはやハンドルがぶっ壊れて真っすぐにしか走れない車のようにひたすら突っ走ってます。
音質の違い(改善)こそあれど、彼らの初期のアルバム楽曲とごちゃまぜシャッフルして本作の楽曲を聴いても、初めて聴く人には識別できないのではと思える程の変わり映えの無さ…。
ドタバタのリズムは代名詞とも言えるすっとこどっこい節。
ギターは技術的進歩を完全に放棄したとも言える開き直りプレイ。
普通のバンドでは絶対にありえないアプローチを逆転発想で頑なに堅持するで、ANVILならではの「味」として確立。
無形重要文化財のような位置付けのバンドですね。
気に入った奴だけついてこい!的な、シーンやマーケットのトレンドに一切迎合しない硬派な姿勢。
ある意味ハードロック、ヘヴィメタルという音楽ジャンルの本質、原点でもあることを再認識させられます。
彼らが老体に鞭打って走り続けていく限り、置いて行かれないようについて行くしかありませんね。
おすすめ曲
Fire Rain
やはりANVILはこうでないといけません。
20世紀感が満載のリフ、短いセンテンスをひたすら連呼する歌詞、「捻り?なんだそれ」のギターソロ、これこそがANVILフリークが求めるものであり、現在では化石的な存在とも言える直球スタイルですね。
Teabag
恐らくリーダーのスティーヴ・クドローは、バンドの新境地と言えるインスト楽曲とご満悦の筈。
曲調的には普通は緊張感がみなぎるシリアスなムードで展開。
テクニカルなギタープレイを披露しまくることを期待させる雰囲気ですが、ANVILにかかればそうは簡単には問屋が卸しません。
キマってそうでキマって無いミュートの甘さがどことなく隙を感じさせ、よせばいいのに能天気な「Teabag~♪」の掛け声が全てをおちゃらけムードにしています。
この、相手にあえて隙を見せて知らぬ間に自らの世界観に引き込んでしまう術こそが、ANVILならではの十八番ですね。
Don’t Look Back
ん?、どっかで聴いたことあるような歌い出し?。
そんな疑念を持たれる方も多そうな程に、鼻歌で思いついた感じを曲にしてみました楽曲。
この即興性もANVILの重要なストロング・ポイントですね。
通常は(思い付きの鼻歌で)曲の骨格イメージを作って、デティールをアレンジしながら練り上げていくのでしょうが、ANVILクラスになると骨格=完成形で終りですね。
実に潔く清々しいではありませんか。
一回書いたテストの答案は絶対に見直さないタイプです。
JOURNEY / FREEDOM
アルバム概要
2011年リリースの前作「ECL1P53(エクリプス)」から実に11年の歳月を経て、アメリカン・ハードロックの大御所JOURNEYの15枚目のニューアルバム「FREEDOM」がリリースされました。
(2022年7月8日リリース)
それにしても、失敗しちゃいました~。
この記事のタイトルは「〇〇おすすめ〇選」とか謳っていますが、実は私あんまりJOURNEYを聴いてこなかったので、他人様におすすめ出来る程のうんちくがありません…。
皆さまにも「何故か縁遠かったバンド」があったりすると思いますが、私にとってのJOURNEYがまさにその類。
今想えば、ギター小僧時代のライバルバンドが妙にJOURNEYをコピーしていて、バンド同士のライバル意識から敢えて避けて聴かなかったのが大きな要因かと思います。
くだらな過ぎます…。
正直に言いますと、つい先日「Don’t Stop Believin’」のベースラインの素晴らしさに今更ながら唸ってしまったレベル。
ったく、どんだけ時間経って気が付いてんだよ!って感じです。
そんなわけで、俄か極まりない私ごときがあれこれ語るのは気が引けますので、最小限にとどめておきます。
全15曲収録というこのアルバムを通して聴いてみて一番印象的なことは、「JOURNEY ってこんなにシンプルでストレートなロックやってるんだ」というものでした。
どうしてもスティーヴ・ペリーの甘く切ない歌唱イメージが強すぎて、正直 JOURNEYらしくない、JOURNEYがやる必要ある曲か?などと余計なお世話的な印象も持ってしまう楽曲もありました。
でも、俄か状態で完全に時計の止まっていた私だけのあくまで特異な印象であり、多くの方々にはこれぞ(今の)JOURNEYという良曲てんこ盛りの傑作なのでしょうね。
いずれにしても曲数が多く楽曲のバリエーションも豊富なので、車載してドライブしながら楽しみたい一枚と言えるでしょう。
お気に入り曲
Don’t Give Up on Us
ん?こ、このイントロは…。
もはや名曲の予感しかしない必勝パターンではあーりませんか!
これは反則級、ヘビロテ必至の楽曲ですね。
それにしても、正直 JOURNEY = スティーヴ・ペリー位に思っていた俄かなので、ヴォーカルがフィリピン出身と聞いて驚きましたね~(おせーよっ!)
今回初めて耳にしまししたが、良きですね~。
まあ、スティーヴ・ペリーに寄せて人選したんでしょうけど、普通に上手いしJOURNEYの楽曲にマッチしていますよね~流石です。
そして、相変わらずニール・ショーンのギターソロはシンプルな長単音からのクシャクシャっとした速弾きという、これまた一聴してそれと解るワンパターンぶりに思わず失笑してしまいました。
Holdin’ On
私の中の JOURNEY 像には無かった意表を突かれたヘヴィロック曲。
このヴォーカルが加わったからこそ可能となった?、バンドとしての表現力が格段に拡がった印象です。
古く錆びついた私の JOURNEY像はもはや海底に沈んだ古代文明のようですので、早々にアップデートしないといつまでたっても浦島太郎状態が続いてしまいそうです。
United We Stand
どうしても過去のJOURNEYしか知らないので、この手の曲に触手が伸びてしまいます。
そして禁句とも言える「この曲、スティーヴ・ペリーが歌ったらどんな感じだろう」との思いが募ります。
それにしてもこのヴォーカル、歌上手いですよね~。
高音の伸びこそスティーヴ・ペリーに敵わないものの、情感豊かに丁寧に歌い上げるヴォーカルスタイルは心静かにその世界観に身を委ねることができます。
HYDRA / POINT BREAK
アルバム概要
“新鋭”と言いつつ”オヤジ集団”「HYDRA」
2022年8月5日リリースのスウェーデンの新鋭メロディアスハード・バンド「HYDRA」のデビューアルバムです。
“新鋭”、”デビューアルバム”と言いつつも「HYDRA」は超ベテランのキャリアを持つ「オヤジ」の集まり。
ソングライターでキーボードやギターを担当する「ヘンリック・ヘッドストローム」と、プロデューサー兼ドラムス(たまにキーボードもやっちゃいますよ)の「ダニエル・フローレス」の2人が中心メンバー。
お世辞にもこの2人の風貌には最早フレッシュ感の微塵も無く、会社で言えば現場叩き上げの部長と課長って感じでしょうか。
楽曲レビュー欄に動画を貼り付けましたが、ヴォーカルとリードギターは「アンディ・クラヴリャカ」が担当しています。
メンバーの中では比較的「若め」ですがそれなりに歳は食っていそう…。
でもこの人のヴォーカル、声質の透明感と歌の上手さ、リードギターもこなすテクニックはかなりのもの。
ホントに失礼ながら、顔出さないで動画作った方が良かったかも?とか思っちゃいます。
そして動画でノリノリでベースを弾いている人は、残念ながらどこの誰だか不明でした…。
ツボを押さえた楽曲が続く上質のメロハーアルバム
アルバムの内容は極上のメロディアス・ハードロック。
「古臭い」の一言で片付けてしまうのは簡単ですが、往年のキャリアを土台とした良い意味で狡猾な楽曲作りは流石ですね。
リスナーの琴線が潜んでいる鉱脈を的確に捉えて、巧妙なメロディライン、叙情性に富んだ透明感あるサビメロなどで刺激してきます。
ジャケットデザインにも軽く触れておきましょう。
いやぁ~、きてますね~このB級感。
チューブの波のTOPにあまりに弱々しく乗っかる小型ボート。
この状況ですと、間違いなくボートは深々とお辞儀をするように垂直に落下し、後ろからの波で船腹を押されて裏返りますね。
ロゴのメタリック感、背景の空と青々とした波のコントラスト描写は申し分ないので、波の上にちょこんと乗せただけのようなこのボートは不要だったかもしれないですね。
でも逆にそこがB級ジャケットの醍醐味でもありますね…。
お気に入り曲
STOP THE MADNESS
オープニングでかましていますね。
ホントに失礼な言い方ですがこの方は「顔に似合わず」透明感と伸びのある声質と音程の安定したヴォーカルを聴かせてくれます。
リードギターもこなしちゃう多彩ぶりを発揮し、このバンドをステップにソロ活動、他バンドの引き抜きを待つといったところでしょうか。(プロなので当然のこと)
そしてやはり中心メンバーと思しきサイドギターとドラムのオヤジ2人が良い味出してますね~。
まるでYoutubeでよくある「昔バンドやってて久々に集まってプレイしてみました」的な風景です。
NO LULLABY
完全にAOR風のPOPS楽曲ですが、ベテランだけあって完成度は高いですね。
TOTOを思わせるようなクリアーなサウンド処理、リチャード・マークス辺りを髣髴とさせるヴォーカルの上手さはB級の域を余裕で超えています。
ANGELA
ソングライター「ヘンリック・ヘッドストローム」って人は、恐らく長い間本曲のような楽曲を作ってきたんでしょうね。
あまりに上手に型にはめた楽曲作りです。
NEVER BE THE SAME
スピード感のある楽曲もそつなくこなしますね~。
透明感のある綺麗なコーラス処理も見事です。
とにかく、このアルバムはこの手の上質ハードポップ楽曲で埋め尽くされているので、どこから再生しても平均的に楽しめる作品なのでした。
OZZY OSBOURNE / Patient Number 9
アルバム概要
豪華ゲストが集結した帝王のアルバム
2022年9月9日リリースのヘヴィメタルの帝王 OZZY OSBOURNE 12枚目のアルバム「Patient Number 9」。
10年ぶりの2020年にリリースとなった前作「Ordinary Man」も Guns N’ Roses のダフ・マッケイガン、スラッシュ、そしてまさかのエルトン・ジョンなどの参加により話題をかっさらっいました。
本作はそれに幾重にも輪を掛けた豪華ゲストが集結!。
先ずプロデューサーには前作に引き続きアンドリュー・ワットを起用。
そして、OZZYの元に集結した信じられない面子の数々…。
極めつけは何と言っても「ジェフ・ベック」「エリック・クラプトン」ですね。
更には、お馴染みの「ザック・ワイルド」「トニー・アイオミ」といった盟友のギタリストも参加しているのがファンにとっては堪りません。
これはヤバ過ぎます。
しかも、年が変わった2023年1月10日にはジェフ・ベックがまさかの急逝してしまうというショッキングな事態となりました。
世界中が悲しんだ辛い出来事ですが、恐らく本作が最後の参加作品となってしまったのでは思います。
最早、ヘヴィメタル云々の枠を完全に取っ払ったロック界の銀河系軍団とも言うべきよだれが出そうな豪華布陣で作成された歴史的作品ですね。
更なる悲報!OZZYがツアーからの引退を発表
歴史的ニューアルバムというこれ以上ないファンへのプレゼントを与えてくれたOZZYでしたが、一方で2023年2月には悲しい知らせが届くことに…。
4年前に起こしたバイク事故による背骨の後遺症や持病の状況から、長距離移動を伴うライブツアーからの引退を表明。
帝王と言えども、既に御歳74歳。
今後は国内の近距離移動可能な会場でのライブに限定されそうですが、可能な限りそのパフォーマンスで有終の美を飾って欲しいですね。
お気に入り曲
Patient Number 9 (feat. Jeff Beck)
狂気に満ちた笑い声のSEに続き、タメの効いたハードロック調のリフで始まるジェフ・ベックのギターフィーチャー楽曲。
かつてのおどろおどろしさは完全に封印され王道のハードロックスタイルを貫いた展開は、ジェフ・ベックの信じ難い訃報を聞かずともヒットを確信できるタイトルチューン。
中盤のギターソロは存在感十分の捻りを効かせたフレーズ展開で、聴き手の予定調和を乱してきますね。
相撲で言えば、出し投げで相手の体制を崩しての一気に寄りと言ったところでしょうか。
One Of Those Days (feat. Eric Clapton)
そしてもう一人の大御所エリック・クラプトンのギターフィーチャー楽曲もまた、ヒットの予感しかしない大人のハードロック楽曲。
イントロでいきなり飛び出す渋い音色の大人のフレーズ。
太弦も絡めた余韻を残したプレイセンスには思わず唸ってしまいますね。
中盤のソロではワウも効かせてのこれまた「俺が弾いてるぜ」的な存在感をこれでもかと誇示。
正直、エンディングにかけてはもう少しクラプトン節を聴きたかった感はありますが、腹八分目で終らせるところが「また聴きたい」と思わせる楽曲作りのミソかもしれませんね。
A Thousand Shades (feat. Jeff Beck)
クラプトン曲の後に続くまたしてもジェフ・ベックのフィーチャー楽曲。
いやぁ~、ヤバ過ぎますね、このアルバムは。
個人的には昔からOZZYのヴォーカルが最も活きると思っているのはこの手のバラード楽曲。
圧巻のギターソロではピッキングを最小限にとどめながら流れるような滑らかなフレーズ展開を披露してくれていますね。
そのまま楽曲のエンディングに向けてバックで弾きまくってくれていて、本当に涙が出る程に嬉しくなっちゃいます。
その他、ザックやアイオミの楽曲も無論聴きどころ盛りだくさんですが、どうしても上記3曲を優先リピートしてしまうのはやはり神の境地の成せる業なのでしょうか。
TALAS / 1985
アルバム概要
HR/HMシーンが最も輝きを放っていた黄金期の1980年代。
超技巧派ベーシストのビリー・シーンがかつて在籍していた「TALAS」もまた、1982年に2ndアルバマム「Sink Your Teeth into That」をリリースするなどシーンの潮流の中にありました。
もはや「どれがベースの音なのか分からない」程に超絶的なプレイが披露された2ndアルバムは、いまだベーシストにとっては伝説の作品として位置付けられていますね。
フロントとリア両方のピックアップの信号を両方拾って出力、しかも片方はナチュラル、もう片方にはディストーションを掛けるという発想自体、凡人には思いつかないものです。
そして2ndアルバムから40年という長い年月を経て、奇跡の復活を果たしたのが本作。
2022年9月23日リリース TALAS 3rdアルバム「1985」。
VAN HALEN のお化けアルバムが「1984」ですから、表現しようとしている時代感覚としては滅茶苦茶わかりやすいですよね。
そしてダメ押しのメッセージとして、ジャケットデザインは映画「Back to the Future」に登場する「デロリアン」という念の入れようです。
完璧に「あの時代」が脳内に蘇ってきます。
本作はバンドが既に1985年段階で作成していた音源を蘇生させたものですが、極めつけのサウンドはPVでもわかるように普通の家のリビングを改造したような場所での一発録りに近いような、とにかく「生々しい」の一言。
ヴォーカルを務めたフィル・ナロは、残念ながら2021年5月に癌のため他界しており本作が遺作となってしまいましたが伸びやかなハイトーンと情感豊かな歌唱を聴かせてくれています。
お気に入り曲
Inner Mounting Flame
ビリー・シーンのベースに一歩も引かないタイトなドラミングはお見事!。
どこか切なさも感じさせるフィル・ナロの声質と歌唱も、「あの時代」の空気感を呼び覚ましてくれますね。
Crystal Clear
もう曲名からして時代を感じます。
昔、JAPANESE HEAVY METAL 勢にも「CRYSTAL CLEAR」ってバンドがいましたね~。
結構すきでした。
VIOLET / ILLUSIONS
アルバム概要
2022年11月23日リリース VIOLET デビューアルバム「ILLUSIONS」。
きましたねぇ~、ドイツの期待の新人!、これはヤバイ、ヤバ過ぎます。
スコーピオンズ、ナイト・レンジャー、トライアンフといった’80年代のハードロックのみならず、ABBAやプログレッシヴ・ロックからも多分に影響を受けていると公言するメンガーにより結成されたバンド「VIOLET」。
若干20歳の女性ヴォーカルのジェイミー・ベッカム(また名前のよいこと!)をフロントマンに据え、高齢化問題に悩む現在のハードロックシーンに新たな血流を築いてくれようとしています。
もう、こんな可愛い子ちゃんがメロディアス・ハードロックを歌ってくれるなんて涙がちょちょ切れそうです。
音楽性は、当時を知る人にとっては懐かしくこれから聴く人には新鮮な、高揚感に浸れる煌びやかなメロディが散りばめられたAOR。
アルバム収録曲の中には、’80年代のセクシークィーン「サマンサ・フォックス」のカヴァー曲もあるなど、マーケティング的にも本気度を感じる力の入れようですね。
戦略的に’80年代に軸足を置いてリスナー層を囲い込んでいく姿勢に期待しかありません。
お気に入り曲
The Looks of a Winner
アルバムのオープニングはミディアムテンポの爽快なハードポップ。
サビメロでは伸びやかなハイトーンも聴かせつつ、バックコーラスとの掛け合いで哀愁をも感じさせる印象的な楽曲ですね。
自称、大日本軟弱メロディアス愛好会会長の私、久しぶりに堅く握りしめた拳を突き上げてのガッツポーズしたい衝動に駆られました。
Sophie
良いですねぇ~、もう100点満点あげちゃいます。
透明感と艶のある伸びやかな声質と、怖いもの知らずで思い切りの良い歌唱。
良いですねぇ~若さって。
Do Ya Do Ya (wanna Please Me)
こちらがサマンサ・フォックスのカヴァー曲ですね。
サマンサ・フォックスが「Touch Me (I Want Your Body)」のリリースで衝撃的にデビューしたのも丁度20歳の時でしたぁ~。
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最後にお伝えしたいこと
このブログでは、楽曲を聴きながらレビューを楽しんで頂くために主に音楽サブスク配信サービスの音源を貼り付けています。
当初は何も考えず「Spotify」を貼っていましたが、途中から極力「Apple Music」に変更しました。
その理由は、「Apple Music」は再生された時にアーティスト側に支払われる報酬が他の音楽サブスクサービスに比べて圧倒的に高いので、アーティストへの応援につながるからです!。
皆さんもどうせ聴くんだったら、お気に入りのアーティストの応援につながる「Apple Music」にしませんか?。
下記のリンク記事で詳しい内容をご紹介していますので、是非見てやってください。
「Apple Music」収益は他社を圧倒! 音楽サブスクはみんなで「Apple Music」を利用してアーティストを応援しよう!